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第七章
ベルダに向かう
しおりを挟む食後、アレン様が、ちょっと魔物を狩って魔石を獲って来ると言うので、何故なのか聞いたら、田舎なので物々交換になるだろうと言う。
物々交換に喜ばれるのは、珍しい薬草や、果物、魔石が良いと思われるが、果物や薬草は嵩張るので、自分が食べる分にはいいが、持ち運ぶには邪魔だと言われ納得した。
ギルドカードが使えないような田舎だったとは…予想していなかった。
アレン様は鳥になっても強いようで、短い時間でもあっと言う間に獲物を狩って山積みにし大量だと死骸の処理は面倒なので魔石を回収すると土魔法を使い深ーい穴を掘って、埋めてしまった。
私も魔石集めを手伝いたいと言うと、 アレン様の見ている場所で有れば、魔物狩りに参加しても良いと言われて、初めての魔物狩りなので、小物魔獣の穴掘りモグルの穴を見つけて水責めにし、出て来たモグルをメイスでぼくぼく殴って倒す、モグラ叩きの様な魔物討伐をして32匹捕まえた。
身体強化を使えるので、何ともなかったけれど、モグルは身体の外皮も頭蓋も硬いので魔術師クラスの魔法の使い手であって、穴の中からモグルを追い立てて出せたとしても、殴り倒せる腕力が無いとこの方法は使えない。
モグルは噛みつくので素手では捕まえられないのだ。毛皮も人気が有るそうだが、今は毛皮を剥がして取っている時間の余裕がない。
このモグルは害魔獣として大陸中で嫌われている。木造の庶民の家の柱を倒すからだ。けれどもその身体から出る魔石には夜光る特性があり、庶民にはランプがわりに使われて需要が高い。魔力の持ちが良く、暗い穴の中で使い続けても三月は持つのだそうだ。
捕まえ方は、アレン様から教わったが体内の魔石の回収はアレン様に任せた。魔石の有る場所が身体のどの部分か一目で分かるらしく的確に風魔法でも水魔法でも射抜いてしまうのだ。
手も汚さずに器用に魔石を取り出すアレン様は凄いと思う。この人の貴重な魔力をこの様な事に使わせてごめんなさい。
モグルは弱い魔獣だが、捕まえにくいこともあり、魔石はかなり良い値で取引きされるそうだ。ちょっとした小遣い稼ぎにいいかも。
アレン様は朝に偵察に行った時に街なかの目立たない場所に魔法陣を貼り付けてきたそうで、この森から直接飛べると言われた。
田舎なので、宿屋は一軒のみで雑貨屋と一緒になっているそうだ。
ここからだと、あのベルダ王国も近いらしく、情報収集も兼ねてこの近くを周るのも良いだろうと言われた。
アレン様は、よく働いて下さるので申し訳なく、小さい鳥姿の時が効率よく癒してあげられるので、鳥になってもらい癒しの魔法をかけた。怪我はなかったがあちこち魔力の滞りのような部分を通りよくしておいた。やっぱり疲れるよね。
それと、ルイスの事だけど、アレン様から、アレと戦うのはお前には無理だからもし出会ったら逃げろと言われた。
逃げられそうなら逃げるけど、逃げられなかった時が問題なんだよね。
森の中からアレン様があらかじめ村の中に貼り付けておいてくれた魔法陣に飛び、雑貨屋兼、宿屋に泊まる事にした。小さい宿屋でも有り難い、いくら野営地での野宿は慣れているとかいわれても、昨晩の様にアレン様をベッドがわりにするのは申し訳ないもの。
代金は魔石払いで、アレン様が巾着から取り出した色とりどりの魔石で支払いを前払いで済ませた。
宿屋の主人はホクホクで、アレ絶対にふっかけてるよね、と内心思ったがアレン様がこの程度はかまわないと言うので良い事にした。
宿屋はアレン様と二人部屋を借りて、食事は部屋に持って来てくれるスタイルだった。田舎料理で、品数は少なかったけど、肉も野菜も良く煮込んでハーブを使った料理が多く、それはそれで美味しかった。
宿屋と一緒になっている雑貨屋で子供用のズボンスタイルの服を一揃い買った。
ワンピースでは動きづらいので着ていた質の良いワンピースは売り払いそちらを身に付けた。ちょっと粗い生地でゴワゴワしてるけど仕方ない。
洋服も身体も浄化魔法で綺麗に出来るから着替えはなくとも大丈夫だとアレン様に言われ、もう、何でも魔法で出来るアレン様と一緒にいたら自分では何も出来ない人になりそうで怖い。
大きな街に行けばそこで新しい洋服を買えば良いと言われてそれもそうだと思った。
それと、アレン様はピアスを両耳に付けているのだけれど、その一つを私に付けてくれた。魔除けなのだそうだ。ちょっとちくっとしたけど、そのくらいだった。アレン様の瞳と同じ色の石が付いている。
お礼を言うと、「家族だから、当然の事だ」と言われた。
数日そこに泊まり、泊まっている間にアレン様が鳥に変幻して近隣を周り、魔法陣を要所要所に貼り付けて行った。次の宿屋のある条件の良い拠点を決めると、そこに私を連れて飛ぶと言う事を繰り返す。
三度ほど繰り返し、遂にロアンジュ殿下の国の側に近付いた。此処ではもう普通にギルドカードで買い物が出来たので助かる。
小国で有る特性を生かして、国の出入りは強固な警備がされている。この国には以前から潜入の計画がされていて、魔術師団が動いているので、次の宿屋ではアレン様の部下が商人として宿屋に宿泊して居た。
「エミリアン、お前をゼノディクスに返す事は可能だが、またアイツがお前を攫いに来た時に対抗出来る術が無いので、私の側にいろ。アンドレアは王宮内に匿ってあるので心配ない」
と言われた。王宮には強固な結界を前回アレン様と一緒に作った結界石を使い、張り直してあるのだ。
「はい、一緒に居ます。足手まといにならない様に働きます!」
「そんなに気負うな。普通にしていて良いのだ、よいな」
ぽん、と頭に手を乗せられた。
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