26 / 32
25話 怒ってる?
しおりを挟む
水竜ちゃんの元へ向かう道中に何度か窮地に陥っていた冒険者を助けたけれど、今日は随分と多いね? ちゃんと自分の実力に見合った場所じゃないと危ないよ?
と思っても当然ながら私には伝える口がないので、忠告する事すら出来ないんだけどねっ!
(着いたー!)
随分と久しぶりのように感じるけれど、その実そんなに期間は開いていない。水竜ちゃんは元気かなぁと早速湖へ飛び込むと、その途端に私の身体が強い水流に巻き込まれた。
(っ!?)
一瞬慌てたけれど、見覚えのある青い鱗が見えた事で安心する。けど私を引き寄せるように動く水流は荒々しくて、とてもじゃないけど歓迎しているようには感じない。
そうこうしている間にも私は水竜ちゃんの目の前へと連れてこられた。でもなんというか……すっごい怒ってる?
「ギュルル……」
(えっと…)
……まぁ、うん。心当たりはある。水竜ちゃんに会ってからは結構毎日のようにここに来てたからね。いきなり来なくなったらそら心配もするし、怒るのも当然だ。
(ご、ごめんね?)
兎も角直ぐさま謝罪するけれど、言葉が通じないので態度で示すしかない。
バタバタと荒れ狂う水の中を犬掻きで進んで水竜ちゃんへ近付き、コツンと額同士を擦り付ける。嫌って離れたとか、そういう訳じゃないとだけ伝わればそれで良い。
「…クルル」
(! えへへ…)
なんとか誠意が伝わったのか水竜ちゃんからも強くスリスリが返ってきて、取り敢えず安心。でもそう私もこれから頻繁に来られる訳じゃないからなぁ……。
それを伝えようとも思ったけれど、まず伝わらないだろうし、逆に伝わったら伝わったで大暴れしそうな予感がする。うん、やめとこ。
「キュル?」
(あぁ何でもないよ)
私がボーッとしていたからか、心配そうに水竜ちゃんが首を傾げた。とはいえ何も言えないし言うつもりもないので首を振って誤魔化し、暫く一緒に湖を泳ぐ。この湖って地中にあるのに凄い深くて広いんだよね。
(これ人間は無理じゃないかな?)
そう思えるくらいには深い。まぁこの世界には魔法もあるし、もしかしたらそういう水に長時間潜る魔法とかもあるのかもしれないね。
湖の中は色んな魚や光る結晶なんかがあるんだけど、そのどれもが前世では見たことの無いものだ。紫色の魚とか私毒ありますよって言ってるようにしか見えないよ。多分私は食べられるけど。
んでもって光る結晶なんだけど、これは所謂水晶の原石みたいな形をしている。でも色は様々あって、私の瞳みたいな菖蒲色の結晶もあったよ。これは一つだけ貰った。
多分これにも名前はあるのだろうし、結構なお金になりそうだけれど……無理に取ろうとは思わない。こうして湖底で集まってキラキラと輝いている時が、この結晶達の本当の姿だと思うからね。
水竜ちゃんに誘われるままにグングンと下へ連れられてしまったから、普段潜る深さよりもだいぶ深い所まで来てしまった。そろそろ戻らない? え、まだ行くの?
ここで私だけ引き返してもいいんだけど、その後の事を考えるとまず無理だろう。今度こそ水流に飲まれて二度と外に出して貰えないかもしれない。ヤンデレかな?
(……あれ?)
やっと湖の底が見えてきたと思えば、そこにあった物に思わず目が点になる。あのー……私の目が間違っていなければ、あれって宝箱では?
「キュルル♪」
(えっ、これ見せたかったの?)
どうやら水竜ちゃんはこれを私に見せたかったらしい。と、取り敢えず開けてみる? でも開けたら水入って大変な事に…いやそもそも水圧で開かないんじゃ?
そう思いながらも恐る恐る鼻先を付けると、殆ど抵抗も無く蓋が持ち上がった。という事はもう中は水で満たされているのかな。
(えーっと……これは?)
