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第二百八十一話 ゆうべはお楽しみでしたね
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そんな訳で、僕らは休憩を終えて騎士団にあるオダリム行きの魔法陣がある建物までやってきた。
「王都の魔法陣は無事なんですね?」
「人国の中心だからな。警備も厳重なんだよ」
そう言いながら、ホウリさんが扉の鍵を開ける。
「他にオダリムへ行く人はいないんですか?」
「いるが王都に来るまで時間が掛かる。今はお前たちの方が先だ」
「誰ですか?」
「ロットだ」
「なるほど」
ロットさんが魔物の軍団をなぎ倒していく姿が容易に想像できる。居てくれればかなり心強い。
扉を開けると、さっきも見た床に魔法陣が彫られている部屋だった。
「他にも目を付けている奴はいるから、そいつらも説得して送り込む予定だ」
ホウリさんが部屋の壁にある溝に手を入れる。そして、力を込めると壁の一部が開いて台座のようなものが現れた。台座には半透明の石が置いてあり、ホウリさんは石を手に取る。
「問題はこいつだな」
「魔石か」
この石は魔石。MPをため込むことが出来る石だ。
MPは火や冷気など、さまざまなエネルギーに変換できる。僕らが使っている冷蔵庫やコンロといった、生活用品も魔石に貯めたMPを使っている。それほど、魔石は僕らの生活に欠かせないものだ。
魔石は勿論のことながら、魔法陣を動かすのにも使う。しかも、その量は冷蔵庫とかコンロとは比にならない程に多い。
「オダリムが魔物に囲まれている以上、物資や人を送るには魔法陣を使うしかない」
「つまり、いくら物資が集まっても魔石が無いと意味が無いということだな」
「そういうことだ。この魔石がいくつ手に入るかが、重要になってくる」
魔石はライフラインだ。強引な手を使って数を揃えれば、王都の人達の反感を買いかねない。
「手はあるのか?」
「ある」
「汚い手ではないだろうな?」
「バレなければ問題無い」
「はぁ……」
ホウリさんの答えにミエルさんは頭を抱える。けど、ホウリさんを睨むだけでそれ以上に何か言う事は無かった。
ホウリさん話しながら、魔石の取り換え作業を進める。
「よし、これで大丈夫だ。作動させるから魔法陣の中に入ってくれ」
「はーい」
ホウリさんが壁を閉じると、魔法陣が輝き始めた。
僕とミエルさんが魔法陣の中に入ると、ホウリさんも足早に入って来た。魔法陣は輝きを増して、遂には目が開けないほどになった。
数秒後、目を開けてみると王都とは別の魔法陣の部屋に立っていた。
「ワープ成功。オダリムに着いたぞ」
「短期間でこんなにワープすることになるとはな」
「フランさんのを含めれば1日で3回ですもんね」
これが旅行とかなら良いんだけど、目的が目的だけに素直に喜べない。
「オダリムって、確か草原に囲まれた街でしたよね?」
「ああ。起伏が無く広大な地にあるから、人国の物流の中心になっている」
「今回はそれが裏目に出たのだな」
オダリムは人国の中心に位置しているし、狂暴な魔物も出現しない。だから、行き来も便利だし、魔国から攻められる心配もない。
だからこそ、魔物の大群を相手にしたことも無いし、今回の襲撃に対応できる力も無い。僕らの働きにオダリムの全てが掛かっているといっても過言じゃない。
寝不足とプレッシャーで頭痛を覚えながら、僕は外への扉を開ける。
太陽の光が陰鬱な僕らを明るく照らしてくれる。今の僕たちには眩しすぎるかも。
「今から宿に案内する。着いてきてくれ」
「はーい」
僕らは言われた通りにホウリさんに着いていく。
騎士団を出ると、人通りの多い大通りに出た。何処を見ても人に溢れかえっている。しかも、人族や魔族など、王都よりも色んな人種が歩いている。
「流石はオダリムですね、人が多いです」
「人だけじゃなくて店も多いぞ」
そう言われて周りを見てみる。『オイルマッサージ店』に『パフェ専門店』、『サウナセンター』っていうお店もある。見ているだけでもワクワクしてくる。
でも、どの店もいけないんだよなぁ。
「あーあ、僕も観光したいなぁ」
「全部片づけたら観光してもいいぞ」
「それまで戦い詰めなんですよね?」
「ああ」
「うへぇ、気が滅入ってきますね」
目の前にあるのに手が届かないだなんて、普通にできないよりも心にくる。
「それで、宿とは何処なのだ?」
ミエルさんは羨ましいとは思っていないのか、何でもない様子だ。流石はミエルさん、公私混同しないなんて流石だ。
「今から行く宿は、俺がこの世界に来て最初に泊まった宿だ。派手さは無いが良い宿だぞ」
「ホウリさんが言うなら信用できますね」
僕は羨ましい気持ちを押えつつ、出来るだけ店を見ない様にホウリさんに着いていく。
「久しぶりだなホウリ。元気してたか?」
「ああ。おかげさまでな」
「あれ?ホウリ君?オダリムに帰ってきてたの?」
「立った今な」
「いつまでいるの?」
「魔物を全滅させるまでだな」
ホウリさんが街を歩いていると、道行く人やお店の人が集まって来た。
「ホウリちゃんがいるなら安心ね」
「任せとけ。といっても、物資面がキツイんだけどな」
「あらそうなの?うちのポーション持っていく?」
「じゃあ俺は矢でも提供するか」
「いいのか?かなり助かる」
街を少し歩いただけで物資の目途が立ちつつある。ホウリさんってこの街にいたのは1年くらい前なんだよね?今でもこんなに人気があるなんて何をしたんだろうか?
そんな感じで街の人と話しながら歩くこと数分、ホウリさんがとある宿の前で立ち止った。
「ここだ」
宿は言われた通り、派手さは全くない普通の建物だった。宿の看板に「INN」と書かれていて、それだ辛うじて宿だと分かる。
ホウリさんが慣れた様子で宿の扉を開ける。すると、扉に付いている鈴が涼やかな音色と共に来客を告げた。
鈴が鳴ってすぐに奥から人がやって来た。
「はーい、いらっしゃいま……せ?」
「よお、ディーヌ。久しぶり……でもないか」
ホウリさんがやって来た女の人に親し気に挨拶する。女の人はホウリさんを見ると、ビックリした様子で口に手を当てた。
「ホウリ君!?どうしてオダリムにいるの!?」
「魔物の件は知っているか?」
「うん。あと数時間で来るんだよね?」
「それを食い止めに来た」
「だから宿を借りにきたってこと?」
「そういうことだ」
ホウリさんは後ろにいる僕らに手を向ける。
「こいつらが今のパーティーメンバーだ」
「初めまして、私は騎士団長のミエル・クランだ」
「僕は騎士団のロワ・タタンです。よろしくお願いいたします」
「ご丁寧にどうも。私はディーヌ・フランベです。よろしくね」
ディーヌさんがお辞儀をしたので、僕らもお辞儀で返す。
「挨拶も済んだところで本題だ。部屋はいくつ空いてるんだ?」
「えーっとね、ちょっと待ってね」
ディーヌさんがカウンターに行って、台帳を確認する。
「うーん、一部屋は空いてるかな」
「一部屋に3人は無理だな」
「他の宿を探しますか?」
「それも難しいと思うよ?」
僕の言葉にディーヌさんが困ったように笑う。
「近いうちにお祭りがあるの。だから、オダリムの宿はほとんど埋まっていると思うよ?」
「どうします?野宿で戦い続けるのは厳しいですよ?」
「なら、ロワとミエルで1つの部屋を使えばいい」
「……へ?」
ホウリさんの言葉に僕とミエルさんが首を傾げる。そして、意味を理解したミエルさんの顔が徐々に赤くなっていった。
「ななななにを言っているんだ!?」
「1つの部屋に2人で泊まれって言っている」
「そういう事ではない!男女で1つの部屋に泊まるなんて破廉恥だ!」
ホウリさんにミエルさんがものすごい形相で掴みかかる。傍から見ているだけでも、怯みそうになるような迫力だ。
そんな激昂しているミエルさんに掴みかかられながらも、ホウリさんは涼しい顔をしている。
「別にそういう事をしろって言ってるわけじゃない。ただ同じ部屋で生活しろと言っているわけだ」
「そういう事ってどういう事ですか?」
「ロワは黙っていてくれ!」
「大変申し訳ございませんでした」
あまりの迫力に僕は土下座を決める。
「同じ部屋に男女が生活するだなんて、間違いが起こったらどうするつもりだ!」
「2人とも大人なんだし、責任くらいは自分で取れるだろ?」
「そういうことじゃない!間違いが起こる可能性が問題だと言っているのだ!」
僕の頭の上で、お二人の言い合いが聞こえてくる。正直、僕はミエルさんと一緒の部屋でも問題ない。けど、ミエルさんはやっぱり嫌みたいだ。
「ならどうする?他に宿があるとは限らないぞ?この部屋だってすぐに埋まるかもしれない」
「それは……」
ミエルさんの言葉に勢いがなくなっていく。これはホウリさんが優勢かな?
