50 / 70
第3章~⑮~
しおりを挟む
それは、簡潔なメッセージだったが、その内容に安堵している自分に気付いた。
すぐさま、送られてきたメッセージに返答をする。
==============
返信ありがとう!
大嶋から聞いたかも知れないが
プールに行ったメンバーに
声を掛けさせてもらっている
久々に連絡が取れたし、
少し話せないかな?
==============
一瞬、頭をよぎった「小嶋の声が聞きたい」という文言は、悩んだ末、気味悪がられてはいけない、と考え直して、書き込まないでおくと、二日前のメッセージとは異なり、すぐに既読マークがつき、返信があった。
==============
ゴメン。
今日は話すのは遠慮したい
お誘い、ありがとう。
花火、楽しみにしてる。
==============
やはり、なにか連絡を取りにくい事情でもあるのだろうか?
しかし、これ以上、考えてもネガティブな思考に陥るだけだし、彼女のプライバシーに立ち入ることになってしまうかも知れない……そう思い直して、《YES!》と書かれたコアラのスタンプを送信し、
==============
わかった。
花火大会の詳細については、
あらためて連絡させてもらう
あと、なにかあったら、
遠慮なく連絡してくれ
==============
と、メッセージを返信しておいた。
これ以上のメッセージ交換はしないつもりで内容を送信したので、彼女からの返信は期待していなかったのだが、しばらくすると、意外にもスマホの着信ランプが光った。
==============
ありがとう。
色々と話せるようになったら、
話しを聞いてもらおうかな
あと、連絡が取れない時も
ウチの前の公園のネコの
様子を確認してくれると嬉しい
==============
前半の内容には納得できたが、メッセージの後半の内容には、明らかに不可解な点があった。
しかし、文章のやり取りで、そのことを指摘するのも難しいと感じ、彼女が自分で話したい、と思った時にたずねれば良いか、と考えて、《OK》と書かれたコアラのスタンプを返信しておくだけにした。
8月20日(金)くもり時々雨
天気予報の精度は高く、八月としては異例の雨が降り続く一週間となった。連日の雨天順延で、高校野球の全国大会も決勝戦の日程が二度も変更されるなど、夏の長雨は、さまざまな分野に影響を与えていた。
例年なら、台風の到来だけを心配しておけば良かったが、ここまで雨の日が続くと、一週間後の花火大会の日まで雨が振り続けるのではないか――――――という不安な気持ちが頭をもたげる。
(来週は、晴れてくれると良いが……)
そんな祈りにも似た想いを込めて、翌週の花火観賞についての連絡を参加メンバーに送ることにした。
==============
・花火大会についてのお知らせ
集合日時:8月28日午後5時
集合場所:駅前改札口
持ちもの:
①水分補給用ドリンク
②虫除け対策グッズ
その他、質問などはお気軽に
==============
メンバーとのコミュニケーションを一括で行うため、この機会に作成し、参加してもらったチャットグループに、メッセージを送信する。
今回の花火の打ち上げ場所は、ベイエリアにある人工島の宿泊施設(ロッジ)の一角で開催される。
両親は、クルマで会場に向かうそうだが、我が家のマイカーでは友人一同を乗せると定員オーバーとなるため、自分たち高校生組は、電車とバスを乗り継いで参加することになった。
花火の打ち上げは、午後七時半ころから始まるらしいので、余裕を持って、開始の一時間前に会場に到着できるように集合時間を設定した。
色々なことを取り仕切れる哲夫とは違い、こうした連絡をすることには慣れていなかったので、参加メンバーから、どんな返信が来るのか不安だったのだが、ほぼ全員からスタンプやメッセージなどで、ねぎらいや感謝の言葉が返ってきたので、安心する。
そして、同時に、メンバーの性格の良さに救われる想いになった(ちなみに、送信したメッセージの文面は、夏休みの最初の頃に小嶋夏海からもらった連絡事項の書き方を参考にさせてもらったことを告白しておく)。
現状で、自分に出来ることは、すべてやり尽くした。
さらに、オレは、
(無事に花火大会が決行されて、一番大きな花火が打ち上がった時には……)
と、決意を胸に秘めて、メンバーから返信されてきたメッセージを眺める。
あとは、当日の天候に問題がないことを祈るのみ、だ――――――。
そんなことを考えながら、落ち着かない気分を振り払うために、スマホの画面を動画サイトに切り替える。
トップ画面には、数日前に更新されたばかりの、三十年前に有名アーティストがリリースした楽曲の公式ミュージック・ビデオが表示されていた。
発表から数十年が経過したその曲を再生する。
夏の終わりを感じさせる切ないメロディーと歌詞に、自分を重ね合わせ、ベッドに横たわりながら、気が付くと、目尻から熱を帯びた水滴がこぼれるのを感じた。
すぐさま、送られてきたメッセージに返答をする。
==============
返信ありがとう!
大嶋から聞いたかも知れないが
プールに行ったメンバーに
声を掛けさせてもらっている
久々に連絡が取れたし、
少し話せないかな?
==============
一瞬、頭をよぎった「小嶋の声が聞きたい」という文言は、悩んだ末、気味悪がられてはいけない、と考え直して、書き込まないでおくと、二日前のメッセージとは異なり、すぐに既読マークがつき、返信があった。
==============
ゴメン。
今日は話すのは遠慮したい
お誘い、ありがとう。
花火、楽しみにしてる。
==============
やはり、なにか連絡を取りにくい事情でもあるのだろうか?
しかし、これ以上、考えてもネガティブな思考に陥るだけだし、彼女のプライバシーに立ち入ることになってしまうかも知れない……そう思い直して、《YES!》と書かれたコアラのスタンプを送信し、
==============
わかった。
花火大会の詳細については、
あらためて連絡させてもらう
あと、なにかあったら、
遠慮なく連絡してくれ
==============
と、メッセージを返信しておいた。
これ以上のメッセージ交換はしないつもりで内容を送信したので、彼女からの返信は期待していなかったのだが、しばらくすると、意外にもスマホの着信ランプが光った。
==============
ありがとう。
色々と話せるようになったら、
話しを聞いてもらおうかな
あと、連絡が取れない時も
ウチの前の公園のネコの
様子を確認してくれると嬉しい
==============
前半の内容には納得できたが、メッセージの後半の内容には、明らかに不可解な点があった。
しかし、文章のやり取りで、そのことを指摘するのも難しいと感じ、彼女が自分で話したい、と思った時にたずねれば良いか、と考えて、《OK》と書かれたコアラのスタンプを返信しておくだけにした。
8月20日(金)くもり時々雨
天気予報の精度は高く、八月としては異例の雨が降り続く一週間となった。連日の雨天順延で、高校野球の全国大会も決勝戦の日程が二度も変更されるなど、夏の長雨は、さまざまな分野に影響を与えていた。
例年なら、台風の到来だけを心配しておけば良かったが、ここまで雨の日が続くと、一週間後の花火大会の日まで雨が振り続けるのではないか――――――という不安な気持ちが頭をもたげる。
(来週は、晴れてくれると良いが……)
そんな祈りにも似た想いを込めて、翌週の花火観賞についての連絡を参加メンバーに送ることにした。
==============
・花火大会についてのお知らせ
集合日時:8月28日午後5時
集合場所:駅前改札口
持ちもの:
①水分補給用ドリンク
②虫除け対策グッズ
その他、質問などはお気軽に
==============
メンバーとのコミュニケーションを一括で行うため、この機会に作成し、参加してもらったチャットグループに、メッセージを送信する。
今回の花火の打ち上げ場所は、ベイエリアにある人工島の宿泊施設(ロッジ)の一角で開催される。
両親は、クルマで会場に向かうそうだが、我が家のマイカーでは友人一同を乗せると定員オーバーとなるため、自分たち高校生組は、電車とバスを乗り継いで参加することになった。
花火の打ち上げは、午後七時半ころから始まるらしいので、余裕を持って、開始の一時間前に会場に到着できるように集合時間を設定した。
色々なことを取り仕切れる哲夫とは違い、こうした連絡をすることには慣れていなかったので、参加メンバーから、どんな返信が来るのか不安だったのだが、ほぼ全員からスタンプやメッセージなどで、ねぎらいや感謝の言葉が返ってきたので、安心する。
そして、同時に、メンバーの性格の良さに救われる想いになった(ちなみに、送信したメッセージの文面は、夏休みの最初の頃に小嶋夏海からもらった連絡事項の書き方を参考にさせてもらったことを告白しておく)。
現状で、自分に出来ることは、すべてやり尽くした。
さらに、オレは、
(無事に花火大会が決行されて、一番大きな花火が打ち上がった時には……)
と、決意を胸に秘めて、メンバーから返信されてきたメッセージを眺める。
あとは、当日の天候に問題がないことを祈るのみ、だ――――――。
そんなことを考えながら、落ち着かない気分を振り払うために、スマホの画面を動画サイトに切り替える。
トップ画面には、数日前に更新されたばかりの、三十年前に有名アーティストがリリースした楽曲の公式ミュージック・ビデオが表示されていた。
発表から数十年が経過したその曲を再生する。
夏の終わりを感じさせる切ないメロディーと歌詞に、自分を重ね合わせ、ベッドに横たわりながら、気が付くと、目尻から熱を帯びた水滴がこぼれるのを感じた。
0
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる