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第三章
明後日に
しおりを挟む明後日、商業ギルドで会おうと言われ、あの後カードにちゃんとお金が入っている事を確認してからお金をいくらかおろし、帰った。
せっかくなのでガルドさんとメリルさんとうちの子にお菓子を買って帰った。プチタルトと焼き菓子のお店で、前にメリルさんから貰った時にとても美味しかったので、商業ギルドからの帰り道にあるお店なので寄って買って帰ろうと思っていたのだ。
店の中に入ると、さすが貴族相手の店も出している程の店なので、色とりどりのタルトや焼き菓子がショーケースの中に並び、花畑もかくやという様子だった。
お客も多くとても賑わっている。でも実は一番人気は発酵バターを使った厚焼きのガレットで、その芳醇なバターの香りとざっくりとした口当たり、甘すぎず大人向けの丁度よい甘みと見た目の幸せ感と言いパーフェクトである。
フルーツのタルトとそのガレットをそれぞれいくつか箱詰めして貰い、その後はウインドーショッピングしながら帰った。
帰りながら、先ほど提示された条件を考えて見た。身分の事だとかは、たぶん貴族の身分をくれるという事なのだろう、城で筆頭魔導士に付いて働くのならば必須と思える。
絶対にない話なのではないので、考えておかなければならないのは、実家やルイスの家から魔力持ちの子供を狙われたり、他の悪党に狙われたりしないかと言う事だ。魔力を持つ者は魅力的だ。利用価値がある。
それが、守りやすくなるという事だ。
あとは、やはり今後子供を育てて行くのにお金は必要だ。今は銀の小鳩亭の2Fを借りていてとても環境も良いが、もう少しすればあそこの息子だってそのうち結婚し、孫だって出来るだろう。多分そう遠くない未来の話なのだから。
人の未来など動いて行くものなので、先を見て動かないとならない。丁度環境を変えるには良い時なのかもしれない。そこまで考えて足を早める。路地を曲がり、手に下げていた土産の紙袋を壁際におろし、おもむろに振り向く。
やはり、街中とは言え、貴族の少年と思しき者が従者も連れずに一人でウロウロしているのは目立つのか、ミリアムの容姿が引き寄せるのか、後を付いて来る者がいたのだ。
「何か用でも?」
その手には、金のメイスが握られている。殴る気まんまんだった。
「い、いえ、あの、それがですね・・」
すると、意外にも身ぎれいな青年が付いて来ていた。ミリアムの行動が意外すぎたのか、驚いて一歩下がった。
メイスに目が釘付けだ。
「 … 」
すでに戦闘態勢に入ろうと思っていた矢先、肩透かしをくらった感がある。
「気づいてらっしゃるとは思っていなかったのです、申し訳ない。ドゥーティー様から貴女様の護衛を言付かっているシャルルと申します。以後お見知りおきを」
なんとあの男、既に護衛を付けたらしい。行動の早い事だ。
「 …それは、どうも、あのね、貴方のご主人に、何事も一言いってからにしてくれるように伝えておいて下さい」
「はい、そのようにお伝えいたします」
その青年は、見た目は茶色の髪に、瞳はとても美しいぬけるような透明感のある深い青で、どう見ても多分髪色は魔力で変えるか、カツラと言った具合のとって付けたような不自然な感じがあったので、本来は金髪だろう。
まあ、これであのドゥーティーの本気度はわかった。
その後はシャルルが紙袋を持ってくれて二人で歩いて銀の小鳩亭の前まで帰った。
「ありがとう、シャルルさん」
「いえ、では明後日私がお迎えに上がりますのでよろしくお願いいたします」
そう言って彼は去っていった。たぶん良い家の大切に育てられたぼんぼん育ちなのだろう、真っすぐに育った感と品ってもんが感じられた。但し護衛に付くくらいだから、魔力持ちで戦えるのだろう。
家に帰ってから、ミリアムはガルドとメリルに今日の話をした。
細かい事は言わず、自分は魔力を持っているので、商業ギルドから城内の仕事を紹介され、子供を預かる施設もあるので、少し先にはそちらに動くかもしれないと言う事を話したのだ。
夫婦は残念がったが、それはミリアムとアンドレアの未来に関わる話なので、条件がいいなら選択肢の一つだろうと納得してくれた。但し休みにはここにも遊びに来るのが条件だよと言っていた。
今日のお礼を言って、お土産のお菓子を多めにガルドさん夫婦に渡して、家でお茶にした。
アンドレアにはまだわからないかも知れないけれど、今日あった事を語りかけた。
あの美しいひとみをじーっと此方に向けて、お利口に聞いている。
アンドレアは半分に割ってやったガレットを手に持って少しずつ吸い付いて溶かしながら食べている。可愛い~
「アンディー大好き、ママの宝物」
「ちゃからみょの」
にっこり笑ってまねしている。う~んかわいい~子首までかしげて、お人形さんみたい。
一日一日と育って行く子供を間近で見て生活出来る幸せを噛みしめる。とても幸せだ。
そして、約束の当日、シャルルが馬車で迎えに来た。今日は彼は自前の髪色らしく、とても目立つ銀髪だった。
そりゃあ、尾行とか護衛でこっそり後を付けるには向かない髪色だわ。
その彼と一緒に馬車に乗り商業ギルドまで行く。
彼は到着するまで、アンドレアの面倒を見てくれた。やっぱり高い高いだとかの力技を使われるのが嬉しいらしく、馬車の中なのでそれ程の激しい動きは出来ないものの、かなり面倒見が良く、子供の扱いが上手い。
男兄弟の長男で、年の離れた弟の面倒をよく見ていたのだとかで、大変手慣れた子供の扱いだった。
女性だと、気を使った優しいあやし方になってしまうけれど、男性の大きな動きの方が男の子は好きなのかもしれない。大喜びだ。
商業ギルドに到着すると、彼が隣の部屋でメイドと一緒に子供を見てくれていると言うので、お任せして、用意された部屋のドアをノックした。
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