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第4章~オレの幼なじみがこんなに素直なわけがない~第2話
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「ムネリン、さっき、久々知くんにそれとなく伝えて来たよ。『ムネリンが、放課後の空き教室に上坂部さんを呼び出したみたいだ』って……」
塚口まことから、そんな報告を受けたのは、五時間目の授業が始まる直前のことだ。
「おう、サンキューな」
目立たないように少しだけクラスメートの方を振り返りつつ、応答する。
そして、 六時間目の授業が終わり、担任によるショート・ホーム・ルームが始まる前、浜小春は、わざわざ、オレの席の近くまでやってきて、伝えてくれた。
「それじゃ、四階の空き教室を開けておくね。詳しいことはわからないけど……がんばってね、立花くん」
「ああ、ありがとう。悪いな、詳しく伝えていないのに、巻き込んじゃって」
彼女には、計画の詳細を伝えていないにもかかわらず、「放課後に空き教室を使えるように出来ないか?」と、相談したところ、
「吹奏楽部の楽器練習をするって言えば、部員なら簡単にカギが借りられるよ」
と答えて、自分がカギを借りてくると名乗り出てくれた。
「上坂部さん……ううん、葉月ちゃんのタメだもんね!」
そう言って、なにかの決意を固めるように協力を申し出た彼女には、感謝するしかない。
協力者がいる、ということは、これほど心強いのか……と感じつつ、放課後のショート・ホーム・ルームが終わるのを待つ。
昼休みに声をかけたところ、クラス委員を務める女子生徒は、
(昨日も話し合ったのに、どうして?)
と、感じたのか、一瞬だけ怪訝な表情を見せたものの、すぐにニコリと微笑んで、
「わかった! 放課後に四階の空き教室だね! 今日は部活もあるから、できれば、長くならないようにしてほしいな」
と、快活に応じてくれた。
こうして、すべての準備は整った――――――。
担任教師の神崎先生の号令でショート・ホーム・ルームの終了を確認すると、教室内は喧騒に包まれ、そのまま帰宅する生徒や部活動に赴く生徒たちが、クラスを離れていく。
そんな中でも、自分から協力を申し出てくれた浜小春は、真っ先に席を立って、職員室に空き教室のカギを取りに行ってくれたようだ。
そして、サッサと通学カバンを持って帰宅の途についていたこれまでと違い、オレは教室に居残って、今回のターゲットとなる生徒、上坂部葉月と久々知大成の動向をそれとなく観察する。
クラス委員の女子生徒は、友人たちと笑顔で会話を交わしながら、「じゃあ、また明日ね!」と言って、教室から出て行った。
一方、クラス委員の男子生徒は、自分の席の前方に座る上坂部のことを気に掛けるようにソワソワと落ち着かないようすであることは、オレにも伝わってきた。
彼らの席の方に視線を送っていたオレと久々知は、何度か目が合って気まずい想いをしたので、それは間違いないことだろう。
上坂部葉月が教室を出てから、数分が経過するのを待ち、オレもおもむろに立ち上がる。
(久々知は、すぐに自分の後を追ってくるのだろうか?)
と、後方を気にしつつ、教室から廊下に出ると、ドンッ―――という衝撃とともに、ガタイの良い男子生徒とぶつかる。
「あっ、すまない……」
よそ見をしていたのはこっちなので、すぐに謝ったが、ぶつかった相手は、驚いた表情をしたあと、ニヤリと不敵に笑い、こちらを見下すような表情で語りかけてくる。
「おお、ちょうど良かった! 立花、おまえを探していたんだよ! ちょっと、ツラ貸せや!」
出会い頭に衝突した相手は、先日、階段の踊り場で上坂部に告白をした男子生徒だった。
「はぁ、何だよ次屋!? こっちは、おまえに用なんてないぞ? ぶつかったことはもう謝っただろう?」
先を急ぐ必要があるオレは、他の生徒に構っているヒマなどないと、身体をそらして、彼の横をすり抜けようとする。
しかし、相手は、低い声で、
「そっちの都合なんて関係ねぇんだよ」
と言うと、恫喝するように、
「おまえ、上坂部に告白しようとしてるんだってな?」
と、ボソリとつぶやいた。
その言葉に、思わず反応してしまい、動きを止めてしまったオレは、屈強な男子生徒に左腕を掴まれてしまった。
相手は、そのまま掴んだ腕をねじり上げるように、オレの背中の方に動かした。
左腕を後ろ手にされた状態になった身体を、後方から膝で押す次屋の体術に成す術なく屈したオレは、相手の意のままに急かされる屈辱を味わいながら、生徒の少なくなった廊下の隅まで追いやられる。
「おまえが上坂部に告るなんて、釣り合わねぇだろ? 立花のくせに生意気なんだよ! 身の程を知るために、そこで反省しとけや」
そう言って、次屋はオレの身体を廊下に据え付けられている掃除用具入れになっているロッカーに押し込んだ。
ロッカーの扉は、背中の方にあったため、すぐに反転して応戦しようとしたのだが……。
扉はガツン! と乱暴に閉じられ、外からなんらかの仕掛けがされたのか、中から押しても身体を押し出せるほどのすき間が確保できない。
「おい、次屋! 待て、ここから出せよ!」
ガン、ガン、と内側から扉を叩くが相手はオレのことに構うことなく、向こう側から、
「しばらく、そこで大人しくしとけや」
と言ったまま、去って行ってしまった。
(こんなときに、どうして……)
そう感じながらも、扉のわずかなすき間から差し込む光を目にした途端、オレの中で不意に、とても古い記憶がよみがえってきた。
塚口まことから、そんな報告を受けたのは、五時間目の授業が始まる直前のことだ。
「おう、サンキューな」
目立たないように少しだけクラスメートの方を振り返りつつ、応答する。
そして、 六時間目の授業が終わり、担任によるショート・ホーム・ルームが始まる前、浜小春は、わざわざ、オレの席の近くまでやってきて、伝えてくれた。
「それじゃ、四階の空き教室を開けておくね。詳しいことはわからないけど……がんばってね、立花くん」
「ああ、ありがとう。悪いな、詳しく伝えていないのに、巻き込んじゃって」
彼女には、計画の詳細を伝えていないにもかかわらず、「放課後に空き教室を使えるように出来ないか?」と、相談したところ、
「吹奏楽部の楽器練習をするって言えば、部員なら簡単にカギが借りられるよ」
と答えて、自分がカギを借りてくると名乗り出てくれた。
「上坂部さん……ううん、葉月ちゃんのタメだもんね!」
そう言って、なにかの決意を固めるように協力を申し出た彼女には、感謝するしかない。
協力者がいる、ということは、これほど心強いのか……と感じつつ、放課後のショート・ホーム・ルームが終わるのを待つ。
昼休みに声をかけたところ、クラス委員を務める女子生徒は、
(昨日も話し合ったのに、どうして?)
