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第3章~彼の幼馴染みと彼女が修羅場すぎる~第14話
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「心配するな、上坂部! 少し長期戦にはなるかも知れないが、久々知の気持ちを上坂部に向かせるための作戦も考えているから、前向きな気持ちを忘れるな!」
つい前のめりになり、自分が意図していたよりも、やや大きめの声が出てしまったことに自分自身で驚いていると、他の客に対して、コーヒーの提供を終えたばかりの店員さんが、やって来て、
「他のお客様もおられますので、お静かに願います」
と、注意を受けてしまった。
「すみません」
首をすくめながら謝罪すると、
「はい、気をつけてくださいね」
と言ってから、店員さんは笑顔を見せて立ち去った。
(あのヒト、最初に上坂部が号泣していたとき、オレを指名してフォローさせた店員さんだ)
立ち去る女性店員の横顔をチラリと確認したオレが、そんなことを考えていると、上坂部が、
「ゴメンね、立花くん……私のせいで……」
と、恐縮したようすで謝罪する。
「いや、声が大きくなってしまったのは、オレに責任があるから。このあとは、気をつける」
オレがそう返答すると、彼女は、クスリと微笑んだあと、
「でも、大成の気持ちを振り向かせるために、なにか考えがあるっていうことだけど、それって、どんなことをするの?」
と、たずねてきた。
もちろん、当事者の彼女が、オレのアイデアの中身について確認したい、と感じる気持ちは、しごく当然のことではあるのだが――――――。
だが、しかし……。
協力要請に応じてくれた塚口まこととは異なり、上坂部葉月に関しては、今回の問題の当事者であるがゆえに内容を知らせてしまうと、たとえ、プロジェクトが成功したとしても、コミニュケーションの取り方によっては、対象者であり、彼女の身近な存在でもある久々知に計画の全容を知られてしまう可能性がある。
その危険を避けるためにも、ある程度のリスクを承知の上で、オレは、あえて上坂部には、今回の計画について、その全て(と言っても大した規模ではないのだが)を説明することは避けることにした。
「まだ、詳しく話せないこともあるんだが……最近、上坂部は他の男子から注目を集めているみたいだからな。そのことを久々知自身も気にしているんじゃないか? ってことを耳にしたからな。そこを突こうと思ってるんだ」
少し思わせぶりな雰囲気で、オレがそう語ると、案の定、幼なじみに並々ならぬ感情を寄せている女子生徒は、特定のワードに反応し、
「えっ!? 大成って、私のことを気にかけているの?」
と、ついさっきまで落ち込んでいた表情を一変させ、声を弾ませて、たずねてくる。
「まあ、あくまで、クラスの女子の意見を信用すると、だけどな……」
期待を持たせ過ぎるのは良くないので、オレは釘をさすが、こちらの言葉は、もう彼女には届いていないようだ。
「へへへ……大成ってば、そうなんだ……フヘヘ」
ダメだ……学年でも三本の指に入ると言われる整った容姿が、制作スケジュールが破綻したアニメ作品のように、作画崩壊を起こしている……。
確信を持てる情報などナニも無いにもかかわらず、幼なじみが、いまだに自分のことを意識している、という認識だけで、上坂部葉月の思考は、ファンタジーの世界に移動してしまったらしい。
突然の事故に遭遇したわけでもないのに、意識だけ異世界転移してしまった彼女に、
「まあ、そんなわけで、最初の一手は、オレたちに任せてくれ」
と、声をかけると、ようやく意識が現世に帰還したと思われる彼女は、弾んだ声で返答する。
「うん! ありがとうね、立花くん!」
さらに、また、表情を一変させて、上坂部は、突然こんなことをたずねてきた。
「ところでさ……私のことより、立花くん自身は、クラスや学校で気になっている女子とかは居ないの?」
唐突な質問に面食らっているオレに対して、彼女は、興味津々と言った表情で続けざまに語る。
「私の話しをとっても熱心に聞いてくれるし、立花くんみたいに優しい男子なら、女子は放っておかないと思うんだけどな~」
そんな相手に、オレはあきれながら返答する。
「あのな上坂部……ナニを言ってるか、さっぱりわからないんだが……オレは、クラス内ぼっちの存在だぞ。女子にほうっておかれることにかけては、この校内で負ける気がしないんだが?」
「え~? そうかな~? この際だから、照れなくてもイイよ! 私の話しをたくさん聞いてくれたから、今度は立花くんのお話しを聞かせて! 最近、女子と話す機会も増えてるじゃん? たとえば、小春ちゃんのこととかどう思う?」
なぜ、ここで、いきなり、浜小春の名前が出てくるのか? 意味がわからない。
それでも、あまりしつこく追及されても面倒なだけなので、名前の出たクラスメートについて、思っているところを答える。
「なんで、突然、浜の名前が出てくるのか全然わからないんだが……最近、思ったのは、浜は、良くクラスメートのことを観察してるってことだな。あの特徴的な髪の色もキレイで可愛らしいな、とは思うが……。浜には、気になっている男子が居るみたいだぞ? オレなんか、眼中にないよ」
突き放すように返答したのだが、
「へぇ~、キレイで可愛らしい髪の色ね~」
とつぶやき、クラス委員はニヤニヤと微笑む表情を崩さない。
こういう面倒なことに巻き込まれないためにも、今度の計画をなるべく早く実行に移そうと考える。
オレは、思わぬ会話の流れから自分に向いてしまった矛先を、自身の意識から反らせるため、むりやりにでも、他のことを考えることにする。
そうして、幼い頃に発表会で演じた劇のことを思い出しながら、
(オレは、『泣き虫なケモノのおはなし』に出てきた、黒いケモノのようになれるだろうか?)