予想通り中は水で満たされていたようで、一つの気泡すら出てこなかった。まぁそこは良いんだ。ただ、中から出てきたものに関しては首を傾げるしかない。
今までは瓶に入ったポーションとか、宝石、あるいは金貨などの貨幣といった、一目で分かるものばかりだった。でも今回この宝箱から出てきたのは……澄んだ蒼い玉。それも中の色がゆっくりながらもグルグルと動いている。
(んー…取り敢えず回収して、ミリアさん達に見せてみようかな)
そう思って私の収納空間へ入れようと前脚を伸ばしその宝玉に触れた瞬間、ふわりとその宝玉が蒼い光を帯びた。突然の事に慌てて前脚を引き戻そうとしたのだけれど、その光はあっという間に私の前脚へと届き、そのままスルスルと脚を伝って私の中へ入って来た。
(ふぇっ!?)
ピリピリとした感覚が走るも、それは一瞬の事で。光は私に溶け込むようにして消え去って、宝玉はその綺麗な色を失いサラサラと崩れていった。こ、これ大丈夫なやつ!?
壊してしまったかと思って恐る恐る水竜ちゃんの様子を窺うも、水竜ちゃんは何処と無く満足気に頷いていた。正解でいいの? ほんとに?
(何だったんだろ…)
そう思いながらも取り敢えず上へ戻ろうと、今度は水竜ちゃんをしっかりと見て―――――――
――――――ブリュード・リヴァイアサン
………うん?
と思っても当然ながら私には伝える口がないので、忠告する事すら出来ないんだけどねっ!
(着いたー!)
随分と久しぶりのように感じるけれど、その実そんなに期間は開いていない。水竜ちゃんは元気かなぁと早速湖へ飛び込むと、その途端に私の身体が強い水流に巻き込まれた。
(っ!?)
一瞬慌てたけれど、見覚えのある青い鱗が見えた事で安心する。けど私を引き寄せるように動く水流は荒々しくて、とてもじゃないけど歓迎しているようには感じない。
そうこうしている間にも私は水竜ちゃんの目の前へと連れてこられた。でもなんというか……すっごい怒ってる?
「ギュルル……」
(えっと…)
……まぁ、うん。心当たりはある。水竜ちゃんに会ってからは結構毎日のようにここに来てたからね。いきなり来なくなったらそら心配もするし、怒るのも当然だ。
(ご、ごめんね?)
兎も角直ぐさま謝罪するけれど、言葉が通じないので態度で示すしかない。
バタバタと荒れ狂う水の中を犬掻きで進んで水竜ちゃんへ近付き、コツンと額同士を擦り付ける。嫌って離れたとか、そういう訳じゃないとだけ伝わればそれで良い。
「…クルル」
(! えへへ…)
なんとか誠意が伝わったのか水竜ちゃんからも強くスリスリが返ってきて、取り敢えず安心。でもそう私もこれから頻繁に来られる訳じゃないからなぁ……。
それを伝えようとも思ったけれど、まず伝わらないだろうし、逆に伝わったら伝わったで大暴れしそうな予感がする。うん、やめとこ。
「キュル?」
(あぁ何でもないよ)
私がボーッとしていたからか、心配そうに水竜ちゃんが首を傾げた。とはいえ何も言えないし言うつもりもないので首を振って誤魔化し、暫く一緒に湖を泳ぐ。この湖って地中にあるのに凄い深くて広いんだよね。
(これ人間は無理じゃないかな?)
そう思えるくらいには深い。まぁこの世界には魔法もあるし、もしかしたらそういう水に長時間潜る魔法とかもあるのかもしれないね。
湖の中は色んな魚や光る結晶なんかがあるんだけど、そのどれもが前世では見たことの無いものだ。紫色の魚とか私毒ありますよって言ってるようにしか見えないよ。多分私は食べられるけど。
んでもって光る結晶なんだけど、これは所謂水晶の原石みたいな形をしている。でも色は様々あって、私の瞳みたいな菖蒲色の結晶もあったよ。これは一つだけ貰った。
多分これにも名前はあるのだろうし、結構なお金になりそうだけれど……無理に取ろうとは思わない。こうして湖底で集まってキラキラと輝いている時が、この結晶達の本当の姿だと思うからね。
水竜ちゃんに誘われるままにグングンと下へ連れられてしまったから、普段潜る深さよりもだいぶ深い所まで来てしまった。そろそろ戻らない? え、まだ行くの?
