初恋♡リベンジャーズ

遊馬友仁

文字の大きさ
54 / 454

第7章〜ライブがはねたら〜⑥

しおりを挟む
「すごかったよな~、最後の広報部のライブ!!」

「アレ、《ミンスタ》のヨツバちゃんだよね!? 《チックタック》では、たまに歌も披露してたけど、あんなに上手かったんだ!?」

「ナニ言ってんの? あのヒト、小学生の頃から、テレビのカラオケバトルで無双してたんだから! テレビ局の《YourTube》公式ページに動画が上がってんの見たことないの?」

 階下に背を向けているオレと白草の背後から聞こえてきた声が、紅野にどの程度伝わったのかはわからないが、自分たちを呼び戻しに来たというクラス委員は、

「そっか、そうなんだ……私、先に戻るね……」

そう言って、階下につながるテラス席の階段の方に駆け出した。

「あっ、待ってくれ、紅野!」

 なにかから逃れるように去ろうとする彼女に声を掛け、追おうとするオレに、

「クロ……行っちゃうの? まだ、さっきの感想を聞けてないんだけど?」

と、余裕の表情で白草四葉は問い掛けてきた。

「今の紅野を放っておけないだろ!?」

 さきに講堂を去ろうとする紅野を追うべく、駆け出しながら、そう答えると、

「そっか……じゃ、放課後に話しをさせて! 場所は、あとで、LANEしておくから」

 そう言って、微笑を浮かべながら、白草は手を小さく振った。

「紅野サンが思わず嫉妬しちゃうような、を考えてあげる!」

 土曜日に、さまざまな内容の講義を行い、今回の作戦の立案を行った白草四葉は、そんなことを口にしていた気がする。
 ――――――だが、クラブ紹介でのライブもどきのパフォーマンスと言い、いまさっきの紅野に対する言動と言い、いくらナンでもやりすぎである。

(これじゃ、まるで少女マンガやハリウッド製学園映画の『健気な主人公をイビる悪役の女子』そのモノじゃないか……)

 オレは、そんなことを考えつつ、ため息をつきながら、紅野を追った。


4月15日(金)

==============

あの場所で待ってる

==============

 放課後、スマホの着信表示ランプが点滅しているので、LANEを確認すると、午後の講堂で、もっとも注目を集めた人物からの画像付きメッセージが入っていた。
 貼り付けられた画像の場所を確認し、

==============

わかった!

放課後に講堂の撤収作業アリ

夕方五時頃になっても良いか?

==============

 こんなメッセージを送ると、「了解」という可愛らしいイヌのイラストが付いたスタンプが返信されてきた。
 壮馬や他のクラブの男子連中と講堂でのクラブ紹介の撤収作業を行いながら、午後に起こった出来事を振り返ってみる。
 新入生向けクラブ紹介が終了したあと、すぐに紅野を追いかけ、白草四葉が飛び入りのように、クラブ紹介に参加した経緯の説明を行い、彼女に、吹奏楽部のソロ・パートの演奏に関する新入生の反応や自分自身の感想を語らせてもらった。
 講堂のテラス席では、白草の言動に、ややショックを受けていたようすの紅野だったが、人目を避けた校舎の階段踊り場で、こちらからの説明(とは言いたくない)や感想(あくまで本心で、決して耳障りの良いことばかりを言ったつもりはない)に耳を傾けると、気分が落ち着いたのか、数分前の出来事について、彼女なりに納得してくれたようだった。
 それでも、会話の終わり際に、

「黒田くん……白草さんと随分と仲が良くなったんだね――――――」

と、彼女にしては珍しく、オレと転入生の関係を気にするような言葉をつぶやいたことが、気に掛かった。
 これまでなら、白草センセイの講義内容から、

(もしかして、紅野が嫉妬してくれているのか――――――?)

と、心が弾むような気持ちになっていたのと思うのだが、今日の紅野アザミのようすを見ていると、彼女に対する罪悪感のようなものが芽生えてきた。
 三週間ほど前には、空気の読めていない、(白草いわく)『最ッ悪!』の告白をして、紅野に心理的負担を掛けてしまい、こうして、また彼女を振り回すような行動をとってしまった――――――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~

root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。 そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。 すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。 それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。 やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」 美人生徒会長の頼み、断れるわけがない! でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。 ※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。 ※他のサイトにも投稿しています。 イラスト:siroma様

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

負けヒロインに花束を!

遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。 葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。 その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。

処理中です...