魔力ゼロの無能オメガのはずが嫁ぎ先の氷狼騎士団長に執着溺愛されて逃げられません!

松原硝子

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第六章 解呪と試練

<6>嫉妬の嵐1

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解呪は拍子抜けするほどあっさりと終わった。
アリルはなぜか上機嫌になり、その場ですぐにレヴィの額に手をかざすと呪いを解いてくれたのだ。

「はい終了ー」
「……これで終わりなのですか」

レヴィは呆然とした顔で両手の手のひらを見つめている。
「かなり古く複雑な呪いだと仰っていたのに」

「別にこんなん複雑でもなんでもねえよ。アイツはそっち方面全然ダメだからだろ」
アリルは得意げに鼻を鳴らす。

「ありがとうございます、アリル様。これで我がヴァンダービルト家はなんの苦しみもなく生きることができます」
レヴィはアリルに向かって恭しく礼をする。

「ではそろそろお暇しましょうか、エリス様」
頭あげたレヴィはにっこりと微笑む。

「お、おう……」
レヴィからどす黒いオーラが漂っているように見えるのは気のせいだろうか。

「ではアリル様。僕たちはこれで――」
レヴィが立ち上がりかけた瞬間、アリルが大声を上げた。

「待て! 俺も行く!!」
「……は?」

レヴィはぽかんとした顔をしている。俺も多分、同じような表情になっているだろう。
「だから、俺も一緒に行くつってんの」

「……なぜです?」
レヴィは笑顔を浮かべているが目が笑っていない。

「はぁ? おまえらが言ったんだろ、王と狼神に会う機会作ってくれるって。だから俺、ついてくから! しばらくおまえん家に住まわせろよ」

「ですが――」
レヴィが反論しかけた瞬間、アリルが俺とレヴィの肩に手を置く。

次の瞬間、俺たちはヴァンダービルト邸の私室に戻っていた。
「すげえ……転移魔法より早い!」

転移魔法は瞬間的に移動できるといっても、身体にはある程度の負担がかかる。
転移酔いなんて言葉もあるぐらいで人によっては馬車などの乗り物酔いのような症状が出ることも少なくない。

だがアリルの魔法は本当に一瞬だった。
瞬きひとつする間に、身体になんの負担もなく景色が一変したのだ。

「まあ俺、神だからな」
アリルは褒められるのに弱いらしくすごいと言っただけで機嫌が良さそうな声になる。

「本当に素晴らしいですね」
レヴィも笑顔でアリルを賞賛している。だがやはり漂う空気はなんだか怖い。

「ではアリル様。お部屋に案内いたしますね」
「おまえらの部屋はどこなんだ?」

「……この部屋が僕たちの寝室ですが」
「じゃあ俺もここで寝ればよくねーか?」

「それはいけません」
「あ? なんでだよ」

眉を顰めるアリルにレヴィは目を細める。
「アリル様。僕たちは夫婦なんです。夫婦が夜に寝室ですることと言えば……おわかりですよね?」

「ふーん。そっか、おまえら夫婦なんだもんな。ヤることやってるってことか」
「ええ。もちろんです」
「なっ……!」

俺たちそんな関係じゃないだろ! とツッコミを入れたかったのだが、レヴィがちらりと視線を投げてくる。その目の中には、明らかに怒りの光が燃えているように見える。

(なんかよくわかんねえけど、大人しくしといた方が良さそうだな……)

「わかったよ。さすがにそこまで野暮じゃねえ」
「ありがとうございます、アリル様。それではお部屋にご案内しますね」

レヴィとアリルは魔法陣を踏み、部屋から出ていく。
すぐに戻って来たレヴィは少しいつもと違うように見えた。

「どうしたんだよ? さっきから変だぞ。解呪の影響で具合でも――うおっ!」
レヴィは無言で俺を担ぐように持ち上げると、ベッドの上に放り投げた。

「おい! 何すんだよ!」
だが素早く覆いかぶさってきたレヴィは俺の手首を掴んでシーツに押し付ける。
両脚もレヴィの脚に抑え込まれて身動きすることができない。

「おい! レヴィ! 聞いてんのか!? どうしたんだよ!?」
だがレヴィは何も言わない。

アクアマリンの瞳は瞳孔が開ききり、肉食獣のようにギラついている。
顔がどんどん近づいてきて、思わず目を閉じる。すると温かいものが唇に触れた。
はっとして目を開く。

「レヴィ! もう魔力供給は必要な――んうっ」
だがレヴィはそれには答えずに再び口づけた。

触れるだけだがいつまでも離れない唇に、鼻で息をするにも限界がくる。
酸素を求めて開いた口の中に容赦なく舌がねじ込まれた。

「んっ!? んんっ! んーーっ!!」
驚いて暴れる俺をレヴィは強い力で抑えつけ、激しく深く責め続けた。
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