魔王から学ぶ魔王の倒し方

唯野bitter

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第二百七話 上機嫌だな?

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 とある日の放課後、初めてのテストまで1週間という事もあり皆で図書館で勉強している。お勉強のメンバーはコアコちゃん、サルミちゃん、マカダ君、アルフォちゃん。教科は全部で5つ。国語、算数、歴史、理科、魔語だ。
 と言っても、今回のテスト範囲の知識は頭に入っているから、ノエルは皆に教えるのが主だ。


「ノエルちゃん」
「はーい」


 コアコちゃんの席に行くと、算数の教科書を広げていた。今は分数を勉強しているみたいだ。


「ここはどうやって解くの?」
「ここはね、分母と分数を……」
「なるほど」


 解き方をノートに書くと、コアコちゃんは残りの問題を解き始めた。やっぱりコアコちゃんは頭がいいね。


「ノエル、ここは何だったかしら?」
「はいはーい」


 今度はサルミちゃんに呼ばれた。サルミちゃんは理科の教科書を広げている。今はMPの問題をやっているみたいだ。


「ここはどうすればいいの?」
「ここはね、スキルのMPと魔法のMPの性質の違いを利用して……」
「ああ、この公式を使うのね」


 教科書の公式を丸で囲むと、サルミちゃんも理解したのか問題を解き始めた。
 サルミちゃんは公式を覚えて計算するのが苦手みたい。その代わり、暗記科目は得意みたい。
 今夜、公式と使い方をノートに分かりやすく纏めてサルミちゃんに渡しておこう。


『ノエル』
『ほーい』


 今度はマカダ君に呼ばれる。マカダ君は人語の勉強をしているみたい。ノエル達にとっては国語だけど、マカダ君にとっては外国語だしね。勉強するのは大変だろう。


『この単語はどういう意味だ?』
『魔語にすると緊張って意味だね。けどさ、ここってテスト範囲じゃないよ?』
『テスト範囲の勉強は済んでる。今は人語が話せるようになるように勉強している』
『そうなんだ。偉いね。よしよしする?』
『……いらない』


 少し悩んだ後にマカダ君が目を逸らせる。
 流石はマカダ君。かなり優秀だ。前に勉強を見た時もスラスラと解けていたし、テスト範囲はあ心配ないね。


「ノエルちゃん」
「へーい」


 今度はアルフォちゃんに呼ばれた。アルフォちゃんは料理研究会に入っていたから、放課後は会えなかったんだよね。
 テスト1週間前からはクラブ活動が出来ないみたいだし誘ってよかった。
 アルフォちゃんは歴史の教科書を開いていた。


「ねえねえ、歴史を覚える意味ってあるのかしら?」
「皆とは質問の方向性が違うね?」


 まさか、勉強の意義を問われるとは思わなかった。
 アルフォちゃんは背もたれに思いっきりもたれかかる。


「あーあ、疲れちゃった」
「勉強を始めてから2時間立ってるみたいね。そろそろ休憩にしましょう」
「わーい!お菓子食べよう!わたし、マフィン焼いてきたんだ!」
「やったー!」
『図書館だ。食べ物は出すなよ?』


 バスケットを取り出したアルフォちゃんをマカダ君が注意する。
 アルフォちゃんは渋々バスケットを仕舞う。マフィン食べたかったなー。


「次からはマフィン食べられる場所で勉強しようよ」
「そんなの何処にあるのよ」
「サルミちゃんの家とか?」
「私の家はダメよ。あんたの家にしなさい」
「ノエルの家?」


 ノエルの家か。確か泥棒対策にトラップがいくつかあったような?


「……ノエルの家も無理かな?」
「そう。誰か家が使えそうな人はいないかしら?」
『俺の家なんてどうだ?』
「マカダ君の家?そういえば誰かの家に集まった事ってないよね?」
「そういえばそうだね?」


 いつも学校か外でしか集まったことが無い。誰かの家に集まるのは新鮮だ。


「意義が無いなら決まりね。明日はマカダの家で勉強会よ」
「ついでにパジャマパーティーでもする?」
「男の子の家でやるの?冗談だよね?」
「え?ダメなの?」
「そういうのは女の子同士でやるものだよ?」
「そうなんだ」


 ノエルはマカダ君が一緒でもいいけどね。同じオカルト研究会(予定)の仲間なんだし。
 当のマカダ君はと言うと、無言で気まずそうに顔を逸らしていた。マカダ君も嫌なのかな?


「そういえば、ノエルちゃんは勉強しなくていいの?ずっと私達の勉強みてばっかりだよね?」


 コアコちゃんがズレた丸眼鏡を直しながら心配する。


「んー、ノエルは大丈夫。家でホウリお兄ちゃんに勉強教わってるし」
「あんたの小テストの成績が良いのって、ホウリって人に教わってるから?」
「そうだよ?」
「次はホウリって人も呼んだ方が良いわね」
「ノエルちゃん、ホウリさん呼べる?」
「忙しいみたいだし、難しいかも?」


 最近はご飯の時間にもギリギリだし、かなり忙しいみたい。頼んでも来てくれるかは微妙なところだ。


『でもよ、ノエルの教え方も上手いよな』
「そうね。結構わかりやすいわよ?」
「勉強会の後は分からない所がほとんど無くなってるよね」
「えへへ、そんなに褒めないでよ」
「調子に乗らないの。ほら、さっさと再開するわよ」
「えー?もっと休んでもいいんじゃない?」
「そうだよ。もうちょっとお話しよ?」
『それを認めるとズルズルと休んでいくだろ?図書館ももう少しで閉まるし、あともう少しだけ頑張ろうぜ』
「はーい。ん?」


 図書館がもうすぐで閉まる?何か忘れているような?


「……あー!」


 忘れていたことを思い出して、思わず大声を上げてしまう。そんなノエルに図書館中の視線が一身に集まる。


「ちょっと!静かにしなさいよ!追い出されるわよ!」
「どうしたのノエルちゃん?」
「ちょっと用事を思い出した!先に帰るね!バイバイ!」
「え!?ちょっと!?」


 すぐさま荷物をまとめて、図書館を飛び出す。皆の声を背にノエルは学校を後にしたのだった。


☆   ☆   ☆   ☆


「ふわぁぁぁ……」


 とある日の朝、ノエルは欠伸をしながら通学路を歩く。うーん、最近のおつかいは上手くいかないなぁ。早くパンプ君も一緒に学校に行きたいなぁ。
 依頼帳の中身を思い出してどうやってお金を稼ごうか考えていると、遠くにコアコちゃんとサルミちゃんの姿が見えた。


「おーい!おはよー!」
「あ、ノエルちゃん。おはよう」
「おはよう。いよいよ今日ね」
「え?何が?」
「何がって、テストの結果発表があるじゃない」
「あー、そういえばそんなのもあったね」
「そんなのって、進学校で成績を気にしないなんてありえないでしょ?」
「ノエルちゃん凄いね」


 そう言われてみると、テストから結構立ってたね。でも、全くできなかった訳じゃないし、あんまり気にしなくてもいいかな。


「ま、悪くても皆にバレる訳じゃないし良いんじゃない?」
「何言ってるのよ。総合点は張り出されるから、低かったら恥かくわよ」
「え?そうなの?」
「ノエルちゃん、流石に少しは興味を持った方がいいんじゃない?」
「だって、満点でも50点でも変わらないでしょ?給食が豪華になるとかだったら頑張れるんだけどなー」
「それ言えるのノエルちゃんくらいだよ」


 歩きながらコアコちゃんが苦笑する。


「ま、あんたが何位だろうと私には関係ないけどね」
「あれ?今日のサルミちゃんは上機嫌だね?」
「今回のテストは相当自信があるのよ。結果を見るのが楽しみだわ」
「私も結構自身あるんだ。ノエルちゃんに教えてもらったからね」
「それはいいね。じゃあさ、誰が良い点を取るか賭けでもする?」
「それは遠慮しておくわ。どうせ、あんたが勝つでしょう?」
「私も遠慮しておこうかな?」
「ちぇー」


 お友達と成績で勝負するってやってみたかったんだけどなぁ。残念。


「成績ってどこに貼られるの?」
「校舎と体育館の間の廊下よ。登校のついでに見ましょう」


 そうこうしている内に学校にたどり着いた。
 ノエル達は玄関に行く前に成績が貼り出されている廊下まで行ってみる。すると、ざわついている沢山の生徒の中に紛れてマカダ君が成績表を見ていた。けど、後ろほうにいるから成績表が見えないのか、背伸びをして頑張っている。


『マカダ君』
『お、ノエル。おはよう』
『おはよ。マカダ君も成績を見に来たの?』
『ああ、人が多すぎてまだ見られてないけどな』


 マカダ君の言う通り、成績表の前には沢山の生徒がいて見えない。


「割って入ろうかしら?」
「それよりも、この小型望遠鏡で後ろから見た方が良いと思うよ?」
『なんでそんなの持ってるんだ?』
「いらない?」
『いる』


 皆に小型望遠鏡を渡して、後ろにある花壇のレンガの上に立つ。望遠鏡で成績表を見てみる。


「ここからなら見られるみたい」
「そう」


 3人もノエルと同じように花壇の上から望遠鏡で見る。さーて、結果はどうなってるかな?


1位 ノエル・カタラーナ 600点
2位 マカダ・トオリ   598点
3位 コアコ・ロッテ   597点
3位 サルミ・キンツ   597点
5位 パンプ・キューレ  596点
5位 アルフォ・マンド  596点
7位 フロラン・ワーズ  595点
…………



「やったー!ノエルが1位だー!」
「全教科満点!?規格外すぎるでしょ!?」
「そういうサルミちゃんも3点しか落としてないよ?」
「コアコもね。マカダに至っては2点よ?やるじゃないの」
『死ぬほど勉強してるからな。次は満点を目指すか、というか、なんでパンプの名前もあるんだ?あいつ、登校してないだろ?』
「登校していない子もテストは受けないといけないの。勉強は放課後にノエルが教えてたんだ」


 前に図書館を飛び出したのも、パンプ君の勉強を見る時間が近づいていたから。一人で勉強は寂しいだろうからってノエルが提案したらオーケーしてくれたんだよね。


「へー、パンプ君が良くオッケーしてくれたね」
「毎日、孤児院に通っていたら仲良くなったんだ」
『言葉が通じない相手に良くやるよ』
『それマカダ君が言う?』


 皆でワイワイと盛り上がっていると、何処かから鋭い視線を感じた。
 咄嗟に視線の先を向くと、そこにはノエル達を睨みつけているフロランちゃんがいた。何も出来ずにいると、フロランちゃんは解散していく生徒の中に紛れて見失ってしまった。
 今まで見た中で一番冷たい視線だった。なんだか怖い。
 その時、ノエルは初めてお友達の事を怖いと思ったのだった。そして、この出来事がフロランちゃんとの関係を大きく変えるんだけど、それはまた後のお話。
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