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マット・クーンの確信⑨
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レイーアの卒業式の日、マットは悲しくて泣いた。
何しろ、レイーアは王城で働き出す。
マットの目が届きにくいところに行ってしまうのだ。
流石にマットでも、王城までは通えない。
レイーアに悪い虫がついたらどうしよう、という不安がある。
それに、万が一レイーアがすぐに顔を覚えてしまう相手が出てきてしまったら困る。
何しろ、2年たってもまだ、マットはレイーアに顔を覚えてもらえていなかった。
なのに、すぐに覚えてしまう相手。
その先の展開が容易に予想できて、マットは想像だけなのに心が揺さぶられる。
マットはレイーアの卒業を期に、攻めかたを変えることにしていた。
毎日会いに行っても覚えてもらえないのなら、しばらく顔を出すのはやめようと。もちろん、物理的に難しいのもあるが、しばらく顔を出さなかったら、レイーアが寂しがってくれるんじゃないか、という期待もわずかにあった。
問題は、レイーアの回りに湧いてくる可能性のある害虫だが、それについては、すでに手は打ってある。
レイーアの同級生たちをマットは味方として引き入れている。
つまり、虫除けをしてくれるのは、この先輩方だ。男性はそのメンバーに入れていない。レイーアに惚れられては困るからだ。
天使の笑顔の正しい使い方だとマットは理解している。マットに恋愛感情を向けてくる不埒な相手は早々にお引き取り願っているから、マットとレイーアの邪魔はされる不安はない。
マットが毎日レイーアに会いに行っていることは、高等部では有名なことだ。マディーの耳には届いていないようだが、中等部でも知っている人は知っている話だ。
そして、レイーアが人の顔を覚えるのが苦手なことも、高等部では有名な話だった。
レイーアは別にマットだけを覚えられない訳ではない、と慰められたことは一度や二度じゃない。
どうやら家族以外の人間はあまり覚えられないらしい。
……文字や出来事の記憶は恐ろしくいいのに、映像的なもので覚えるのがひどく苦手だというのが、いろいろな先輩方のレイーアへの理解だった。
マットが覚えて貰うには、家族になるしかないのかもしれない。
そして、マディーにレイーアに会いにいくことを提案されたが、マットはマディーに変なやつだと認識されるのは構わなかったが、その両親に変なやつだと認識されるのは嫌だった。
今レイーアの前に出ていっても、マットはまた「はじめまして」を聞くことになるのも悲しいだけだ。
すぐ結婚できるのは、高等部を卒業した後の話だ。レイーアにふさわしい男になるまで、マットは我慢することにした。
それが、レイーアとの未来を作るために大事なことだとマットは確信している。
もちろん、レイーアが会えなくなったマットに会いたいとこぼすならば、姿を表すつもりではいるが。
何しろ、レイーアは王城で働き出す。
マットの目が届きにくいところに行ってしまうのだ。
流石にマットでも、王城までは通えない。
レイーアに悪い虫がついたらどうしよう、という不安がある。
それに、万が一レイーアがすぐに顔を覚えてしまう相手が出てきてしまったら困る。
何しろ、2年たってもまだ、マットはレイーアに顔を覚えてもらえていなかった。
なのに、すぐに覚えてしまう相手。
その先の展開が容易に予想できて、マットは想像だけなのに心が揺さぶられる。
マットはレイーアの卒業を期に、攻めかたを変えることにしていた。
毎日会いに行っても覚えてもらえないのなら、しばらく顔を出すのはやめようと。もちろん、物理的に難しいのもあるが、しばらく顔を出さなかったら、レイーアが寂しがってくれるんじゃないか、という期待もわずかにあった。
問題は、レイーアの回りに湧いてくる可能性のある害虫だが、それについては、すでに手は打ってある。
レイーアの同級生たちをマットは味方として引き入れている。
つまり、虫除けをしてくれるのは、この先輩方だ。男性はそのメンバーに入れていない。レイーアに惚れられては困るからだ。
天使の笑顔の正しい使い方だとマットは理解している。マットに恋愛感情を向けてくる不埒な相手は早々にお引き取り願っているから、マットとレイーアの邪魔はされる不安はない。
マットが毎日レイーアに会いに行っていることは、高等部では有名なことだ。マディーの耳には届いていないようだが、中等部でも知っている人は知っている話だ。
そして、レイーアが人の顔を覚えるのが苦手なことも、高等部では有名な話だった。
レイーアは別にマットだけを覚えられない訳ではない、と慰められたことは一度や二度じゃない。
どうやら家族以外の人間はあまり覚えられないらしい。
……文字や出来事の記憶は恐ろしくいいのに、映像的なもので覚えるのがひどく苦手だというのが、いろいろな先輩方のレイーアへの理解だった。
マットが覚えて貰うには、家族になるしかないのかもしれない。
そして、マディーにレイーアに会いにいくことを提案されたが、マットはマディーに変なやつだと認識されるのは構わなかったが、その両親に変なやつだと認識されるのは嫌だった。
今レイーアの前に出ていっても、マットはまた「はじめまして」を聞くことになるのも悲しいだけだ。
すぐ結婚できるのは、高等部を卒業した後の話だ。レイーアにふさわしい男になるまで、マットは我慢することにした。
それが、レイーアとの未来を作るために大事なことだとマットは確信している。
もちろん、レイーアが会えなくなったマットに会いたいとこぼすならば、姿を表すつもりではいるが。
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