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第五章 ヴァンダービルトの呪い
<7>エリスの決意
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「こんなんじゃダメだっ!!」
勢いよく飛び起きる。隣で眠っていたレヴィも目を覚ました。
「エリス様? どうなさったんです?」
「レヴィ。俺たち今日、何してたと思う?」
俺の問いにレヴィは小首を傾げ、それからにっこりと笑う。
「今日は朝からエリス様の体調が思わしくなかったので、僕も早く仕事を終わらせてベッドでゆっくり過ごしましたね。あ、魔力供給もいつもより長めにして頂きました。ふふ。まだ夜なので朝まではゆっくり二人で過ごすことができます」
「それ! それだよ! ダメだろこんなの!」
「何がです?」
「こんな……1日中ベッドの上で過ごすなんてダメだ。こんな爛れた生活をしてたら俺、おかしくなっちまうぞ!」
「そうでしょうか……?」
レヴィはやや不満そうに口を尖らせる。可愛い。可愛いけど、ここで引いたらダメだ。
「俺はもっと健全に過ごす。決めたぞ! 今日だっておまえに呪いの話をするつもりだったんだから」
「呪い? ヴァンダービルト家のですか?」
「ああ。月の女神と銀の狼の話が、まさかこの家にまつわるものだとは知らなかったよ」
「そうですね。民話の方はだいぶ脚色もされていますし」
「おまえは呪いについて調べてたんだよな? 薬も作ってたぐらいだから」
「はい。わが家に伝わる呪いについての文献や資料がありますから」
「それ、俺も見たい! どこにあるんだ?」
「この屋敷の図書室です。明日、案内して差し上げますね」
「サンキュ! 助かる。でもおまえ忙しいだろ? シェーンかリアムがいれば――」
「エリス様」
「な、なに」
「僕、言いましたよね? エリス様のお手伝いをするのは僕だけだと」
「あ、そういえば……ああ、うん」
しまった。すっかり忘れていた。俺としては多忙なレヴィを気遣うつもりで言ったのに、レヴィの目はまったく笑っていない。これは少し怒っている。
「僕が、ご案内します。いいですね?」
「わかった……ありがとう」
「エリス様の望みは僕だけに向けられていてほしいんです。そして、エリス様の願いを叶えるのも常に僕でありたい。それぐらい、好きなんです」
「そ、そうか……」
前触れもなく甘い言葉を吐くのをやめてほしい。毎回慣れないし、どうしていいかわからなくなる。
レヴィの前では元師匠として常にかっこよくありたい。それなのに今の俺はしどろもどろで目を泳がせている。クソダサい。
そんな俺の気持ちなど知らないレヴィは俺の両肩を優しく押して、ベッドへ寝かせる。
「今日はもう休みましょう。夜更かしをしすぎると、朝起きられなくなります」
「うん、そうだな」
レヴィは俺の方に身体を向けたまま自分も横になる。薄闇の中でも綺麗に光るアクアマリンの双眸がこっちを見ているのがわかり、俺は寝返りを打つふりをして背を向けた。
「……っ」
するとレヴィの手が伸びてきて、ベッドの中でバッグハグされる体勢になる。
「おやすみなさい、エリス様」
耳元で囁かれると、背筋がゾクゾクする。
「お、おやすみ」
目を瞑っても体に巻き付いた腕と背中から伝わる体温に意識をもっていかれてしまう。レヴィの規則的な寝息が背後から聞こえてきても俺はしばらく眠ることができずにいたのだった。
勢いよく飛び起きる。隣で眠っていたレヴィも目を覚ました。
「エリス様? どうなさったんです?」
「レヴィ。俺たち今日、何してたと思う?」
俺の問いにレヴィは小首を傾げ、それからにっこりと笑う。
「今日は朝からエリス様の体調が思わしくなかったので、僕も早く仕事を終わらせてベッドでゆっくり過ごしましたね。あ、魔力供給もいつもより長めにして頂きました。ふふ。まだ夜なので朝まではゆっくり二人で過ごすことができます」
「それ! それだよ! ダメだろこんなの!」
「何がです?」
「こんな……1日中ベッドの上で過ごすなんてダメだ。こんな爛れた生活をしてたら俺、おかしくなっちまうぞ!」
「そうでしょうか……?」
レヴィはやや不満そうに口を尖らせる。可愛い。可愛いけど、ここで引いたらダメだ。
「俺はもっと健全に過ごす。決めたぞ! 今日だっておまえに呪いの話をするつもりだったんだから」
「呪い? ヴァンダービルト家のですか?」
「ああ。月の女神と銀の狼の話が、まさかこの家にまつわるものだとは知らなかったよ」
「そうですね。民話の方はだいぶ脚色もされていますし」
「おまえは呪いについて調べてたんだよな? 薬も作ってたぐらいだから」
「はい。わが家に伝わる呪いについての文献や資料がありますから」
「それ、俺も見たい! どこにあるんだ?」
「この屋敷の図書室です。明日、案内して差し上げますね」
「サンキュ! 助かる。でもおまえ忙しいだろ? シェーンかリアムがいれば――」
「エリス様」
「な、なに」
「僕、言いましたよね? エリス様のお手伝いをするのは僕だけだと」
「あ、そういえば……ああ、うん」
しまった。すっかり忘れていた。俺としては多忙なレヴィを気遣うつもりで言ったのに、レヴィの目はまったく笑っていない。これは少し怒っている。
「僕が、ご案内します。いいですね?」
「わかった……ありがとう」
「エリス様の望みは僕だけに向けられていてほしいんです。そして、エリス様の願いを叶えるのも常に僕でありたい。それぐらい、好きなんです」
「そ、そうか……」
前触れもなく甘い言葉を吐くのをやめてほしい。毎回慣れないし、どうしていいかわからなくなる。
レヴィの前では元師匠として常にかっこよくありたい。それなのに今の俺はしどろもどろで目を泳がせている。クソダサい。
そんな俺の気持ちなど知らないレヴィは俺の両肩を優しく押して、ベッドへ寝かせる。
「今日はもう休みましょう。夜更かしをしすぎると、朝起きられなくなります」
「うん、そうだな」
レヴィは俺の方に身体を向けたまま自分も横になる。薄闇の中でも綺麗に光るアクアマリンの双眸がこっちを見ているのがわかり、俺は寝返りを打つふりをして背を向けた。
「……っ」
するとレヴィの手が伸びてきて、ベッドの中でバッグハグされる体勢になる。
「おやすみなさい、エリス様」
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「お、おやすみ」
目を瞑っても体に巻き付いた腕と背中から伝わる体温に意識をもっていかれてしまう。レヴィの規則的な寝息が背後から聞こえてきても俺はしばらく眠ることができずにいたのだった。
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