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プロローグ
出会い
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「紹介した人がいるの」
リビングでお気に入りのテレビを見ていたら、母さんから神妙な顔でそう告げられた。
困惑よりも先に、嬉しいって感情が湧き上がってきたのを覚えている。
僕が幼い頃に実の父親が亡くなったから、十年以上も女手ひとつで僕のことを育ててくれた母さん。
母さんにいい人がいるだなんて驚いたけど、その男性が素敵な男性だといいな。
そんなことを考えながら、母さんからいつ彼に会いたいかと聞かれる。
数日前に中学を卒業したばかりで、高校の入学式までは暇だったから、「いつでもいいよ」と答えた。
どうやら、僕に紹介したい人というのはかなり忙しいらしく、来週の土曜日に顔合わせすることになるのだった。
♦︎
そして迎えた、当日。
おめかしした母さんと共に向かったのは、有名なホテルにあるレストラン。
「本当にここで大丈夫なの」って何度も確認する僕に笑みを返しながら、母さんは「大丈夫よ~」とふんわりとした口調で答える。
母さん、ちょっと天然なところがあるからな。しっかりと僕がいい人なのか見極めなければ。
そう意気込んでいたら、レストランからウェイターらしき男性が出てきた。母さんに軽く会釈したあと、
「柚木様ですね。お待ちしておりました」
と、言った。
顔見知りだろうか。母さんも会釈を返し、僕もそれに倣う。
重厚なドアが開いた瞬間、ジャズ調のBGMが耳に届いた。そして、正服に身を包んだ大人の男女の姿が視界に入る。
自分の手のひらがじわりと汗ばんでいくのを感じながら、とりあえずウェイターさんに着いていく。
案内されたのは、奥まった場所にある個室。これまた重厚そうな扉を開けると、誰かが僕に向かって突進してきた。
「いらっしゃい、雪都くん!」
つんのめりそうになりながらも、なんとか堪える。
「貴志さん、雪都が困っているでしょ」
「ごめんごめん、六花さん。あまりにも雪都くんに会えるのが嬉しくって」
完全にホールドされた状態で、貴志さんの方に視線を移す。
貴志さんは、かなり長身のワイドル系イケオジだった。にかっと笑うと、僕の頭をわしゃわしゃとかき回した。
「中で碧が待ってるからな。おーい、雪都くんが来たぞ」
貴志さんが中にいる碧さんへと呼びかけた。こんなに高級なレストランにいるのに、なぜだか居酒屋にいる気分だ。
ぴんと張り詰めていた緊張の糸が解れていくのが分かる。
「あの、はじまめまして、僕は柚木雪都といいます。よろしくおねがっ、」
いたします。その言葉が紡がれることはなかった。
だって、そこにいたのは──、
「え、もしかして『Shiny Boys』の碧さん!?」
今大人気のアイドルだったから。
リビングでお気に入りのテレビを見ていたら、母さんから神妙な顔でそう告げられた。
困惑よりも先に、嬉しいって感情が湧き上がってきたのを覚えている。
僕が幼い頃に実の父親が亡くなったから、十年以上も女手ひとつで僕のことを育ててくれた母さん。
母さんにいい人がいるだなんて驚いたけど、その男性が素敵な男性だといいな。
そんなことを考えながら、母さんからいつ彼に会いたいかと聞かれる。
数日前に中学を卒業したばかりで、高校の入学式までは暇だったから、「いつでもいいよ」と答えた。
どうやら、僕に紹介したい人というのはかなり忙しいらしく、来週の土曜日に顔合わせすることになるのだった。
♦︎
そして迎えた、当日。
おめかしした母さんと共に向かったのは、有名なホテルにあるレストラン。
「本当にここで大丈夫なの」って何度も確認する僕に笑みを返しながら、母さんは「大丈夫よ~」とふんわりとした口調で答える。
母さん、ちょっと天然なところがあるからな。しっかりと僕がいい人なのか見極めなければ。
そう意気込んでいたら、レストランからウェイターらしき男性が出てきた。母さんに軽く会釈したあと、
「柚木様ですね。お待ちしておりました」
と、言った。
顔見知りだろうか。母さんも会釈を返し、僕もそれに倣う。
重厚なドアが開いた瞬間、ジャズ調のBGMが耳に届いた。そして、正服に身を包んだ大人の男女の姿が視界に入る。
自分の手のひらがじわりと汗ばんでいくのを感じながら、とりあえずウェイターさんに着いていく。
案内されたのは、奥まった場所にある個室。これまた重厚そうな扉を開けると、誰かが僕に向かって突進してきた。
「いらっしゃい、雪都くん!」
つんのめりそうになりながらも、なんとか堪える。
「貴志さん、雪都が困っているでしょ」
「ごめんごめん、六花さん。あまりにも雪都くんに会えるのが嬉しくって」
完全にホールドされた状態で、貴志さんの方に視線を移す。
貴志さんは、かなり長身のワイドル系イケオジだった。にかっと笑うと、僕の頭をわしゃわしゃとかき回した。
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ぴんと張り詰めていた緊張の糸が解れていくのが分かる。
「あの、はじまめまして、僕は柚木雪都といいます。よろしくおねがっ、」
いたします。その言葉が紡がれることはなかった。
だって、そこにいたのは──、
「え、もしかして『Shiny Boys』の碧さん!?」
今大人気のアイドルだったから。
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