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ただし⑨
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私がレナルド殿下に視線を向けると、レナルド殿下が大きくうなずいてくれた。
どうやら、私の好きなようにやってよさそうだわ。
「廃嫡という言葉すら知らない人間が皇太子とは、本当に信じられませんわ! ファビアン殿下は、勉強という勉強から逃げ回り、とうとう、ご自分に関係する言葉すら習得することなく、学院を卒業してしまわれるのですね」
「そ、そんなめったに聞かない言葉を、知らないからと言って、国王として困ることはないだろう! わからなければ、周りにいる人間たちに確認すればよいのだ!」
ファビアン殿下の言い訳に、私は小さくため息をつく。
「廃嫡とは、皇太子の身分をはく奪することですわ。それでも、周りの人に聞いてから知ればよかった言葉だと思っていらっしゃるのかしら?」
「はく奪?! なぜ私が!?」
ようやく理解したらしいファビアン殿下が、顔を真っ赤にする。
「よく、そのような疑問を持つことができますわね。皇太子としての責務を全うせず、嫌なことから逃げ回り、自分に厳しい人間を遠ざけ、自分が好き勝手に生活する。それが、一国の国王となるべき人の態度でしょうか?」
「な、何を言う! わ、私だって国王になるべき帝王学は学んでいる! 学院での勉強など取るに足らぬことではないか! ち、父上は私が十分やっていると認めていたのだ! 現に、私の行動を許していたぞ!」
ファビアン殿下の言い訳に、私は首を横にふる。
「そう言われてしまえば、国王陛下がお許しになっていたと考えざるを得ませんわね。ですが、私はファビアン殿下の近くで、国王陛下にたびたび苦言を告げられているのを見ていたのですよ? ただ、ファビアン殿下が、その苦言に一度も耳を傾けることがなかっただけではありませんか」
「そ、そんなことはない!」
「いいえ。そんなことが度々ありましたわ。国王陛下、そうでしたわよね?」
私が話を振ると、国王陛下が、まだ呆然とした表情で私を見つめていた。
……あら。ショックを受けているようでしたけど、国王陛下も、廃嫡まで求められるとは思っていなかったのかしら?
でも、それだったら、親子そろって甘いわ。
私だって、好きで長年、ファビアン殿下のしりぬぐいをしてきたわけではないのよ。
ただただ、我が国のために、動いていただけですのよ?
「陛下、もしや、ファビアン殿下がおっしゃっている通り、ファビアン殿下の行いを全てお許しになっていたのですか?」
レナルド殿下の確認に、国王陛下が我に返ると、ぶんぶんと首を横に振った。
「いえ。私は、ファビアンに良き国王になってほしいと、長年その行いに苦言を述べていたのですが……」
そこまで言うと、国王陛下が私の顔を不安そうに見つめてきた。
……大丈夫ですわ、国王陛下。私は事実を曲げはしませんわ。
「そうでしたわ。でも、ファビアン殿下は、少しも聞く様子がありませんでした。ファビアン殿下は、自分に厳しい意見を言う人間の話を、聞こうとはされません。学びもせず遊び惚けていたファビアン殿下が国のかじ取りをしたとき、国が傾くのは目に見えていますわ。苦言を呈する人間の言葉を聞こうともしないファビアン殿下では、国の明るい未来が見えませんわ」
「意見など聞かなくとも、私はやれる! ノエリアもそう言っている! 私とノエリアの二人がいれば、この国は安泰だ!」
意気揚々と叫ぶファビアン殿下に、会場は更に静けさを増したようだった。それでも、ファビアン殿下は自信満々の様子を消すことはない。
……本当に、見えていらっしゃらないのね。ノエリア様は、そろそろ逃げ出しそうに不安そうな顔できょろきょろしているというのに。
あと少しだわ。悪役令嬢を頑張らなくては!
「ファビアン殿下とノエリア様の二人がいたら、我が国の貯えも、早々に消えてしまうでしょうね。政治のかじ取りを失敗するだけではなくて、国の貯えまでも食いつぶす国王など、国が消滅するしかありませんのよ?」
「な、何を言い出すんだ! 貯えを食いつぶすなど、そんなことをするわけがないだろう! 我が国の貯えは潤沢にあるではないか!」
「あら。ノエリア様のドレスは、とても高価なものでしてよ? 公爵家令嬢である私でも、手が届きそうにない衣装だわ。バール王国の王妃様くらいでなければ買えないような値段だと思うのだけど。そのドレス、どうやって手に入れたのかしら? ガンス男爵家では、到底買えない衣装でしょうに」
私の指摘に、ファビアン殿下が目をそらす。そして、ノエリア様も慌てだす。
国王陛下が、私から目をそらすファビアン殿下に近づいていく。
「どういうことだ、ファビアン。ノエリア嬢のドレスは、どうやって手に入れたのだ!?」
「あ、あれは……しょ、商人が、そう、付き合いのある商人が、安く手に入ると言うので、私のつてで買ったものです。国の貯えを使ったわけではないのです! わ、私の個人資産から払っております!」
「ふふふふ」
ファビアン殿下の言い訳に、私はつい笑いをこらえきれなくなる。
でも、悪役令嬢っぽくするのであれば、「オホホホホ」と笑うべきだったかしら?
「なぜ笑う! 私は国の貯えを使ってはおらん! 調べてみるがよい!」
「ファビアン、本当なのか?」
「父上、本当です! こんな女の言うことに、惑わされないでください!」
国王陛下はまだ、ファビアン殿下を信じたいみたいだけれど。
これでも、まだ信じられるかしら?
