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第二章 氷狼騎士団長の秘密
<4>レヴィとの再会2
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眩しさと強風がおさまった気配に目を開けると、景色が一変していた。これがレヴィの寝室なのだろうか。絨毯から家具、ベッド、そしてカーテンに至るまですべてが黒一色で統一されている。
静まり返り、最小限の明かりしか灯っていない部屋の中は薄暗い上に人の気配がない。
「魔法陣の行き先、間違えたのかもな」
首を傾げながら魔法陣の外に足を踏み出した、そのとき。
「間違ってないよ」
「ぎゃっ!!」
驚きのあまり大声が出る。いつの間にか正面にはただならぬ美しさの少年が立っていた。まだ15歳くらいだろうか。真っ黒な軍服を着ており、腰には剣も下げている。
さらに胸元にはたくさんの銀や金の勲章がついていた。
「ありがとな。ここ、おまえの部屋なのか?」
「うん」
「やっぱり間違ったんだな。ごめんな。俺、実はこれから騎士団長様のところに行かなきゃいけなくて――」
被せるように少年の呆れ声が響く。
「だーかーらぁ。話聞いてた? 間違ってないってば」
「はぁ?」
「団長様は僕。ここは僕の部屋。きみ、ラムズデール家から来たオメガの子でしょ?」
頭が追いつかない。確かに言われてみればレヴィに似ている。俺が一緒に過ごしたのはもっと小さな頃だったが、きっと成長したらこんな風だったろう。
だが今の彼の年齢は俺より上だ。もしかして彼はレヴィの弟か何かで、俺はからかわれているんだろうか。
「んなわけねーだろ。急いでんだよ。ガキに構ってる暇はねえよ。それより騎士団長様のところに連れてってくれよ」
だが美少年は肩を竦めるだけだ。
「僕の話、信じてないでしょ?」
「当たり前だろ。だいたい騎士団長はもう30歳ぐらいのはずだろ。さすがにアイルズベリーにもそれぐらいの情報は流れてるぞ」
思わず言い返すと、美少年は意地悪そうにニヤリと笑った。
「本当なんだけどな……まあ仕方ないか。じゃあ今から証明してあげるね」
「どうやって?」
「んー。ちょっと目を閉じてみてくれない?」
言われるがままに目を閉じる。
「じゃ、いくよ」
ずいぶん近くで声が聞こえるなと思ったと同時に、唇に少し湿った暖かいものが触れた、ような気がした。まて、まさかこれって――。
勢いよく目を開くと美少年の姿は消えていた。代わりに目の前に立っていたのは彼と同じ髪と目の色を持つ、やはり恐ろしいほどに美しい青年だった。
何か起きたんだろうか。どういうことだろう。驚きすぎた俺はへなへなとその場に座り込み、あらためて目の前の美青年を見上げる。
真珠色の肌に少年期よりさらに怜悧な印象を与える鋭いフェイスライン。月のような白銀の髪は前髪の長さに比して、後ろが短い。髪と同じ色の長く濃いまつ毛は目元に影を落としている。
くっきりとした二重瞼の下には南国の海を思わせるネオンブルーの瞳が輝いている。吸い込まれるような美しい青は、まだラムズデール家で大切にされていた頃、出入りの宝石商が見せてくれたパライバトルマリンという稀少な宝石を思い出させた。
青年は腰を屈めると俺の目を覗き込むようにしてじっと見る。
「これで信じてくれた? ていうかきみ思ったよりちゃんとした“力”を持ってたんだね。安心した」
驚きのあまり言葉のでない俺に、彼は恭しく礼をして花のような笑みを浮かべた。
「ようこそベリンガム帝国へ。僕がこの国の騎士団長、レヴィ・ヴァンダービルトだよ」
静まり返り、最小限の明かりしか灯っていない部屋の中は薄暗い上に人の気配がない。
「魔法陣の行き先、間違えたのかもな」
首を傾げながら魔法陣の外に足を踏み出した、そのとき。
「間違ってないよ」
「ぎゃっ!!」
驚きのあまり大声が出る。いつの間にか正面にはただならぬ美しさの少年が立っていた。まだ15歳くらいだろうか。真っ黒な軍服を着ており、腰には剣も下げている。
さらに胸元にはたくさんの銀や金の勲章がついていた。
「ありがとな。ここ、おまえの部屋なのか?」
「うん」
「やっぱり間違ったんだな。ごめんな。俺、実はこれから騎士団長様のところに行かなきゃいけなくて――」
被せるように少年の呆れ声が響く。
「だーかーらぁ。話聞いてた? 間違ってないってば」
「はぁ?」
「団長様は僕。ここは僕の部屋。きみ、ラムズデール家から来たオメガの子でしょ?」
頭が追いつかない。確かに言われてみればレヴィに似ている。俺が一緒に過ごしたのはもっと小さな頃だったが、きっと成長したらこんな風だったろう。
だが今の彼の年齢は俺より上だ。もしかして彼はレヴィの弟か何かで、俺はからかわれているんだろうか。
「んなわけねーだろ。急いでんだよ。ガキに構ってる暇はねえよ。それより騎士団長様のところに連れてってくれよ」
だが美少年は肩を竦めるだけだ。
「僕の話、信じてないでしょ?」
「当たり前だろ。だいたい騎士団長はもう30歳ぐらいのはずだろ。さすがにアイルズベリーにもそれぐらいの情報は流れてるぞ」
思わず言い返すと、美少年は意地悪そうにニヤリと笑った。
「本当なんだけどな……まあ仕方ないか。じゃあ今から証明してあげるね」
「どうやって?」
「んー。ちょっと目を閉じてみてくれない?」
言われるがままに目を閉じる。
「じゃ、いくよ」
ずいぶん近くで声が聞こえるなと思ったと同時に、唇に少し湿った暖かいものが触れた、ような気がした。まて、まさかこれって――。
勢いよく目を開くと美少年の姿は消えていた。代わりに目の前に立っていたのは彼と同じ髪と目の色を持つ、やはり恐ろしいほどに美しい青年だった。
何か起きたんだろうか。どういうことだろう。驚きすぎた俺はへなへなとその場に座り込み、あらためて目の前の美青年を見上げる。
真珠色の肌に少年期よりさらに怜悧な印象を与える鋭いフェイスライン。月のような白銀の髪は前髪の長さに比して、後ろが短い。髪と同じ色の長く濃いまつ毛は目元に影を落としている。
くっきりとした二重瞼の下には南国の海を思わせるネオンブルーの瞳が輝いている。吸い込まれるような美しい青は、まだラムズデール家で大切にされていた頃、出入りの宝石商が見せてくれたパライバトルマリンという稀少な宝石を思い出させた。
青年は腰を屈めると俺の目を覗き込むようにしてじっと見る。
「これで信じてくれた? ていうかきみ思ったよりちゃんとした“力”を持ってたんだね。安心した」
驚きのあまり言葉のでない俺に、彼は恭しく礼をして花のような笑みを浮かべた。
「ようこそベリンガム帝国へ。僕がこの国の騎士団長、レヴィ・ヴァンダービルトだよ」
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