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第七章 真実の愛
<6>別邸へ
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「別邸へ引っ越し? 俺が?」
「そう。できれば明日には行ってもらいたいんだけど」
「そんな、急に」
この前、盗み聞きしてしまったこと以上の衝撃なんてないと思っていたのに。
レヴィの言葉に心臓が嫌な速さで胸を叩く。喉に何かが詰まったようで言葉が出てこない。
「お互いにそのほうが気楽でしょ。きみだってこの結婚を望んでいたわけじゃないでしょ。
本当は離婚を考えいたんだけど、思った以上に時間がかかりそうなんだよね。たぶん年単位の話になっちゃうから。それなら離れて暮らした方が気楽でしょ」
「わかった」
「オッケー。話が早くて助かるよ。必要なことは全部、マークから連絡させる。じゃ、もう戻っていいよ。おつかれ」
レヴィは椅子を回転させて窓の方を向く。もうお前には用がないと言わんばかりの態度に心の奥がずきりと痛んだ。
「のどかだなあ……」
広いバルコニーから見下ろす景色は辺り一面、畑だ。遠くにはキラキラ光る湖面が見える。
レヴィに従って翌日には本邸から少し離れた領地にある別邸へと引っ越してきたのだ。
転移魔法で必要なものだけ移動すればいいのでとても簡単な上に、持っていくものなどほとんどないのであっという間に引っ越しは完了した。
別邸はいつ当主がやってきてもいいように整備されていることもあり、ついた当日から生活できるようになっていた。
「これでよかったのかよ」
隣に立つアリルがぶっきらぼうに呟く。
アリルはなぜか俺の目付け役を買ってでて、ついてきた。
神様って暇なんだろうかと思ったのは、ここだけの話である。
横を向くと不機嫌な瞳にぶつかった。
「アイツ、このままじゃ記憶なくしたまま、おまえと離婚しちまうぞ」
口調は荒いが心配してくれるのが伝わってくる。
「わかってるよ。でもそれも仕方ないっていうか、人生かなって。そもそも俺だって、レヴィのことをそういう意味で好きなわけじゃないし」
アリルが何か言おうと口を開いた瞬間、リアムが駆け寄ってきた。
「エリス様ーーーー!!」
「どうした?」
「領民たちが歓迎の宴を開いてくれるそうです! こちらをご覧ください」
リアムが手に持っていた招待状を手渡してくる。
この領地の管理を任せている臣下からの手紙で、日が沈む頃に領内にある広場で行われているという。
レヴィに冷たい対応をされているせいか、形式上だとしても歓迎させることが嬉しい。
リアムと勝手についてくるアリルを引き連れ、俺は広場へと向かった。
「エリス様! ようこそおいでくださいました!」
宴に到着するなり、領民たちが笑顔で話しかけてくる。
王都の本宅と違って、使用人や領民との距離がとても近いのが嬉しい。
進められるままに席に着くと、次々と美味しそうな料理や酒が運ばれてきた。
鶏の丸焼きや野菜のソテー、ミンスパイにりんごの重ね焼きなどの素朴で味わい深い料理に心があったかくなる。
「料理も最高だし酒も美味いな」
アリルも満足げな顔で次々と料理や酒に手を伸ばしている。野外なのも気持ちが良くて、どんどん盃が進んでしまう。
ヴァンダービルト家に領地の管理を任されているオーウェンさんが嬉しそうに話しかけてくる。
「お気に召しましたか? このワインは領地の特産であるクインスベリーというブドウをで作っているんです」
「この国にこんなに美味いワインがあるとは思わなかったよ。王都でも人気だろうな」
「いいえ。国内産のワインということで、なかなか販路が拡大できないのです。試飲さえ断られてしまうことばかりで……」
オーウェンさんは悲しそうに目を伏せた。
ベリンガムは農産物の質が他国と比較すると質があまり良くない。特に酒類は顕著で、国内のワインやシャンパンで評価が高いものはほとんどない。
だが、このワインは本物だ。
「せっかく国内にこんなにいいワインがあるのに。なんとかしたいな……」
思わず口から零れでた言葉に、オーウェンさんがパッと顔を上げる。
「本当ですか!? アイルズベリーからいらっしゃったエリス様がお力になってくださるなんて、こんなに心強いことはございません!」
期待に満ちた眼差しを向けられると、なんとかしたいという気持ちが湧き上がってくる。
(落ち込んでいても仕方ない。離婚されるまでの間、どうせならこの国や領民のためにできることをしよう)
そう思うと同時に、心の靄が晴れていくようにな何かが吹っ切れ、アドレナリンがみなぎってくる感覚に久々に気分が高揚した。
「そう。できれば明日には行ってもらいたいんだけど」
「そんな、急に」
この前、盗み聞きしてしまったこと以上の衝撃なんてないと思っていたのに。
レヴィの言葉に心臓が嫌な速さで胸を叩く。喉に何かが詰まったようで言葉が出てこない。
「お互いにそのほうが気楽でしょ。きみだってこの結婚を望んでいたわけじゃないでしょ。
本当は離婚を考えいたんだけど、思った以上に時間がかかりそうなんだよね。たぶん年単位の話になっちゃうから。それなら離れて暮らした方が気楽でしょ」
「わかった」
「オッケー。話が早くて助かるよ。必要なことは全部、マークから連絡させる。じゃ、もう戻っていいよ。おつかれ」
レヴィは椅子を回転させて窓の方を向く。もうお前には用がないと言わんばかりの態度に心の奥がずきりと痛んだ。
「のどかだなあ……」
広いバルコニーから見下ろす景色は辺り一面、畑だ。遠くにはキラキラ光る湖面が見える。
レヴィに従って翌日には本邸から少し離れた領地にある別邸へと引っ越してきたのだ。
転移魔法で必要なものだけ移動すればいいのでとても簡単な上に、持っていくものなどほとんどないのであっという間に引っ越しは完了した。
別邸はいつ当主がやってきてもいいように整備されていることもあり、ついた当日から生活できるようになっていた。
「これでよかったのかよ」
隣に立つアリルがぶっきらぼうに呟く。
アリルはなぜか俺の目付け役を買ってでて、ついてきた。
神様って暇なんだろうかと思ったのは、ここだけの話である。
横を向くと不機嫌な瞳にぶつかった。
「アイツ、このままじゃ記憶なくしたまま、おまえと離婚しちまうぞ」
口調は荒いが心配してくれるのが伝わってくる。
「わかってるよ。でもそれも仕方ないっていうか、人生かなって。そもそも俺だって、レヴィのことをそういう意味で好きなわけじゃないし」
アリルが何か言おうと口を開いた瞬間、リアムが駆け寄ってきた。
「エリス様ーーーー!!」
「どうした?」
「領民たちが歓迎の宴を開いてくれるそうです! こちらをご覧ください」
リアムが手に持っていた招待状を手渡してくる。
この領地の管理を任せている臣下からの手紙で、日が沈む頃に領内にある広場で行われているという。
レヴィに冷たい対応をされているせいか、形式上だとしても歓迎させることが嬉しい。
リアムと勝手についてくるアリルを引き連れ、俺は広場へと向かった。
「エリス様! ようこそおいでくださいました!」
宴に到着するなり、領民たちが笑顔で話しかけてくる。
王都の本宅と違って、使用人や領民との距離がとても近いのが嬉しい。
進められるままに席に着くと、次々と美味しそうな料理や酒が運ばれてきた。
鶏の丸焼きや野菜のソテー、ミンスパイにりんごの重ね焼きなどの素朴で味わい深い料理に心があったかくなる。
「料理も最高だし酒も美味いな」
アリルも満足げな顔で次々と料理や酒に手を伸ばしている。野外なのも気持ちが良くて、どんどん盃が進んでしまう。
ヴァンダービルト家に領地の管理を任されているオーウェンさんが嬉しそうに話しかけてくる。
「お気に召しましたか? このワインは領地の特産であるクインスベリーというブドウをで作っているんです」
「この国にこんなに美味いワインがあるとは思わなかったよ。王都でも人気だろうな」
「いいえ。国内産のワインということで、なかなか販路が拡大できないのです。試飲さえ断られてしまうことばかりで……」
オーウェンさんは悲しそうに目を伏せた。
ベリンガムは農産物の質が他国と比較すると質があまり良くない。特に酒類は顕著で、国内のワインやシャンパンで評価が高いものはほとんどない。
だが、このワインは本物だ。
「せっかく国内にこんなにいいワインがあるのに。なんとかしたいな……」
思わず口から零れでた言葉に、オーウェンさんがパッと顔を上げる。
「本当ですか!? アイルズベリーからいらっしゃったエリス様がお力になってくださるなんて、こんなに心強いことはございません!」
期待に満ちた眼差しを向けられると、なんとかしたいという気持ちが湧き上がってくる。
(落ち込んでいても仕方ない。離婚されるまでの間、どうせならこの国や領民のためにできることをしよう)
そう思うと同時に、心の靄が晴れていくようにな何かが吹っ切れ、アドレナリンがみなぎってくる感覚に久々に気分が高揚した。
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