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まさかの⑬
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「メリル様、また身長が伸びましたか?」
私はメリル様を見上げて首を傾げた。
お互いに聖女と愛し子だと告白してから、3か月。
身長の伸びが止まった私から見て、メリル様を見上げるときの首の位置が変わった気がする。
メリル様が、眉を寄せる。
「そうなの……制服もサイズを作り直さないといけなくて……。早く、身長が伸びるの止まらないかしら」
かすれた声は、ギリギリ女性と思えなくもないけど、流石に身長は伸びすぎだと思う。
……学院の男子陣の中でも、高いほうに入るんじゃないだろうか……。
と、言うか。
男性だとわかってから、メリル様をまじまじ見ていると、うん男性だよね、って納得しかない。
その高い身長も、ほっそりとはしていても筋肉質な体格も、その声も。
なんで今まで気づいてなかったんだろ、って思うくらいだ。
そして、メリル様を見ると、ドキリとすることが益々増えた。
……これは、関係ないのかな?
「……そろそろ、無理なんじゃないですか?」
私の学院の入学時にはまだ女性と言われても違和感がなかったけど、流石に今は、違和感を感じる。
美しさはある。でも、やっぱり女性とは違うかな。
女性化するような薬がなかったのは良かったかもしれない。あったらきっと、メリル様は飲まされてると思う。
「いいえ。まだ他の誰にもバレてはないもの!」
……そして、これをメリル様が本気で言ってる、ってところが、ポイントなんだけど。
……いや、きっと気づかれてると思うんだよね。だって、このメリル様と5年間も一緒にいたら、流石に、ちょっとおかしいって思うよね?
制服の形が一人だけ違うのも、絶対おかしいもん。喉仏を隠すためらしいけど……。
「あの……流石にバレてるのでは?」
私の指摘に、メリル様が目を見開く。
「いいえ! だって、誰にも指摘されたことはないわ!」
うん。メリル様は、本気。
本気なんだけどね。でも、気づかれてないわけないと思う。
……とか思うんだけど、女性用のトイレに堂々と入っていくメリル様と、そこに入ってくるメリル様にざわつくこともなくにこやかな令嬢たちを見ていると、本当にバレてないのかな、とか思ってしまう。
ディル王国の人って……おおらか?
まあ、それはいいとして。
「メリル様、いい方法考えつきましたか?」
メリル様は、いまだに私の案を保留にしている。他にいいアイデアが思いつくかもしれないからって。
王族には恨みはあるけど、他の貴族とか自分の家族とかに恨みがないから、できれば穏便に婚約破棄をしたいらしい。
……まあ、確かに言わんとすることがわからんでもない。
でもねぇ。
少なくともドライスデール公爵は、恨んでもいいと思うんだよね。
幼いころから女装させて女性のふりさせて生きさせるとか……本人に命の危険があるならわかるよ? でも、メリル様は違うよね?
王家に都合よくつかわれるために女性として生きさせられてるから。
ありえない!
そう言えば、ディル王国が豊かになりだしたのって、メリル様が生まれた頃からなんだよね。流石愛し子。国力3倍になりましたから!
……滅茶苦茶、愛し子であるメリル様からの恩恵は受けといて、メリル様の扱いがこれとかひどすぎる。
なのに、メリル様いい人すぎる。
純粋、なのかもなぁ。
メリル様が決断できなくなるといけないから、期日決めておこうっと!
「メリル様、私が神託を受けるまでか、次の学院の卒業式までに、方法を決められなければ、聖女の名前で脅してしまいますからね」
私の言葉に、メリル様が困ったように首を横に振る。聖女の神託をいつ受けるかはわからないけど、もし受けてなくてもハッタリで行ってしまおう! どうせ、この学年が終わるまでには、本当に神託を受けるはずだし。
それに、私たちは卒業年度ではないけれど、ディル王国では在校生も卒業パーティーに参加するのが普通らしい。卒業まで待ってたら、私が逃げ出すタイミングもなくなるかもしれないしね。
脅して、逃げる。それが一番早いと思うわけで!
国を脱出する計画は一応練っている。
行き先は、ハワード先生が立ち寄った小さな国に行こうかなー、と思っている。貧しいけれどとても国民性の良い穏やかな国らしい。
「だって、それだと……キャサリン様が悪者になってしまうわ」
……本当に、メリル様いい人すぎる!
「いいんです! 私は市井に行くつもりですし、ディル王国の貴族や王族になんと思われようとかまいませんから!」
「……でも」
「でも、じゃありません! メリル様は、自分の人生を生きたくないんですか?」
「……生きたいわ……ううん。生きたい。キャサリン様と一緒に、生きていきたい」
声色を変えて、地声に戻したメリル様が、私をじっと見る。その瞳に、ドキリとする。
「私の気持ちは、変わりません。例え、メリル様がどんな姿であろうとも」
メリル様の手が、私の手をそっと握る。その熱にドキドキする。
これが、恋なのかもしれない。
前世の時からずっと、誰かに一方的に好かれたことはあっても、自分が好きになれることはなかった。だから、まだ確信はないけれど。
でも、メリル様に触れられると、ドキドキするようになったのは、きっとそういうことだと思う。
◇
「せ、聖女?!」
私が全身に光を浴びていると、周りが騒然となっている。
恐怖におびえる声が聞こえる。
前回、聖女の神託を受けた時とは、周りの反応が全然違う。
やっぱり、ディル王国では、聖女は忌み嫌われるものなんだ。
……別に忌み嫌われていいけど。
私のことを理解してくれる人が、一人はいてくれるから。
私が今回神託を受けたのは、学院の卒業パーティーの最中だった。
そして、私は、ディル王国の王族貴族たちが集まる中で、光を浴びながら神託を受けたのだ!
ヤンデレで思考回路まずい神様だけど、このタイミングだけは、ほめてあげたい!
私はメリル様を見上げて首を傾げた。
お互いに聖女と愛し子だと告白してから、3か月。
身長の伸びが止まった私から見て、メリル様を見上げるときの首の位置が変わった気がする。
メリル様が、眉を寄せる。
「そうなの……制服もサイズを作り直さないといけなくて……。早く、身長が伸びるの止まらないかしら」
かすれた声は、ギリギリ女性と思えなくもないけど、流石に身長は伸びすぎだと思う。
……学院の男子陣の中でも、高いほうに入るんじゃないだろうか……。
と、言うか。
男性だとわかってから、メリル様をまじまじ見ていると、うん男性だよね、って納得しかない。
その高い身長も、ほっそりとはしていても筋肉質な体格も、その声も。
なんで今まで気づいてなかったんだろ、って思うくらいだ。
そして、メリル様を見ると、ドキリとすることが益々増えた。
……これは、関係ないのかな?
「……そろそろ、無理なんじゃないですか?」
私の学院の入学時にはまだ女性と言われても違和感がなかったけど、流石に今は、違和感を感じる。
美しさはある。でも、やっぱり女性とは違うかな。
女性化するような薬がなかったのは良かったかもしれない。あったらきっと、メリル様は飲まされてると思う。
「いいえ。まだ他の誰にもバレてはないもの!」
……そして、これをメリル様が本気で言ってる、ってところが、ポイントなんだけど。
……いや、きっと気づかれてると思うんだよね。だって、このメリル様と5年間も一緒にいたら、流石に、ちょっとおかしいって思うよね?
制服の形が一人だけ違うのも、絶対おかしいもん。喉仏を隠すためらしいけど……。
「あの……流石にバレてるのでは?」
私の指摘に、メリル様が目を見開く。
「いいえ! だって、誰にも指摘されたことはないわ!」
うん。メリル様は、本気。
本気なんだけどね。でも、気づかれてないわけないと思う。
……とか思うんだけど、女性用のトイレに堂々と入っていくメリル様と、そこに入ってくるメリル様にざわつくこともなくにこやかな令嬢たちを見ていると、本当にバレてないのかな、とか思ってしまう。
ディル王国の人って……おおらか?
まあ、それはいいとして。
「メリル様、いい方法考えつきましたか?」
メリル様は、いまだに私の案を保留にしている。他にいいアイデアが思いつくかもしれないからって。
王族には恨みはあるけど、他の貴族とか自分の家族とかに恨みがないから、できれば穏便に婚約破棄をしたいらしい。
……まあ、確かに言わんとすることがわからんでもない。
でもねぇ。
少なくともドライスデール公爵は、恨んでもいいと思うんだよね。
幼いころから女装させて女性のふりさせて生きさせるとか……本人に命の危険があるならわかるよ? でも、メリル様は違うよね?
王家に都合よくつかわれるために女性として生きさせられてるから。
ありえない!
そう言えば、ディル王国が豊かになりだしたのって、メリル様が生まれた頃からなんだよね。流石愛し子。国力3倍になりましたから!
……滅茶苦茶、愛し子であるメリル様からの恩恵は受けといて、メリル様の扱いがこれとかひどすぎる。
なのに、メリル様いい人すぎる。
純粋、なのかもなぁ。
メリル様が決断できなくなるといけないから、期日決めておこうっと!
「メリル様、私が神託を受けるまでか、次の学院の卒業式までに、方法を決められなければ、聖女の名前で脅してしまいますからね」
私の言葉に、メリル様が困ったように首を横に振る。聖女の神託をいつ受けるかはわからないけど、もし受けてなくてもハッタリで行ってしまおう! どうせ、この学年が終わるまでには、本当に神託を受けるはずだし。
それに、私たちは卒業年度ではないけれど、ディル王国では在校生も卒業パーティーに参加するのが普通らしい。卒業まで待ってたら、私が逃げ出すタイミングもなくなるかもしれないしね。
脅して、逃げる。それが一番早いと思うわけで!
国を脱出する計画は一応練っている。
行き先は、ハワード先生が立ち寄った小さな国に行こうかなー、と思っている。貧しいけれどとても国民性の良い穏やかな国らしい。
「だって、それだと……キャサリン様が悪者になってしまうわ」
……本当に、メリル様いい人すぎる!
「いいんです! 私は市井に行くつもりですし、ディル王国の貴族や王族になんと思われようとかまいませんから!」
「……でも」
「でも、じゃありません! メリル様は、自分の人生を生きたくないんですか?」
「……生きたいわ……ううん。生きたい。キャサリン様と一緒に、生きていきたい」
声色を変えて、地声に戻したメリル様が、私をじっと見る。その瞳に、ドキリとする。
「私の気持ちは、変わりません。例え、メリル様がどんな姿であろうとも」
メリル様の手が、私の手をそっと握る。その熱にドキドキする。
これが、恋なのかもしれない。
前世の時からずっと、誰かに一方的に好かれたことはあっても、自分が好きになれることはなかった。だから、まだ確信はないけれど。
でも、メリル様に触れられると、ドキドキするようになったのは、きっとそういうことだと思う。
◇
「せ、聖女?!」
私が全身に光を浴びていると、周りが騒然となっている。
恐怖におびえる声が聞こえる。
前回、聖女の神託を受けた時とは、周りの反応が全然違う。
やっぱり、ディル王国では、聖女は忌み嫌われるものなんだ。
……別に忌み嫌われていいけど。
私のことを理解してくれる人が、一人はいてくれるから。
私が今回神託を受けたのは、学院の卒業パーティーの最中だった。
そして、私は、ディル王国の王族貴族たちが集まる中で、光を浴びながら神託を受けたのだ!
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