「しかし、流石に異性と同じ部屋は……」
「じゃあこういうのはどうだ?この宿の部屋を借りておいて、他の宿に部屋を探しに行く。見つかるまではロワとミエルで同じ部屋に泊まる」
「それならまあ……」
「決まりだな。ディーヌ、部屋を貸してくれ」
「分かったけど、ホウリ君は部屋を借りなくていいの?」
「俺は働きづめが確定しているからな。部屋で休む暇なんて無い」
「それは残念」
「飯は食いに来るから、その時には色々と話そうな」
「ふふ、楽しみにしてるね」
ディーヌさんとホウリさんの楽しそうな話声が聞こえる。本当に親しいのだろう。だけど、何だかディーヌさんは他の感情があるような?気のせいかな?
「そうと決まれば、ロワとミエルはさっさと部屋に荷物を置いてこい。時間はいくらあっても足りないぞ」
「そうだな」
「部屋は2階の一番奥の部屋だからね。これがカギね」
「ありがとう」
そう言ってカギを受け取ったミエルさんは2階へと上がっていった。
「ロワはいつまで土下座してるんだ?」
「頭を上げるタイミングを逃しまして……」
「王都の魔法陣は無事なんですね?」
「人国の中心だからな。警備も厳重なんだよ」
そう言いながら、ホウリさんが扉の鍵を開ける。
「他にオダリムへ行く人はいないんですか?」
「いるが王都に来るまで時間が掛かる。今はお前たちの方が先だ」
「誰ですか?」
「ロットだ」
「なるほど」
ロットさんが魔物の軍団をなぎ倒していく姿が容易に想像できる。居てくれればかなり心強い。
扉を開けると、さっきも見た床に魔法陣が彫られている部屋だった。
「他にも目を付けている奴はいるから、そいつらも説得して送り込む予定だ」
ホウリさんが部屋の壁にある溝に手を入れる。そして、力を込めると壁の一部が開いて台座のようなものが現れた。台座には半透明の石が置いてあり、ホウリさんは石を手に取る。
「問題はこいつだな」
「魔石か」
この石は魔石。MPをため込むことが出来る石だ。
MPは火や冷気など、さまざまなエネルギーに変換できる。僕らが使っている冷蔵庫やコンロといった、生活用品も魔石に貯めたMPを使っている。それほど、魔石は僕らの生活に欠かせないものだ。
魔石は勿論のことながら、魔法陣を動かすのにも使う。しかも、その量は冷蔵庫とかコンロとは比にならない程に多い。
「オダリムが魔物に囲まれている以上、物資や人を送るには魔法陣を使うしかない」
「つまり、いくら物資が集まっても魔石が無いと意味が無いということだな」
「そういうことだ。この魔石がいくつ手に入るかが、重要になってくる」
魔石はライフラインだ。強引な手を使って数を揃えれば、王都の人達の反感を買いかねない。
「手はあるのか?」
「ある」
「汚い手ではないだろうな?」
「バレなければ問題無い」
「はぁ……」
ホウリさんの答えにミエルさんは頭を抱える。けど、ホウリさんを睨むだけでそれ以上に何か言う事は無かった。
ホウリさん話しながら、魔石の取り換え作業を進める。
「よし、これで大丈夫だ。作動させるから魔法陣の中に入ってくれ」
「はーい」
ホウリさんが壁を閉じると、魔法陣が輝き始めた。
僕とミエルさんが魔法陣の中に入ると、ホウリさんも足早に入って来た。魔法陣は輝きを増して、遂には目が開けないほどになった。
数秒後、目を開けてみると王都とは別の魔法陣の部屋に立っていた。
「ワープ成功。オダリムに着いたぞ」
「短期間でこんなにワープすることになるとはな」
「フランさんのを含めれば1日で3回ですもんね」
これが旅行とかなら良いんだけど、目的が目的だけに素直に喜べない。
「オダリムって、確か草原に囲まれた街でしたよね?」
「ああ。起伏が無く広大な地にあるから、人国の物流の中心になっている」
「今回はそれが裏目に出たのだな」
オダリムは人国の中心に位置しているし、狂暴な魔物も出現しない。だから、行き来も便利だし、魔国から攻められる心配もない。
だからこそ、魔物の大群を相手にしたことも無いし、今回の襲撃に対応できる力も無い。僕らの働きにオダリムの全てが掛かっているといっても過言じゃない。
寝不足とプレッシャーで頭痛を覚えながら、僕は外への扉を開ける。
太陽の光が陰鬱な僕らを明るく照らしてくれる。今の僕たちには眩しすぎるかも。
「今から宿に案内する。着いてきてくれ」
「はーい」
僕らは言われた通りにホウリさんに着いていく。
騎士団を出ると、人通りの多い大通りに出た。何処を見ても人に溢れかえっている。しかも、人族や魔族など、王都よりも色んな人種が歩いている。
「流石はオダリムですね、人が多いです」
「人だけじゃなくて店も多いぞ」
そう言われて周りを見てみる。『オイルマッサージ店』に『パフェ専門店』、『サウナセンター』っていうお店もある。見ているだけでもワクワクしてくる。
でも、どの店もいけないんだよなぁ。
「あーあ、僕も観光したいなぁ」
「全部片づけたら観光してもいいぞ」
「それまで戦い詰めなんですよね?」
「ああ」
「うへぇ、気が滅入ってきますね」
目の前にあるのに手が届かないだなんて、普通にできないよりも心にくる。
「それで、宿とは何処なのだ?」
ミエルさんは羨ましいとは思っていないのか、何でもない様子だ。流石はミエルさん、公私混同しないなんて流石だ。
「今から行く宿は、俺がこの世界に来て最初に泊まった宿だ。派手さは無いが良い宿だぞ」
「ホウリさんが言うなら信用できますね」
僕は羨ましい気持ちを押えつつ、出来るだけ店を見ない様にホウリさんに着いていく。
「久しぶりだなホウリ。元気してたか?」
「ああ。おかげさまでな」
「あれ?ホウリ君?オダリムに帰ってきてたの?」
「立った今な」
「いつまでいるの?」
「魔物を全滅させるまでだな」
ホウリさんが街を歩いていると、道行く人やお店の人が集まって来た。
「ホウリちゃんがいるなら安心ね」
「任せとけ。といっても、物資面がキツイんだけどな」
「あらそうなの?うちのポーション持っていく?」
「じゃあ俺は矢でも提供するか」
「いいのか?かなり助かる」
街を少し歩いただけで物資の目途が立ちつつある。ホウリさんってこの街にいたのは1年くらい前なんだよね?今でもこんなに人気があるなんて何をしたんだろうか?