どうやら、私の好きなようにやってよさそうだわ。
「廃嫡という言葉すら知らない人間が皇太子とは、本当に信じられませんわ! ファビアン殿下は、勉強という勉強から逃げ回り、とうとう、ご自分に関係する言葉すら習得することなく、学院を卒業してしまわれるのですね」
「そ、そんなめったに聞かない言葉を、知らないからと言って、国王として困ることはないだろう! わからなければ、周りにいる人間たちに確認すればよいのだ!」
ファビアン殿下の言い訳に、私は小さくため息をつく。
「廃嫡とは、皇太子の身分をはく奪することですわ。それでも、周りの人に聞いてから知ればよかった言葉だと思っていらっしゃるのかしら?」
「はく奪?! なぜ私が!?」
ようやく理解したらしいファビアン殿下が、顔を真っ赤にする。
「よく、そのような疑問を持つことができますわね。皇太子としての責務を全うせず、嫌なことから逃げ回り、自分に厳しい人間を遠ざけ、自分が好き勝手に生活する。それが、一国の国王となるべき人の態度でしょうか?」
「な、何を言う! わ、私だって国王になるべき帝王学は学んでいる! 学院での勉強など取るに足らぬことではないか! ち、父上は私が十分やっていると認めていたのだ! 現に、私の行動を許していたぞ!」
ファビアン殿下の言い訳に、私は首を横にふる。
「そう言われてしまえば、国王陛下がお許しになっていたと考えざるを得ませんわね。ですが、私はファビアン殿下の近くで、国王陛下にたびたび苦言を告げられているのを見ていたのですよ? ただ、ファビアン殿下が、その苦言に一度も耳を傾けることがなかっただけではありませんか」
「そ、そんなことはない!」
「いいえ。そんなことが度々ありましたわ。国王陛下、そうでしたわよね?」
私が話を振ると、国王陛下が、まだ呆然とした表情で私を見つめていた。
……あら。ショックを受けているようでしたけど、国王陛下も、廃嫡まで求められるとは思っていなかったのかしら?
でも、それだったら、親子そろって甘いわ。
私だって、好きで長年、ファビアン殿下のしりぬぐいをしてきたわけではないのよ。
ただただ、我が国のために、動いていただけですのよ?
「陛下、もしや、ファビアン殿下がおっしゃっている通り、ファビアン殿下の行いを全てお許しになっていたのですか?」
レナルド殿下の確認に、国王陛下が我に返ると、ぶんぶんと首を横に振った。
「いえ。私は、ファビアンに良き国王になってほしいと、長年その行いに苦言を述べていたのですが……」
そこまで言うと、国王陛下が私の顔を不安そうに見つめてきた。
……大丈夫ですわ、国王陛下。私は事実を曲げはしませんわ。
「そうでしたわ。でも、ファビアン殿下は、少しも聞く様子がありませんでした。ファビアン殿下は、自分に厳しい意見を言う人間の話を、聞こうとはされません。学びもせず遊び惚けていたファビアン殿下が国のかじ取りをしたとき、国が傾くのは目に見えていますわ。苦言を呈する人間の言葉を聞こうともしないファビアン殿下では、国の明るい未来が見えませんわ」
「意見など聞かなくとも、私はやれる! ノエリアもそう言っている! 私とノエリアの二人がいれば、この国は安泰だ!」
意気揚々と叫ぶファビアン殿下に、会場は更に静けさを増したようだった。それでも、ファビアン殿下は自信満々の様子を消すことはない。
……本当に、見えていらっしゃらないのね。ノエリア様は、そろそろ逃げ出しそうに不安そうな顔できょろきょろしているというのに。
あと少しだわ。悪役令嬢を頑張らなくては!
「ファビアン殿下とノエリア様の二人がいたら、我が国の貯えも、早々に消えてしまうでしょうね。政治のかじ取りを失敗するだけではなくて、国の貯えまでも食いつぶす国王など、国が消滅するしかありませんのよ?」
「な、何を言い出すんだ! 貯えを食いつぶすなど、そんなことをするわけがないだろう! 我が国の貯えは潤沢にあるではないか!」
「あら。ノエリア様のドレスは、とても高価なものでしてよ? 公爵家令嬢である私でも、手が届きそうにない衣装だわ。バール王国の王妃様くらいでなければ買えないような値段だと思うのだけど。そのドレス、どうやって手に入れたのかしら? ガンス男爵家では、到底買えない衣装でしょうに」
私の指摘に、ファビアン殿下が目をそらす。そして、ノエリア様も慌てだす。
国王陛下が、私から目をそらすファビアン殿下に近づいていく。
「どういうことだ、ファビアン。ノエリア嬢のドレスは、どうやって手に入れたのだ!?」
「あ、あれは……しょ、商人が、そう、付き合いのある商人が、安く手に入ると言うので、私のつてで買ったものです。国の貯えを使ったわけではないのです! わ、私の個人資産から払っております!」
「ふふふふ」
ファビアン殿下の言い訳に、私はつい笑いをこらえきれなくなる。
でも、悪役令嬢っぽくするのであれば、「オホホホホ」と笑うべきだったかしら?
「なぜ笑う! 私は国の貯えを使ってはおらん! 調べてみるがよい!」
「ファビアン、本当なのか?」
「父上、本当です! こんな女の言うことに、惑わされないでください!」
国王陛下はまだ、ファビアン殿下を信じたいみたいだけれど。
これでも、まだ信じられるかしら?
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