ここで私だけ引き返してもいいんだけど、その後の事を考えるとまず無理だろう。今度こそ水流に飲まれて二度と外に出して貰えないかもしれない。ヤンデレかな?
(……あれ?)
やっと湖の底が見えてきたと思えば、そこにあった物に思わず目が点になる。あのー……私の目が間違っていなければ、あれって宝箱では?
「キュルル♪」
(えっ、これ見せたかったの?)
どうやら水竜ちゃんはこれを私に見せたかったらしい。と、取り敢えず開けてみる? でも開けたら水入って大変な事に…いやそもそも水圧で開かないんじゃ?
そう思いながらも恐る恐る鼻先を付けると、殆ど抵抗も無く蓋が持ち上がった。という事はもう中は水で満たされているのかな。
(えーっと……これは?)
予想通り中は水で満たされていたようで、一つの気泡すら出てこなかった。まぁそこは良いんだ。ただ、中から出てきたものに関しては首を傾げるしかない。
今までは瓶に入ったポーションとか、宝石、あるいは金貨などの貨幣といった、一目で分かるものばかりだった。でも今回この宝箱から出てきたのは……澄んだ蒼い玉。それも中の色がゆっくりながらもグルグルと動いている。
(んー…取り敢えず回収して、ミリアさん達に見せてみようかな)
そう思って私の収納空間へ入れようと前脚を伸ばしその宝玉に触れた瞬間、ふわりとその宝玉が蒼い光を帯びた。突然の事に慌てて前脚を引き戻そうとしたのだけれど、その光はあっという間に私の前脚へと届き、そのままスルスルと脚を伝って私の中へ入って来た。
(ふぇっ!?)
ピリピリとした感覚が走るも、それは一瞬の事で。光は私に溶け込むようにして消え去って、宝玉はその綺麗な色を失いサラサラと崩れていった。こ、これ大丈夫なやつ!?
壊してしまったかと思って恐る恐る水竜ちゃんの様子を窺うも、水竜ちゃんは何処と無く満足気に頷いていた。正解でいいの? ほんとに?
(何だったんだろ…)
そう思いながらも取り敢えず上へ戻ろうと、今度は水竜ちゃんをしっかりと見て―――――――
――――――ブリュード・リヴァイアサン
………うん?
44
あなたにおすすめの小説
落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!
たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。
途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。
鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒!
素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。
裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
妖精の森の、日常のおはなし。
華衣
ファンタジー
気づいたら、知らない森の中に居た僕。火事に巻き込まれて死んだはずだけど、これってもしかして転生した?
でも、なにかがおかしい。まわりの物が全部大きすぎるのだ! 草も、石も、花も、僕の体より大きい。巨人の国に来てしまったのかと思ったけど、よく見たら、僕の方が縮んでいるらしい。
あれ、身体が軽い。ん!?背中から羽が生えてる!?
「僕、妖精になってるー!?」
これは、妖精になった僕の、ただの日常の物語である。
・毎日18時投稿、たまに休みます。
・お気に入り&♡ありがとうございます!
母を訪ねて十万里
サクラ近衛将監
ファンタジー
エルフ族の母と人族の父の第二子であるハーフとして生まれたマルコは、三歳の折に誘拐され、数奇な運命を辿りつつ遠く離れた異大陸にまで流れてきたが、6歳の折に自分が転生者であることと六つもの前世を思い出し、同時にその経験・知識・技量を全て引き継ぐことになる。
この物語は、故郷を遠く離れた主人公が故郷に帰還するために辿った道のりの冒険譚です。
概ね週一(木曜日22時予定)で投稿予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる