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第1章〜一体いつから───幼なじみが正統派ヒロインと錯覚していた?〜第3話
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「とりあえず、ホワイトノワールでも食べる?」
話しが、まだまだ長くなりそうだったので、これまでほとんど会話を交わすことがなかったクラス委員の女子生徒にヨネダ珈琲の名物でもあるデザートの一品を薦めると、彼女は、黙ったまま、コクリとうなずいた。
念のために説明しておくと、デニッシュパンにたっぷりのソフトクリームが盛られたこのスイーツのお値段は、おおよそライトノベルの新刊一冊分に相当する。
(さらば、ガ◯ガ文庫の新刊……)
そう心の中で念じつつ、店員さんに追加注文をオレは、元の自分の席に放置したままにしていた『ナマガミ』のヒロインたち……もとい、携帯ゲーム機のプレイフォーメーションBETAとスマホや財布などが入っている通学カバンを取りに行ってから、ふたたび、上坂部葉月と対峙する。
「まあ、仲良くしてた転入生に、好きな男子を取られたら、そりゃ、ショックだよね……」
独り言をつぶやくように、ポツリと言うと、彼女は、また鼻をすすりながら、言葉を漏らした。
「ただ、好きだったワケじゃないもん……ずっと、一緒にいた幼なじみだもん……」
「そうか……」
「どうして……? コナンくんだって、上杉たっちゃんだって、幼なじみを選ぶじゃん? タチバナくん、喫茶店でゲームをしてるってことは、アニメとかマンガとかも好きなんだよね? ねぇ、大成は、どうして転校生のリッカを選んだのかな? 答えてよ!」
ホワイトノワールでも食べて落ち着いたら帰ってもらおうと考えていた矢先に、女子生徒は、いきなり核心に迫る話題をブッ込んできた。
しかし、彼女は、どうやら大きな勘違いをしている―――。
ここで、詳細を述べることは控えるが、上坂部葉月の認識とは正反対に、二十一世紀の青少年向けマンガ・アニメの分野において、幼なじみキャラは、負け組グループの筆頭的立ち位置にあると言っても過言ではない。
ただ、そのことを、滔々と語ったところで、相手にドン引きされるだけであることは明白なので、ここは、一般人的見解に寄せて、返答しておく。
「いや、まあ……アニメやマンガと現実は、違うからさ……」
そんな模範解答的な返答とは別に、オレには考えていることがあった。
ラブコメ作品において、彼女のような幼なじみキャラだけでなく、ヒロインレースに敗れてしまう、いわゆる負けヒロインには、いくつかの傾向がある。
・恋愛感情に素直になれないキャラ
・幼なじみのように関係性の変化に乏しいキャラ
・オカンや姉のように上から目線で口うるさいキャラ
・暴力&暴言キャラ
こうしたベタ(お約束)な要素に加えて、オレが独自に研究した深夜アニメの傾向を加えると、以下のようになる。
・青い髪の色のキャラ
・担当声優が、石原◯織さんである。
(声優が顔出し出演する番組で「ずっとフラれる役をやってんの」というご本人の発言があった)
・ライバル役の担当声優が、戸◯遥さんである。
(異星人や異界キャラを演じて、他のヒロインとの争いに勝ち抜き、主人公と結ばれる役は数知れず。最近では、ラブコメとは関係ないアニメ作品『轟け!トロンボーン』でも転校生役を演じて、主人公からソリストの大役を奪うという離れ業をやってのけた ← しかも原作とは異なるアニメのオリジナル展開だ)
まあ、このような現実の恋愛には関係ないメタ・フィクション的な見地はさておくとしても、実際のところ、前半に挙げた4つの事例に関しては、実際の色恋においても、ある程度当てはまるところがあるかも知れない。
男女問わず、暴力を振るったり、暴言を吐く人物が相手に避けられるのは当然のこととしても、恋愛感情に素直になれず、関係性の変化に乏しく、年上のように上から目線で口うるさい異性となれば、現実の恋愛でも交際相手として避けたくなるのではないだろうか?
久々知大成と上坂部葉月の実際の関係性が、どのようなモノであったのか、彼らと親しい訳ではない(しかも、クラス内では空気的存在である)オレには、知る由もない。
ただ、学校関係者からも優等生と評価されているであろう彼女が相手に暴力を振るったり、暴言を吐くようなタイプには当てはまらないとしても、その話しぶりから察するに、他の三点については、大いに該当する可能性が高い。
「なあ、ちょっと聞きたいんだけど……やっぱり、付き合いが長くても、相手に好きだって伝えるのは、難しいモンなの?」
我ながら、デリカシーのない質問をしていると思うが、彼女はうつむきながらも、オレの問いかけに答えた。
「それは……やっぱり、関係性が長いからこそ、今さら言えないってこともあるし……いまの関係を壊したくないってことも……」
なるほど、これで、3つのうちの2つの条件は、すでに満たしている。だが、失礼ついでに、もう少し、掘り下げてみよう。
「そっか……でも、それだけ、長く関係が続いてるなら、なんでも話せる仲だったんじゃないの?」
「うん……大成ってば、一年のときから委員長を任されてるのに、なかなか提出物とか出さなくて……いつも、私が注意しなきゃいけなかったんだよね……だから、大成には私が付いてなきゃっ……て思ってたんだけど……」
はい、確定の赤ランプをいただきました。
女子特有の、この謎の上から目線の発言は、思春期男子から一番避けられてしまうパターンだ。
『もう、ホントに私がいなきゃダメなんだから!』
なんて思っていたのは、女子の側のみで、実際のところ、男子の側は、口うるさいオカン2号くらいにしか感じていなかったのかも知れない。
傷口にクレイジーソルトを塗り込むようで、本当に申し訳ないが……。
いまの会話で確信した―――。
間違いなく、上坂部葉月は、押しも押されもせぬダメヒロインだ。
話しが、まだまだ長くなりそうだったので、これまでほとんど会話を交わすことがなかったクラス委員の女子生徒にヨネダ珈琲の名物でもあるデザートの一品を薦めると、彼女は、黙ったまま、コクリとうなずいた。
念のために説明しておくと、デニッシュパンにたっぷりのソフトクリームが盛られたこのスイーツのお値段は、おおよそライトノベルの新刊一冊分に相当する。
(さらば、ガ◯ガ文庫の新刊……)
そう心の中で念じつつ、店員さんに追加注文をオレは、元の自分の席に放置したままにしていた『ナマガミ』のヒロインたち……もとい、携帯ゲーム機のプレイフォーメーションBETAとスマホや財布などが入っている通学カバンを取りに行ってから、ふたたび、上坂部葉月と対峙する。
「まあ、仲良くしてた転入生に、好きな男子を取られたら、そりゃ、ショックだよね……」
独り言をつぶやくように、ポツリと言うと、彼女は、また鼻をすすりながら、言葉を漏らした。
「ただ、好きだったワケじゃないもん……ずっと、一緒にいた幼なじみだもん……」
「そうか……」
「どうして……? コナンくんだって、上杉たっちゃんだって、幼なじみを選ぶじゃん? タチバナくん、喫茶店でゲームをしてるってことは、アニメとかマンガとかも好きなんだよね? ねぇ、大成は、どうして転校生のリッカを選んだのかな? 答えてよ!」
ホワイトノワールでも食べて落ち着いたら帰ってもらおうと考えていた矢先に、女子生徒は、いきなり核心に迫る話題をブッ込んできた。
しかし、彼女は、どうやら大きな勘違いをしている―――。
ここで、詳細を述べることは控えるが、上坂部葉月の認識とは正反対に、二十一世紀の青少年向けマンガ・アニメの分野において、幼なじみキャラは、負け組グループの筆頭的立ち位置にあると言っても過言ではない。
ただ、そのことを、滔々と語ったところで、相手にドン引きされるだけであることは明白なので、ここは、一般人的見解に寄せて、返答しておく。
「いや、まあ……アニメやマンガと現実は、違うからさ……」
そんな模範解答的な返答とは別に、オレには考えていることがあった。
ラブコメ作品において、彼女のような幼なじみキャラだけでなく、ヒロインレースに敗れてしまう、いわゆる負けヒロインには、いくつかの傾向がある。
・恋愛感情に素直になれないキャラ
・幼なじみのように関係性の変化に乏しいキャラ
・オカンや姉のように上から目線で口うるさいキャラ
・暴力&暴言キャラ
こうしたベタ(お約束)な要素に加えて、オレが独自に研究した深夜アニメの傾向を加えると、以下のようになる。
・青い髪の色のキャラ
・担当声優が、石原◯織さんである。
(声優が顔出し出演する番組で「ずっとフラれる役をやってんの」というご本人の発言があった)
・ライバル役の担当声優が、戸◯遥さんである。
(異星人や異界キャラを演じて、他のヒロインとの争いに勝ち抜き、主人公と結ばれる役は数知れず。最近では、ラブコメとは関係ないアニメ作品『轟け!トロンボーン』でも転校生役を演じて、主人公からソリストの大役を奪うという離れ業をやってのけた ← しかも原作とは異なるアニメのオリジナル展開だ)
まあ、このような現実の恋愛には関係ないメタ・フィクション的な見地はさておくとしても、実際のところ、前半に挙げた4つの事例に関しては、実際の色恋においても、ある程度当てはまるところがあるかも知れない。
男女問わず、暴力を振るったり、暴言を吐く人物が相手に避けられるのは当然のこととしても、恋愛感情に素直になれず、関係性の変化に乏しく、年上のように上から目線で口うるさい異性となれば、現実の恋愛でも交際相手として避けたくなるのではないだろうか?
久々知大成と上坂部葉月の実際の関係性が、どのようなモノであったのか、彼らと親しい訳ではない(しかも、クラス内では空気的存在である)オレには、知る由もない。
ただ、学校関係者からも優等生と評価されているであろう彼女が相手に暴力を振るったり、暴言を吐くようなタイプには当てはまらないとしても、その話しぶりから察するに、他の三点については、大いに該当する可能性が高い。
「なあ、ちょっと聞きたいんだけど……やっぱり、付き合いが長くても、相手に好きだって伝えるのは、難しいモンなの?」
我ながら、デリカシーのない質問をしていると思うが、彼女はうつむきながらも、オレの問いかけに答えた。
「それは……やっぱり、関係性が長いからこそ、今さら言えないってこともあるし……いまの関係を壊したくないってことも……」
なるほど、これで、3つのうちの2つの条件は、すでに満たしている。だが、失礼ついでに、もう少し、掘り下げてみよう。
「そっか……でも、それだけ、長く関係が続いてるなら、なんでも話せる仲だったんじゃないの?」
「うん……大成ってば、一年のときから委員長を任されてるのに、なかなか提出物とか出さなくて……いつも、私が注意しなきゃいけなかったんだよね……だから、大成には私が付いてなきゃっ……て思ってたんだけど……」
はい、確定の赤ランプをいただきました。
女子特有の、この謎の上から目線の発言は、思春期男子から一番避けられてしまうパターンだ。
『もう、ホントに私がいなきゃダメなんだから!』
なんて思っていたのは、女子の側のみで、実際のところ、男子の側は、口うるさいオカン2号くらいにしか感じていなかったのかも知れない。
傷口にクレイジーソルトを塗り込むようで、本当に申し訳ないが……。
いまの会話で確信した―――。
間違いなく、上坂部葉月は、押しも押されもせぬダメヒロインだ。
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