【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

シェリ嬢の回想

　マディー・ガリヴァとマット・クーン。
　学院に入学した当初から、この二人組は目をひいた。
　しっかりと筋肉のついた体躯を持つ男っぽいマディーと、天使のようなマットの組み合わせ。
　シェリは、この二人が一緒にいると、胸がときめいた。

　そんな女生徒は一部いて、二人が一緒にいるとキラキラした目をするのは、シェリだけではなかった。
　早々にシェリはそんな女生徒たちと仲良くなった。
　どうやらシェリには知識がなかったが、男性同士の交わりを妄想するヒトのことを、腐女子と言うらしい。そして、ひそかに市民権を得ているらしいとわかった。

　普通の女生徒の間では、断然マットのことが話題になった。
　お姉さま方にはファンクラブもできたらしい。
　マディーのことは話題にはならなかった。せいぜい、マットの仲の良い友達、という話で出てくるくらいだ。

　でもシェリは、マディーも悪くないのに、と思っていた。
　でも、シェリはそう思う度に首をふった。
　恋愛対象としてではなく、攻めとしてとの評価だと。
　あの二人に立ち入れることなど絶対ない、とシェリは思っていた。

　二人の間に、常人には理解できない会話が成立しているのは、きっと愛ゆえだと、シェリは理解していたからだ。