そんな感じで街の人と話しながら歩くこと数分、ホウリさんがとある宿の前で立ち止った。
「ここだ」
宿は言われた通り、派手さは全くない普通の建物だった。宿の看板に「INN」と書かれていて、それだ辛うじて宿だと分かる。
ホウリさんが慣れた様子で宿の扉を開ける。すると、扉に付いている鈴が涼やかな音色と共に来客を告げた。
鈴が鳴ってすぐに奥から人がやって来た。
「はーい、いらっしゃいま……せ?」
「よお、ディーヌ。久しぶり……でもないか」
ホウリさんがやって来た女の人に親し気に挨拶する。女の人はホウリさんを見ると、ビックリした様子で口に手を当てた。
「ホウリ君!?どうしてオダリムにいるの!?」
「魔物の件は知っているか?」
「うん。あと数時間で来るんだよね?」
「それを食い止めに来た」
「だから宿を借りにきたってこと?」
「そういうことだ」
ホウリさんは後ろにいる僕らに手を向ける。
「こいつらが今のパーティーメンバーだ」
「初めまして、私は騎士団長のミエル・クランだ」
「僕は騎士団のロワ・タタンです。よろしくお願いいたします」
「ご丁寧にどうも。私はディーヌ・フランベです。よろしくね」
ディーヌさんがお辞儀をしたので、僕らもお辞儀で返す。
「挨拶も済んだところで本題だ。部屋はいくつ空いてるんだ?」
「えーっとね、ちょっと待ってね」
ディーヌさんがカウンターに行って、台帳を確認する。
「うーん、一部屋は空いてるかな」
「一部屋に3人は無理だな」
「他の宿を探しますか?」
「それも難しいと思うよ?」
僕の言葉にディーヌさんが困ったように笑う。
「近いうちにお祭りがあるの。だから、オダリムの宿はほとんど埋まっていると思うよ?」
「どうします?野宿で戦い続けるのは厳しいですよ?」
「なら、ロワとミエルで1つの部屋を使えばいい」
「……へ?」
ホウリさんの言葉に僕とミエルさんが首を傾げる。そして、意味を理解したミエルさんの顔が徐々に赤くなっていった。
「ななななにを言っているんだ!?」
「1つの部屋に2人で泊まれって言っている」
「そういう事ではない!男女で1つの部屋に泊まるなんて破廉恥だ!」
ホウリさんにミエルさんがものすごい形相で掴みかかる。傍から見ているだけでも、怯みそうになるような迫力だ。
そんな激昂しているミエルさんに掴みかかられながらも、ホウリさんは涼しい顔をしている。
「別にそういう事をしろって言ってるわけじゃない。ただ同じ部屋で生活しろと言っているわけだ」
「そういう事ってどういう事ですか?」
「ロワは黙っていてくれ!」
「大変申し訳ございませんでした」
あまりの迫力に僕は土下座を決める。
「同じ部屋に男女が生活するだなんて、間違いが起こったらどうするつもりだ!」
「2人とも大人なんだし、責任くらいは自分で取れるだろ?」
「そういうことじゃない!間違いが起こる可能性が問題だと言っているのだ!」
僕の頭の上で、お二人の言い合いが聞こえてくる。正直、僕はミエルさんと一緒の部屋でも問題ない。けど、ミエルさんはやっぱり嫌みたいだ。
「ならどうする?他に宿があるとは限らないぞ?この部屋だってすぐに埋まるかもしれない」
「それは……」
ミエルさんの言葉に勢いがなくなっていく。これはホウリさんが優勢かな?
「しかし、流石に異性と同じ部屋は……」
「じゃあこういうのはどうだ?この宿の部屋を借りておいて、他の宿に部屋を探しに行く。見つかるまではロワとミエルで同じ部屋に泊まる」
「それならまあ……」
「決まりだな。ディーヌ、部屋を貸してくれ」
「分かったけど、ホウリ君は部屋を借りなくていいの?」
「俺は働きづめが確定しているからな。部屋で休む暇なんて無い」
「それは残念」
「飯は食いに来るから、その時には色々と話そうな」
「ふふ、楽しみにしてるね」
ディーヌさんとホウリさんの楽しそうな話声が聞こえる。本当に親しいのだろう。だけど、何だかディーヌさんは他の感情があるような?気のせいかな?
「そうと決まれば、ロワとミエルはさっさと部屋に荷物を置いてこい。時間はいくらあっても足りないぞ」
「そうだな」
「部屋は2階の一番奥の部屋だからね。これがカギね」
「ありがとう」
そう言ってカギを受け取ったミエルさんは2階へと上がっていった。
「ロワはいつまで土下座してるんだ?」
「頭を上げるタイミングを逃しまして……」
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