インターネットで異世界無双!?

kryuaga

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 爺との戦いが始まって、半日ほどが経過した。



「はぁぁ!」



 ナイトレインが、魔力剣を持って斬りかかる。



「……まさか、こんな手で来るとはね」



 ナイトレインの攻撃を捌きつつも、爺の視線はずっと俺の方へと向いていた。

 その表情には色々な感情が入り混じっているように感じられる。







 戦闘を開始して暫くのうちは、爺一人に対し俺達は9人全員で挑んでいたのだが、誰一人としてロクに奴を捕える事が出来なかった。

 一人に対し余り多くの人数で掛かっても、互いの動きが邪魔になり上手く連携が機能しないためのようだ。



 そこで俺たちは途中で作戦を変更する。2チームに分けて別々に戦いを挑む事にしたのだ。

 チーム分けは、いつものメンバーとナイトレイン組で分けている。この組み合わせが最も連携を発揮出来るからだ。

 

 それは功を奏し、多少爺を本気にする事が出来たが、それでも大したダメージを与える事は出来ず、それもすぐ魔法で回復されてしまう。

 だが、別にそれで良かった。

 俺の真の狙いは別にあったからだ。





 そして現在。

 ナイトレインたちが爺と戦う一方、残された俺たちは休息を取っていた。



「ねぇ、君たち。真面目な戦闘中に、そういう事するのは、人として流石にどうかと思うんだけど?」



 ナイトレインたちの攻撃に対処しつつも、若干怒りの色を滲ませた爺が俺へとそう言う。



「はぁ。ちょっと静かにしてくれないか? コーヒーが不味くなる」



 俺はMitsurinで注文したリクライニングソファに深々と身体を預けつつ、爺に対しそう返事をする。

 他の連中も、床に敷いた布団の上でゴロゴロしたり、読書に耽っていたりしている。

 エイミーだけはなんか肩身が狭そうに、結界の隅で縮こまっているが。



 俺達のあまりに挑発的な行動に、爺の眉間のしわが深まる。

 だが、それを邪魔をしようにも、ツバキの〈アブソリュートイージス〉の中での出来事であるため、流石の爺でも手出しは出来ない。



 そう。俺が立案したのは、2パーティで交互に戦闘して、爺の体力を削り取るという戦法なのだ。



「……こんなやり方で僕を倒して、君たちは本当に満足なのかな?」



「戦いには、自由な発想が必要だってのを教えてくれたのは、あんただぞ?」



 俺はかつての爺の教えを、ただ実践しているに過ぎないのだ。



 ……ぶっちゃけ卑怯すぎて、流石にどうかとも考えはした。

 だが正攻法だと厳しそうだし、何より相手が爺なら何をやっても許されると、俺は思ったのだ。



 俺のその返答に、爺が諦めたようにため息をつく。



「はぁ、これじゃあ僕がまるで道化みたいじゃないか。もう好きにしなよ……」

 

 戦いの手を止め、爺が道を開ける。



「よし、俺達の勝ちだ!」



 それを見た俺は勝利を宣言する。

 味方の一部からドン引きな視線を感じるが、努めてそれは無視する。



「ゴホン。……経緯はともかく、全員無事で先へ進めるのだ。それで満足するべきだろう」



 若干顔を引きつらせつつも、ナイトレインがそう言って纏めてくれた。



「あーもう。僕は止めたからね。……後悔してもしらないよ?」



 爺は床へと身体を投げ出し、投げやりにそう言う。



「別に俺はまだ、神を殺してそれに成り代わると決めた訳じゃない。まずはちょっと話を聞きに行くだけだ」



 そう。

 俺はまだ神をどうするかは、決めてはいない。

 ただそれを決める為にも、一度神と直接対峙する必要があると思っている。



「……コウヤ、最後に一つだけ忠告しておくよ。同情心なんかに惑わされず、己の望みにのみ従う事。分かったかい?」



「……そうだな。ああ、ちゃんと分かってるさ」



 思えばこの世界に来てからも、俺は色々と状況に流されてばかりだった気がする。

 俺の悪い癖だ。それで何度トラブルに巻き込まれた事か。

 まったく耳が痛い忠告だな。



「そう。……ならいいんだけどね」



 言うべき事は言い終わったとばかりに、爺はこちらへと背を向け、ふて寝を始める。

 ずっと戦いっぱなしだったので、流石の爺でもきっと疲れたのだろう。



「まあ、そのなんだ。心配してくれて、ありがとな」



 結果的には意見を無視した形になったが、爺が本気で俺達の事を心配しているのは、今はなんとなく理解している。

 俺は若干の気恥ずかしさを感じつつも、小声で爺にそう礼を述べる。



 それに対し、爺はこちらを見もせず、ただ手を振って返した。



 さて、いよいよ神々の許へと乗り込む時がやって来たようだ。

 俺は両手で頬を張り、気合いを入れなおして、視線を前へと向ける。

 

「よし、行くぞ!」



 部屋の奥にある光の柱へと向かい、俺達は歩みを進めるのだった。



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