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① −序−
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恋をしたのなんて いつぶりだろう
ある意味 初恋かもしれない
⋯⋯同性を好きになったのは 初めてだから
惹かれて やまない
想いを自覚してから あふれて こぼれて
貴方が欲しくて仕方ない
別に おかしなことじゃない こっちではね
でも貴方の元いた世界では 当たり前では ないらしい⋯⋯
だから知られたら いけない気がして
嘘が下手くそで 感情が顔に出やすい俺が
恋心を隠し通すなんて できるのか⋯⋯?
南東の山あいに大きくはないが、それなりに発展している町がある。透明度の高い綺麗な海が近く、景色の美しさが売りでもあったので観光で訪れる人も少なくはない。
暗緑色の古びたマント、そのフードを被った背の高い人物が一人、慣れた足取りで町中を歩いていた。荷物を肩から担ぎ、腰元には大きな剣を装備している。
町はずれの方にある青い屋根の建物の前で止まると迷いなくドアノブに手をかけ扉を開けた。
「あら、おかえり」
「ポーラ、ただいま!」
ポーラという名の ふくよかな老女から帰還歓迎の挨拶。それを受けハキハキと返しながらフードを取る。
淡い薔薇に似た赤と深い茶の2色の髪の青年が顔を見せた。精悍な顔立ちで、瞳の色は片方だけエメラルドが溶け込んだような青翠色をしている。
「カヤミ は⋯⋯診察中?」
「あぁ、ちょっと待ってね」
青年からの問いかけに、ポーラは階段の方へ行くと2階に向かって大きな声で呼びかけた。
「カヤミ~ ロティルカレアが来たわよ~」
しばらくすると、2階から階段を降りる音と共に現れたのは、薄い露草色の青い髪をした若い男性。細身で白衣を纏い、胸ポケットには折り畳まれた金縁の眼鏡。切れ長で深い青紫色の瞳が赤髪の彼の姿をとらえる。
「おかえり」
「カヤミ! ⋯⋯ただいま」
カヤミと呼ばれた青年は、ロティルカレアを柔らかい表情と澄んだ声で優しく迎えた。
奥の部屋でポーラが用意してくれたお茶を飲みながらの久方ぶりの談笑。砂糖が2杯入っている紅茶をカヤミへと手渡す。
「今日は忙しい?」
「簡単な案件ばかりだし、患者も少ないからそうでもない。消毒と包帯だけならポーラもやってくれるし。
ロティルの左腕の傷、今 包帯の交換しておこうか」
「⋯⋯う ん」
カヤミから 「ロティル」と名前を呼ばれて、口元がつい緩む。
カヤミだけが 俺をこう呼んでくれる
「じゃあ、腕 見るから」
カヤミの白く細い手がロティルの左腕に触れ、黒いインナーの袖を捲る。手首と肘の中間の位置に巻かれている包帯をゆっくりと丁寧に解いていく。
掌が隠れる黒い手袋を常にしているカヤミの右手。その右手の指先と左手の体温が、ロティルに じんわりと伝わる。
いつも少し冷たい左手
⋯⋯俺が熱くなってるせいなのかな
指も そうだけど 首も細くて線が綺麗で⋯⋯
まつ毛の長さがわかるくらいの この距離の近さ
もし 俺の顔が赤くなってたら
「相変わらず左腕の怪我が多いな」
「⋯⋯」
うわの空だったせいで、ロティルはカヤミの言葉に気が付かない。
「⋯⋯消毒、痛かった?」
「え!? そ、そうでもないけど」
「何も言わないから、我慢してるのかと思って。
あと赤いし⋯⋯顔」
「っ!!」
「大丈夫?」
サラリとした青色の髪を揺らし、心配そうな眼差しをする大きな瞳。腕に伝わる体温、澄んだ穏やかな声。そんなカヤミの問いかけにロティルが狼狽する理由。
我慢は してるよ すごく
カヤミに恋する気持ちを抑え込んでる
秘密に しなきゃ
俺の気持ちをカヤミが知ったら⋯⋯
嫌がられて 一緒にいられなくなるかもしれない
言えない辛さより 離れられてしまうのが
一番怖い
──── でも お願いだから
俺以外の誰かと恋なんてしないで
⋯⋯絶対させない
ある意味 初恋かもしれない
⋯⋯同性を好きになったのは 初めてだから
惹かれて やまない
想いを自覚してから あふれて こぼれて
貴方が欲しくて仕方ない
別に おかしなことじゃない こっちではね
でも貴方の元いた世界では 当たり前では ないらしい⋯⋯
だから知られたら いけない気がして
嘘が下手くそで 感情が顔に出やすい俺が
恋心を隠し通すなんて できるのか⋯⋯?
南東の山あいに大きくはないが、それなりに発展している町がある。透明度の高い綺麗な海が近く、景色の美しさが売りでもあったので観光で訪れる人も少なくはない。
暗緑色の古びたマント、そのフードを被った背の高い人物が一人、慣れた足取りで町中を歩いていた。荷物を肩から担ぎ、腰元には大きな剣を装備している。
町はずれの方にある青い屋根の建物の前で止まると迷いなくドアノブに手をかけ扉を開けた。
「あら、おかえり」
「ポーラ、ただいま!」
ポーラという名の ふくよかな老女から帰還歓迎の挨拶。それを受けハキハキと返しながらフードを取る。
淡い薔薇に似た赤と深い茶の2色の髪の青年が顔を見せた。精悍な顔立ちで、瞳の色は片方だけエメラルドが溶け込んだような青翠色をしている。
「カヤミ は⋯⋯診察中?」
「あぁ、ちょっと待ってね」
青年からの問いかけに、ポーラは階段の方へ行くと2階に向かって大きな声で呼びかけた。
「カヤミ~ ロティルカレアが来たわよ~」
しばらくすると、2階から階段を降りる音と共に現れたのは、薄い露草色の青い髪をした若い男性。細身で白衣を纏い、胸ポケットには折り畳まれた金縁の眼鏡。切れ長で深い青紫色の瞳が赤髪の彼の姿をとらえる。
「おかえり」
「カヤミ! ⋯⋯ただいま」
カヤミと呼ばれた青年は、ロティルカレアを柔らかい表情と澄んだ声で優しく迎えた。
奥の部屋でポーラが用意してくれたお茶を飲みながらの久方ぶりの談笑。砂糖が2杯入っている紅茶をカヤミへと手渡す。
「今日は忙しい?」
「簡単な案件ばかりだし、患者も少ないからそうでもない。消毒と包帯だけならポーラもやってくれるし。
ロティルの左腕の傷、今 包帯の交換しておこうか」
「⋯⋯う ん」
カヤミから 「ロティル」と名前を呼ばれて、口元がつい緩む。
カヤミだけが 俺をこう呼んでくれる
「じゃあ、腕 見るから」
カヤミの白く細い手がロティルの左腕に触れ、黒いインナーの袖を捲る。手首と肘の中間の位置に巻かれている包帯をゆっくりと丁寧に解いていく。
掌が隠れる黒い手袋を常にしているカヤミの右手。その右手の指先と左手の体温が、ロティルに じんわりと伝わる。
いつも少し冷たい左手
⋯⋯俺が熱くなってるせいなのかな
指も そうだけど 首も細くて線が綺麗で⋯⋯
まつ毛の長さがわかるくらいの この距離の近さ
もし 俺の顔が赤くなってたら
「相変わらず左腕の怪我が多いな」
「⋯⋯」
うわの空だったせいで、ロティルはカヤミの言葉に気が付かない。
「⋯⋯消毒、痛かった?」
「え!? そ、そうでもないけど」
「何も言わないから、我慢してるのかと思って。
あと赤いし⋯⋯顔」
「っ!!」
「大丈夫?」
サラリとした青色の髪を揺らし、心配そうな眼差しをする大きな瞳。腕に伝わる体温、澄んだ穏やかな声。そんなカヤミの問いかけにロティルが狼狽する理由。
我慢は してるよ すごく
カヤミに恋する気持ちを抑え込んでる
秘密に しなきゃ
俺の気持ちをカヤミが知ったら⋯⋯
嫌がられて 一緒にいられなくなるかもしれない
言えない辛さより 離れられてしまうのが
一番怖い
──── でも お願いだから
俺以外の誰かと恋なんてしないで
⋯⋯絶対させない
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