と、感じたのか、一瞬だけ怪訝な表情を見せたものの、すぐにニコリと微笑んで、
「わかった! 放課後に四階の空き教室だね! 今日は部活もあるから、できれば、長くならないようにしてほしいな」
と、快活に応じてくれた。
こうして、すべての準備は整った――――――。
担任教師の神崎先生の号令でショート・ホーム・ルームの終了を確認すると、教室内は喧騒に包まれ、そのまま帰宅する生徒や部活動に赴く生徒たちが、クラスを離れていく。
そんな中でも、自分から協力を申し出てくれた浜小春は、真っ先に席を立って、職員室に空き教室のカギを取りに行ってくれたようだ。
そして、サッサと通学カバンを持って帰宅の途についていたこれまでと違い、オレは教室に居残って、今回のターゲットとなる生徒、上坂部葉月と久々知大成の動向をそれとなく観察する。
クラス委員の女子生徒は、友人たちと笑顔で会話を交わしながら、「じゃあ、また明日ね!」と言って、教室から出て行った。
一方、クラス委員の男子生徒は、自分の席の前方に座る上坂部のことを気に掛けるようにソワソワと落ち着かないようすであることは、オレにも伝わってきた。
彼らの席の方に視線を送っていたオレと久々知は、何度か目が合って気まずい想いをしたので、それは間違いないことだろう。
上坂部葉月が教室を出てから、数分が経過するのを待ち、オレもおもむろに立ち上がる。
(久々知は、すぐに自分の後を追ってくるのだろうか?)
と、後方を気にしつつ、教室から廊下に出ると、ドンッ―――という衝撃とともに、ガタイの良い男子生徒とぶつかる。
「あっ、すまない……」
よそ見をしていたのはこっちなので、すぐに謝ったが、ぶつかった相手は、驚いた表情をしたあと、ニヤリと不敵に笑い、こちらを見下すような表情で語りかけてくる。
「おお、ちょうど良かった! 立花、おまえを探していたんだよ! ちょっと、ツラ貸せや!」
出会い頭に衝突した相手は、先日、階段の踊り場で上坂部に告白をした男子生徒だった。
「はぁ、何だよ次屋!? こっちは、おまえに用なんてないぞ? ぶつかったことはもう謝っただろう?」
先を急ぐ必要があるオレは、他の生徒に構っているヒマなどないと、身体をそらして、彼の横をすり抜けようとする。
しかし、相手は、低い声で、
「そっちの都合なんて関係ねぇんだよ」
と言うと、恫喝するように、
「おまえ、上坂部に告白しようとしてるんだってな?」
と、ボソリとつぶやいた。
その言葉に、思わず反応してしまい、動きを止めてしまったオレは、屈強な男子生徒に左腕を掴まれてしまった。
相手は、そのまま掴んだ腕をねじり上げるように、オレの背中の方に動かした。
左腕を後ろ手にされた状態になった身体を、後方から膝で押す次屋の体術に成す術なく屈したオレは、相手の意のままに急かされる屈辱を味わいながら、生徒の少なくなった廊下の隅まで追いやられる。
「おまえが上坂部に告るなんて、釣り合わねぇだろ? 立花のくせに生意気なんだよ! 身の程を知るために、そこで反省しとけや」
そう言って、次屋はオレの身体を廊下に据え付けられている掃除用具入れになっているロッカーに押し込んだ。
ロッカーの扉は、背中の方にあったため、すぐに反転して応戦しようとしたのだが……。
扉はガツン! と乱暴に閉じられ、外からなんらかの仕掛けがされたのか、中から押しても身体を押し出せるほどのすき間が確保できない。
「おい、次屋! 待て、ここから出せよ!」
ガン、ガン、と内側から扉を叩くが相手はオレのことに構うことなく、向こう側から、
「しばらく、そこで大人しくしとけや」
と言ったまま、去って行ってしまった。
(こんなときに、どうして……)
そう感じながらも、扉のわずかなすき間から差し込む光を目にした途端、オレの中で不意に、とても古い記憶がよみがえってきた。
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