と、考えていた。
つい前のめりになり、自分が意図していたよりも、やや大きめの声が出てしまったことに自分自身で驚いていると、他の客に対して、コーヒーの提供を終えたばかりの店員さんが、やって来て、
「他のお客様もおられますので、お静かに願います」
と、注意を受けてしまった。
「すみません」
首をすくめながら謝罪すると、
「はい、気をつけてくださいね」
と言ってから、店員さんは笑顔を見せて立ち去った。
(あのヒト、最初に上坂部が号泣していたとき、オレを指名してフォローさせた店員さんだ)
立ち去る女性店員の横顔をチラリと確認したオレが、そんなことを考えていると、上坂部が、
「ゴメンね、立花くん……私のせいで……」
と、恐縮したようすで謝罪する。
「いや、声が大きくなってしまったのは、オレに責任があるから。このあとは、気をつける」
オレがそう返答すると、彼女は、クスリと微笑んだあと、
「でも、大成の気持ちを振り向かせるために、なにか考えがあるっていうことだけど、それって、どんなことをするの?」
と、たずねてきた。
もちろん、当事者の彼女が、オレのアイデアの中身について確認したい、と感じる気持ちは、しごく当然のことではあるのだが――――――。
だが、しかし……。
協力要請に応じてくれた塚口まこととは異なり、上坂部葉月に関しては、今回の問題の当事者であるがゆえに内容を知らせてしまうと、たとえ、プロジェクトが成功したとしても、コミニュケーションの取り方によっては、対象者であり、彼女の身近な存在でもある久々知に計画の全容を知られてしまう可能性がある。
その危険を避けるためにも、ある程度のリスクを承知の上で、オレは、あえて上坂部には、今回の計画について、その全て(と言っても大した規模ではないのだが)を説明することは避けることにした。
「まだ、詳しく話せないこともあるんだが……最近、上坂部は他の男子から注目を集めているみたいだからな。そのことを久々知自身も気にしているんじゃないか? ってことを耳にしたからな。そこを突こうと思ってるんだ」
少し思わせぶりな雰囲気で、オレがそう語ると、案の定、幼なじみに並々ならぬ感情を寄せている女子生徒は、特定のワードに反応し、
「えっ!? 大成って、私のことを気にかけているの?」
と、ついさっきまで落ち込んでいた表情を一変させ、声を弾ませて、たずねてくる。
「まあ、あくまで、クラスの女子の意見を信用すると、だけどな……」
期待を持たせ過ぎるのは良くないので、オレは釘をさすが、こちらの言葉は、もう彼女には届いていないようだ。
「へへへ……大成ってば、そうなんだ……フヘヘ」
ダメだ……学年でも三本の指に入ると言われる整った容姿が、制作スケジュールが破綻したアニメ作品のように、作画崩壊を起こしている……。
確信を持てる情報などナニも無いにもかかわらず、幼なじみが、いまだに自分のことを意識している、という認識だけで、上坂部葉月の思考は、ファンタジーの世界に移動してしまったらしい。
突然の事故に遭遇したわけでもないのに、意識だけ異世界転移してしまった彼女に、
「まあ、そんなわけで、最初の一手は、オレたちに任せてくれ」
と、声をかけると、ようやく意識が現世に帰還したと思われる彼女は、弾んだ声で返答する。
「うん! ありがとうね、立花くん!」
さらに、また、表情を一変させて、上坂部は、突然こんなことをたずねてきた。
「ところでさ……私のことより、立花くん自身は、クラスや学校で気になっている女子とかは居ないの?」
唐突な質問に面食らっているオレに対して、彼女は、興味津々と言った表情で続けざまに語る。
「私の話しをとっても熱心に聞いてくれるし、立花くんみたいに優しい男子なら、女子は放っておかないと思うんだけどな~」
そんな相手に、オレはあきれながら返答する。
「あのな上坂部……ナニを言ってるか、さっぱりわからないんだが……オレは、クラス内ぼっちの存在だぞ。女子にほうっておかれることにかけては、この校内で負ける気がしないんだが?」
「え~? そうかな~? この際だから、照れなくてもイイよ! 私の話しをたくさん聞いてくれたから、今度は立花くんのお話しを聞かせて! 最近、女子と話す機会も増えてるじゃん? たとえば、小春ちゃんのこととかどう思う?」
なぜ、ここで、いきなり、浜小春の名前が出てくるのか? 意味がわからない。
それでも、あまりしつこく追及されても面倒なだけなので、名前の出たクラスメートについて、思っているところを答える。
「なんで、突然、浜の名前が出てくるのか全然わからないんだが……最近、思ったのは、浜は、良くクラスメートのことを観察してるってことだな。あの特徴的な髪の色もキレイで可愛らしいな、とは思うが……。浜には、気になっている男子が居るみたいだぞ? オレなんか、眼中にないよ」
突き放すように返答したのだが、
「へぇ~、キレイで可愛らしい髪の色ね~」
とつぶやき、クラス委員はニヤニヤと微笑む表情を崩さない。
こういう面倒なことに巻き込まれないためにも、今度の計画をなるべく早く実行に移そうと考える。
オレは、思わぬ会話の流れから自分に向いてしまった矛先を、自身の意識から反らせるため、むりやりにでも、他のことを考えることにする。
そうして、幼い頃に発表会で演じた劇のことを思い出しながら、
(オレは、『泣き虫なケモノのおはなし』に出てきた、黒いケモノのようになれるだろうか?)
と、考えていた。
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