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第七章 真実の愛
<24>真実の愛
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どれくらいそうしていただろうか。泣きやんだレヴィはゆっくりと顔を上げる。
少し赤く腫れた目元に触れると、気持ちよさそうに目を細めた。
「申し訳ありません……こんな、子どものような姿を見せてしまって」
「いいよ。おまえは子どもだろ。俺にはいつまでも可愛い弟――んっ」
フォローのつもりだったのに不満だったらしい。少し乱暴に唇を塞がれ、舌まで入ってくる。
「ん、んんっ、んうぅ」
少しして唇を離したレヴィは見せつけるように舌なめずりをした。
「これでも、僕が可愛い弟だと?」
さっきまでと同じ人物だとは思えない雄の顔に頬がじわじわと熱を持つ。
「う……それは」
言葉が見つからなくて横を向くと、顎にかけられた親指と人差し指がぐいっと顔を正面に戻す。
「レヴィ、近い」
「当り前でしょう。今からまたキスをするんですから……それ以上のことも」
「ば、バカ! そんなこと口に出さなくても……んっ、んんっ」
言葉は最後まで言わせてもらえず、レヴィの口の中に吸い込まれていく。
キスをしたままで左手が乳首に触れる。それだけでも腰が疼くのに、右手は身体を這うようにして下肢へと滑っていく。
そうして、先ほどまで舌で責められていた場所へ到達する。
「んあっ!! んぐぅ」
十分に解されていた穴からは、すでに蜜が溢れていた。すっかり柔らかくなっているようで、ずぷりと音を立てながらレヴィの長く美しい指を飲み込んでいく。
舌よりもさらに奥へと届く指は、気持ちいいポイントを的確に突いていく。
一度深くまで侵入した指は、浅いところに戻ると何度も抽挿を繰り返す。
その度に淫らな水音が室内に響く。
「ん、ふぁっ、あっ、ああっ! きも、気持ち、いい……っ」
「エリス様……すごいですね。もう3本も飲み込みました……それに、何度も果てていらっしゃる」
達しすぎて自分でもわけがわからない。耳元で囁かれると、背筋がゾクゾクしてそれだけでまたパタパタと吐精してしまった。
「そろそろ、いいでしょうか」
レヴィは独り言のように呟くと、穴から指を抜いた。
「んああっん!!」
勢いよく抜かれた快感で、またしても達してしまう。
レヴィは大きく息を吐くと、俺の両肩に手をかけてうつ伏せにさせた。
「レ、レヴィ?」
「初めては負担が大きいといいます。後ろからの方が、オメガの負担がないそうです。それに、ここを噛むのにも丁度よさそうです」
言いながら、指先で項に触れる。
「ひゃあんっ!!」
ただ触れられただけなのに、嬌声を上げてしまった。
アルファとオメガが番になるためにはヒートの性交中、アルファがオメガの中に射精しながら項を噛むことが必要なのだ。
逆に言えばそれ以外で項を噛んだとしても番になることはない。
「あ……」
いよいよ、俺たちは番になるのだ。そう思うと、さらに身体が昂ってくる。
「エリス様……あなたの中に僕を迎え入れてください」
レヴィは俺の腰を両手で高く引き上げた。きっと、指や舌以上の快感が待っている。そう思うと後ろの穴が期待しているかのように何度も収縮した。
「エリス様のココ、ヒクヒクしています。ああ、可愛い……僕のことを待っていてくださるのですね」
うっとりしたようなレヴィの声が背後から聞こえた次の瞬間、先ほどとは比較にならないほどの質量が侵入してくる。
「あ、ん、あぁああ……っ!」
レヴィは俺の中に自分の逞しいものをなじませるように、少しずつゆっくりと腰を進める。
「っ、全部、入りました……っ」
本当はすぐにでも動きたいのだろう。つらそうに呻いて、だがレヴィはじっとしている。
「うごか、ないのか?」
「ええ。エリス様、苦しくはないですか? っ、はぁ……」
苦しそうなのはどう考えてもレヴィなのに。どんな時でも自分よりも俺を案じ、優先してくれる深い優しさに心がきゅっと締め付けられるように切なくなる。
「う、ん……っ、大丈夫っ。それ、より早く……動いてほし……はぁん」
言いながら少し腰を上下に動かすと、背後で息を呑む気配がした。
「エリス様……ほんとうに、あなたという人は……っ! そんなことをされたら、僕はもう自制できなくなる……っ」
言葉の乱れから、レヴィの余裕のなさが伝わってくる。
俺はさらにスピードを上げて腰を上下させる。中が擦れて気が遠くなるほど気持ちいい。
次の瞬間、強い力で腰を掴まれ、自分の力とは比較にならないほどの激しい突きが始まった。
「あっ、ああんっ! や、あ、ああっ!」
気持ちいいなんてものじゃない。頭がガクガクと動くほど激しく強く何度も突かれると、その度に射精してしまう。
「あっ、レヴィ……っ! レヴィ……っ!!」
いつも気遣って、優しい彼が自分に対してこんなにも激しい想いを抱いてくれているのかと思うと、叫び出したいほどの喜びを感じる。
「エリス様っ! エリス様ぁっ!!」
互いにバカになったように名前を叫び合う。その間も絶え間なくレヴィに突き上げられて、もう何も考えらない。
ふいにレヴィが覆いかぶさってくる。左横にレヴィの顔が現れたかと思うと、顎を掴まれて深いキスをされた。
「んむぅ……んっ、んぐっ」
上も下もレヴィに犯されることの快感と幸せで息が詰まりそうだ。
しばらくキスに夢中になっていると、レヴィが勢いよく口を離す。乱れた前髪の奥から真剣な眼差しが俺を射る。
「エリス様……今からあなたを僕のものにします……っ!」
「ん、ああっ……うん、レ、レヴィ……っ、噛んで……っ!
いよいよ自分がレヴィのものになるのだ。そう思うと、嬉しくてたまらない。嬉しさで涙が溢れた瞬間、首の後ろに衝撃が走った。
「ひ……っああっ!」
鋭い痛みを感じたのはほんの一瞬で、痛みはすぐに甘い快感に変わる。全身を駆け巡るこれまでに感じたことのない多幸感の中を漂っていると、今までで一番深い突きとともに、腹の中に熱いものが注がれた。
「あっああーーーーっ!!」
「くっ……エリス様……っ!」
レヴィがすべてを吐き出す仕上げのように、何度か緩く腰を打ち付ける。
その度に、俺の雄芯も最後の力を振り絞るかのように吐精した。
しばらく俺たちはそのままの姿勢で留まっていた。薄暗い部屋の中、レヴィと俺の荒い息づかいだけが響いている。
やがてレヴィは俺の上からゆっくり退くとすぐ隣に仰向けに倒れた。
俺はそのままうつ伏せで寝そべる。もう指1本も動かせない気がするし、強い睡魔に襲われて瞼を開けることすらできない。
「エリス様……」
レヴィが横を向き、俺の身体をゆっくり動かして、横向きに背後から抱きしめる。
「ん……はぁ」
返事をしようとしたが、吐息が漏れただけだった。
レヴィは俺を労わるように、耳やこめかみや首筋に優しいキスの雨を降らせていく。
「エリス様、お体は大丈夫ですか」
「ん……」
微かに頷いたが、もう限界だ。
「悪い、レヴィ……俺、すごく眠い……」
きっと呂律が回っていない。レヴィが小さく笑う気配がした。
「おやすみなさい……僕のエリス様」
瞼の裏に光を感じてゆっくりと目を開ける。窓からは朝の光が差しこんでいる。隣を向くと、レヴィが小さな寝息を立てている。
ドロドロだったはずの身体は綺麗に清められて、シーツも取り換えられていた。
裸だったはずの身体も真新しいナイトガウンに包まれている。
(きっとレヴィがやってくれたんだな)
自分も疲れていただろうに。優しさと深い愛を感じて、胸が苦しくなるほど嬉しい。
今はもう俺よりも年上だけど、寝顔はあどけなくて小さな頃を思い出させる。
俺が死んだ後、この子はどれだけの夜を一人で過ごしてきたのだろう。それを考えるとたまらなくなって、思わず髪を優しく撫でた。
「ん……」
銀色の長いまつげが上がり、美しい瞳が現れる。
「おはよう。ごめん、起こすつもりはなかったんだけど」
「いえ、エリス様に起こしていただけるなんて嬉しいです」
そう言いながらもまだ声は掠れて表情もぼんやりしている。
「可愛いな、レヴィ」
思わず口を突いて出た言葉に、レヴィが顔を顰めた。
「可愛いのは僕じゃなくてエリス様です」
言いながら俺を抱き寄せる。自ら胸の中に飛び込むと、レヴィの身体が驚いたようにビクリと跳ねる。
「なんだよ。嫌なの?」
「いえ。その……びっくりしてしまって。ご自分から甘えてくださることは、あまりなかったので」
「あーそうだっけ? でも、別にいいだろ。俺はもうレヴィの番で、おまえのもんなんだから。おまえも俺のものだろ?」
レヴィは目を見開いた後、俺を優しく抱きしめた。
「そうですね……あなたはもう、僕の、僕だけものだ」
「おまえもな」
言い返すと、抱きしめる腕に力が込められる。
「僕はエリス様のものです。この身も心も、僕が持てるのはすべてあなたに捧げます……愛しています、エリス様」
「俺も愛してる」
レヴィは俺の言葉に幸せそうに息を吐いた。
「エリス様が愛していると言ってくださるなんて、夢のようです。本当に僕を愛して、僕のものになってくださったのですね……」
レヴィが嬉しそうなのはよかったけれど、愛してるなんて口にして少し恥ずかしい。
「当り前だろ。じゃなきゃ番にならないし。でもおまえ、持てるのはすべて捧げるってちょっと大げさだし重いぞ」
甘い雰囲気を少し乱そうと軽口を叩くと、レヴィがさらに強く俺を抱き寄せた。
「大げさなんかじゃありませんよ。僕はちょっとどころではなく重い男です。どれだけの間、あなたのことを想って生きてきたかご存知でしょう?」
「う、それは……」
顔を上げると美しい青が俺を見下ろしていた。
「もう僕からは逃げられませんよ……エリス様がどこかに行ってしまわれても、地獄の果てまで追っていきます。その前に、僕の腕の中に閉じ込めてどこにも行かせませんが」
「おまえ、それは冗談でも怖いぞ」
「冗談ではありません。僕はいつだって本気であなたのことを愛していますから。本当は誰にも見せたくないし触れさせたくないぐらいに」
にっこりと笑う顔は誰より美しいのに、怖い。
もしかして俺は、とんでもない男と結婚してしまったんだろうか。
(でもまあ、俺もレヴィのこと逃がすつもりはないからな)
言葉にするのは恥ずかしいので、俺は伸びあがってレヴィの唇にキスをした。
少し赤く腫れた目元に触れると、気持ちよさそうに目を細めた。
「申し訳ありません……こんな、子どものような姿を見せてしまって」
「いいよ。おまえは子どもだろ。俺にはいつまでも可愛い弟――んっ」
フォローのつもりだったのに不満だったらしい。少し乱暴に唇を塞がれ、舌まで入ってくる。
「ん、んんっ、んうぅ」
少しして唇を離したレヴィは見せつけるように舌なめずりをした。
「これでも、僕が可愛い弟だと?」
さっきまでと同じ人物だとは思えない雄の顔に頬がじわじわと熱を持つ。
「う……それは」
言葉が見つからなくて横を向くと、顎にかけられた親指と人差し指がぐいっと顔を正面に戻す。
「レヴィ、近い」
「当り前でしょう。今からまたキスをするんですから……それ以上のことも」
「ば、バカ! そんなこと口に出さなくても……んっ、んんっ」
言葉は最後まで言わせてもらえず、レヴィの口の中に吸い込まれていく。
キスをしたままで左手が乳首に触れる。それだけでも腰が疼くのに、右手は身体を這うようにして下肢へと滑っていく。
そうして、先ほどまで舌で責められていた場所へ到達する。
「んあっ!! んぐぅ」
十分に解されていた穴からは、すでに蜜が溢れていた。すっかり柔らかくなっているようで、ずぷりと音を立てながらレヴィの長く美しい指を飲み込んでいく。
舌よりもさらに奥へと届く指は、気持ちいいポイントを的確に突いていく。
一度深くまで侵入した指は、浅いところに戻ると何度も抽挿を繰り返す。
その度に淫らな水音が室内に響く。
「ん、ふぁっ、あっ、ああっ! きも、気持ち、いい……っ」
「エリス様……すごいですね。もう3本も飲み込みました……それに、何度も果てていらっしゃる」
達しすぎて自分でもわけがわからない。耳元で囁かれると、背筋がゾクゾクしてそれだけでまたパタパタと吐精してしまった。
「そろそろ、いいでしょうか」
レヴィは独り言のように呟くと、穴から指を抜いた。
「んああっん!!」
勢いよく抜かれた快感で、またしても達してしまう。
レヴィは大きく息を吐くと、俺の両肩に手をかけてうつ伏せにさせた。
「レ、レヴィ?」
「初めては負担が大きいといいます。後ろからの方が、オメガの負担がないそうです。それに、ここを噛むのにも丁度よさそうです」
言いながら、指先で項に触れる。
「ひゃあんっ!!」
ただ触れられただけなのに、嬌声を上げてしまった。
アルファとオメガが番になるためにはヒートの性交中、アルファがオメガの中に射精しながら項を噛むことが必要なのだ。
逆に言えばそれ以外で項を噛んだとしても番になることはない。
「あ……」
いよいよ、俺たちは番になるのだ。そう思うと、さらに身体が昂ってくる。
「エリス様……あなたの中に僕を迎え入れてください」
レヴィは俺の腰を両手で高く引き上げた。きっと、指や舌以上の快感が待っている。そう思うと後ろの穴が期待しているかのように何度も収縮した。
「エリス様のココ、ヒクヒクしています。ああ、可愛い……僕のことを待っていてくださるのですね」
うっとりしたようなレヴィの声が背後から聞こえた次の瞬間、先ほどとは比較にならないほどの質量が侵入してくる。
「あ、ん、あぁああ……っ!」
レヴィは俺の中に自分の逞しいものをなじませるように、少しずつゆっくりと腰を進める。
「っ、全部、入りました……っ」
本当はすぐにでも動きたいのだろう。つらそうに呻いて、だがレヴィはじっとしている。
「うごか、ないのか?」
「ええ。エリス様、苦しくはないですか? っ、はぁ……」
苦しそうなのはどう考えてもレヴィなのに。どんな時でも自分よりも俺を案じ、優先してくれる深い優しさに心がきゅっと締め付けられるように切なくなる。
「う、ん……っ、大丈夫っ。それ、より早く……動いてほし……はぁん」
言いながら少し腰を上下に動かすと、背後で息を呑む気配がした。
「エリス様……ほんとうに、あなたという人は……っ! そんなことをされたら、僕はもう自制できなくなる……っ」
言葉の乱れから、レヴィの余裕のなさが伝わってくる。
俺はさらにスピードを上げて腰を上下させる。中が擦れて気が遠くなるほど気持ちいい。
次の瞬間、強い力で腰を掴まれ、自分の力とは比較にならないほどの激しい突きが始まった。
「あっ、ああんっ! や、あ、ああっ!」
気持ちいいなんてものじゃない。頭がガクガクと動くほど激しく強く何度も突かれると、その度に射精してしまう。
「あっ、レヴィ……っ! レヴィ……っ!!」
いつも気遣って、優しい彼が自分に対してこんなにも激しい想いを抱いてくれているのかと思うと、叫び出したいほどの喜びを感じる。
「エリス様っ! エリス様ぁっ!!」
互いにバカになったように名前を叫び合う。その間も絶え間なくレヴィに突き上げられて、もう何も考えらない。
ふいにレヴィが覆いかぶさってくる。左横にレヴィの顔が現れたかと思うと、顎を掴まれて深いキスをされた。
「んむぅ……んっ、んぐっ」
上も下もレヴィに犯されることの快感と幸せで息が詰まりそうだ。
しばらくキスに夢中になっていると、レヴィが勢いよく口を離す。乱れた前髪の奥から真剣な眼差しが俺を射る。
「エリス様……今からあなたを僕のものにします……っ!」
「ん、ああっ……うん、レ、レヴィ……っ、噛んで……っ!
いよいよ自分がレヴィのものになるのだ。そう思うと、嬉しくてたまらない。嬉しさで涙が溢れた瞬間、首の後ろに衝撃が走った。
「ひ……っああっ!」
鋭い痛みを感じたのはほんの一瞬で、痛みはすぐに甘い快感に変わる。全身を駆け巡るこれまでに感じたことのない多幸感の中を漂っていると、今までで一番深い突きとともに、腹の中に熱いものが注がれた。
「あっああーーーーっ!!」
「くっ……エリス様……っ!」
レヴィがすべてを吐き出す仕上げのように、何度か緩く腰を打ち付ける。
その度に、俺の雄芯も最後の力を振り絞るかのように吐精した。
しばらく俺たちはそのままの姿勢で留まっていた。薄暗い部屋の中、レヴィと俺の荒い息づかいだけが響いている。
やがてレヴィは俺の上からゆっくり退くとすぐ隣に仰向けに倒れた。
俺はそのままうつ伏せで寝そべる。もう指1本も動かせない気がするし、強い睡魔に襲われて瞼を開けることすらできない。
「エリス様……」
レヴィが横を向き、俺の身体をゆっくり動かして、横向きに背後から抱きしめる。
「ん……はぁ」
返事をしようとしたが、吐息が漏れただけだった。
レヴィは俺を労わるように、耳やこめかみや首筋に優しいキスの雨を降らせていく。
「エリス様、お体は大丈夫ですか」
「ん……」
微かに頷いたが、もう限界だ。
「悪い、レヴィ……俺、すごく眠い……」
きっと呂律が回っていない。レヴィが小さく笑う気配がした。
「おやすみなさい……僕のエリス様」
瞼の裏に光を感じてゆっくりと目を開ける。窓からは朝の光が差しこんでいる。隣を向くと、レヴィが小さな寝息を立てている。
ドロドロだったはずの身体は綺麗に清められて、シーツも取り換えられていた。
裸だったはずの身体も真新しいナイトガウンに包まれている。
(きっとレヴィがやってくれたんだな)
自分も疲れていただろうに。優しさと深い愛を感じて、胸が苦しくなるほど嬉しい。
今はもう俺よりも年上だけど、寝顔はあどけなくて小さな頃を思い出させる。
俺が死んだ後、この子はどれだけの夜を一人で過ごしてきたのだろう。それを考えるとたまらなくなって、思わず髪を優しく撫でた。
「ん……」
銀色の長いまつげが上がり、美しい瞳が現れる。
「おはよう。ごめん、起こすつもりはなかったんだけど」
「いえ、エリス様に起こしていただけるなんて嬉しいです」
そう言いながらもまだ声は掠れて表情もぼんやりしている。
「可愛いな、レヴィ」
思わず口を突いて出た言葉に、レヴィが顔を顰めた。
「可愛いのは僕じゃなくてエリス様です」
言いながら俺を抱き寄せる。自ら胸の中に飛び込むと、レヴィの身体が驚いたようにビクリと跳ねる。
「なんだよ。嫌なの?」
「いえ。その……びっくりしてしまって。ご自分から甘えてくださることは、あまりなかったので」
「あーそうだっけ? でも、別にいいだろ。俺はもうレヴィの番で、おまえのもんなんだから。おまえも俺のものだろ?」
レヴィは目を見開いた後、俺を優しく抱きしめた。
「そうですね……あなたはもう、僕の、僕だけものだ」
「おまえもな」
言い返すと、抱きしめる腕に力が込められる。
「僕はエリス様のものです。この身も心も、僕が持てるのはすべてあなたに捧げます……愛しています、エリス様」
「俺も愛してる」
レヴィは俺の言葉に幸せそうに息を吐いた。
「エリス様が愛していると言ってくださるなんて、夢のようです。本当に僕を愛して、僕のものになってくださったのですね……」
レヴィが嬉しそうなのはよかったけれど、愛してるなんて口にして少し恥ずかしい。
「当り前だろ。じゃなきゃ番にならないし。でもおまえ、持てるのはすべて捧げるってちょっと大げさだし重いぞ」
甘い雰囲気を少し乱そうと軽口を叩くと、レヴィがさらに強く俺を抱き寄せた。
「大げさなんかじゃありませんよ。僕はちょっとどころではなく重い男です。どれだけの間、あなたのことを想って生きてきたかご存知でしょう?」
「う、それは……」
顔を上げると美しい青が俺を見下ろしていた。
「もう僕からは逃げられませんよ……エリス様がどこかに行ってしまわれても、地獄の果てまで追っていきます。その前に、僕の腕の中に閉じ込めてどこにも行かせませんが」
「おまえ、それは冗談でも怖いぞ」
「冗談ではありません。僕はいつだって本気であなたのことを愛していますから。本当は誰にも見せたくないし触れさせたくないぐらいに」
にっこりと笑う顔は誰より美しいのに、怖い。
もしかして俺は、とんでもない男と結婚してしまったんだろうか。
(でもまあ、俺もレヴィのこと逃がすつもりはないからな)
言葉にするのは恥ずかしいので、俺は伸びあがってレヴィの唇にキスをした。
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面白かったです!
エリスがきっと、今は、可愛い見た目なのに中身がオトコ前で好きでした。
最後レヴィにちょっとイラッとしましたがイチャラブハッピーエンドにう腐腐腐…です。
神様達の番外編や、やがて生まれるだろうお子様の物語、再会した前世の家族との関わりなど、いつかお時間ができたら是非ともお願いします!
turarinさま
コメント有難うございます🐣🧡
レヴィはきっとこれからまだまだ成長していくはずなので、落ち着いたら二人のその後も書きたいなと思っております!(^^)!
こちらこそ引き続き宜しくお願い致します💖
完結お疲れ様でした💖💖
更新が待ち遠しいほど夢中になり、読ませていただきました。エリス、レヴィの二人特に最後レヴィ💞💞よかったよ〜23年待っていた想いが叶い😭😭2人の今後がみたいなあ〜是非是非可愛いお子様との家族愛💖💖🤭あ!エリス様の取り合いかあな🤭🤭
番外編是非是非お願いします。今の連載中他、次回作も楽しみにしています。
パンちゃん1号さま
コメント本当に有難うございます😭🩵🩷💖🧡🤍
長くなり間も空いてしまったのに最後までご覧頂けた事が本当に嬉しいです。
あと少しで年末の繁忙期が始まってしまうのですがちょこちょこ番外編等書いていければと思います<(_ _)>
最後まで本当に有難うございました!
今後とも宜しくお願い致します🐣🤎
((o(´∀`)o))ワクワク。ついにヒート🤭🤭ですね。無理はさせなくないレヴィがなんとか自制しようと気を使いますが、エリス様🤭🤭ふふふ😚さらにレヴィを煽って…早く番に待ち遠しいです🤭🤭。
パンちゃん1号さま
いつもコメント有難うございます🐣🩷
やっと完結致しました😭途中、だいぶ間が空いてしまったりもしましたが読んで下さった皆様のおかげです。
本当に有難うございました<(_ _)>