3 / 14
同居開始
引っ越し
しおりを挟む
「わぁ、広い……!」
今僕らがいるのは、貴志さんたちの実家だ。僕でも知っている高級住宅地の中に聳え立つマンションの最上階にいる。
どうやら最上階はワンフロア全部が貴志さんのものらしく、エレベーターから降りると同時に玄関が見えた。
「いらっしゃい、二人とも!」
まだ朝早い時間帯だからか、寝癖が何個かある状態で、貴志さんが僕らを迎い入れてくれた。
庶民感丸出しで当たりをきょろきょろとしながらリビングに向かうと、シックな椅子に腰掛けて碧さんがコーヒーを飲んでいた。淹れたばかりなのか、煙がもくもくと上がっている。
「お、おはようございます、碧さん!」
鞄を握りしめて、深々と頭を下げた。
「おはよう、雪都くん」
寝起きとは思えない優雅な微笑みを返してくれる。
「疲れただろう? もしよかったら、その荷物持つよ」
「だ、大丈夫です! 軽いので一人で持てます」
アイドルに持たせるわけにはいかないと遠慮したけど、すっと碧さんの表情が翳った。
「まだ、俺のこと信用できないよね」
しゅんと肩を落とし、儚げボイスで碧さんが言った。
なぜ荷物を持つ持たないで信用という言葉が出てくるのかよく分からないけど、碧さんが落ち込んでいるならこのままでいいわけがない。
「じゃあ、荷物お願いしてもいいですか? 碧さん」
「勿論! 雪都くんのお願いごとならなんでもするよ」
先程までの雰囲気が嘘だったかのように微笑んで、「こっちだよ」と部屋を案内してくれる。
もしかして今さっきのは演技だったのではないかと勘違いしまいそうになるほどの変わり身だ。
まだ二回しか会っていないからか、碧さんがどんな人なのかまだよく分からない。普段、テレビの中で見ていた人だから、尚更。
多分だけど、テレビの中を通して碧さんを見るのと実際に会うのは違う気がした。
「どうしたの、雪都くん」
碧さんが不思議そうに僕のことを見つめていた。いけない、考え事に浸ってしまったようだ。
「なんでもありません、碧さん」
先程の考えを頭の中から振り払うと、碧さんの元へ駆け寄るのだった。
♦︎
自分の部屋として案内されたのは、碧さんのとなりの部屋だった。
『Yukito』のネームプレートがぶら下がっている扉を開けると、碧さんたちセレクトの家具が揃った部屋があった。
「わぁ、自分の部屋だ……!」
母さんとの二人暮らしの時は1LDKで自分の部屋なんてなかったから、テンションが上がってしまう。
そのままベッドへダイブして、試しにごろごろと寝転がってみる。ふかふかだ。
ひたすらベッドを堪能したあと、部屋の中をぐるりと見渡す。全体的に黒で統一された家具や壁は自分好みのものだ。
「ふふっ、雪都くんに喜んでもらって俺も嬉しいよ」
「はっ……! ご、ごめんなさい!」
碧さんが居るのをすっかり忘れていた。子供っぽいって思われただろうか。顔から火が出そうなほど顔が真っ赤になっていくのが分かる。
「いいよ、気にしないで。はしゃいでいる雪都くんも可愛いし」
この前初めて会った時から思っていたけど、碧さんは事あるごとに僕のことを可愛いと言っている気がする。
僕としては、可愛いよりもカッコいいと言われたいけど、国宝級イケメンである碧さんにとっては僕はペットとかにしか見えていないんだろう。
なんと答えたらいいのか考えあぐねていると、どこからかスマホの着信音が聞こえてきた。
「俺だ。え、このあと打ち上げ? 日程間違えていたって? 歩さんはおっちょこちょいだなぁ」
誰かと軽く会話したあと、申し訳なさそうに僕に近づいてきた。
「ごめん、このあと用事が出来たみたい。あー、行きたくない。雪都くんともっと居たい」
駄々をこねはじめる碧さんを宥める。
「絶対に行った方がいいですよ! ほら、芸能界って人脈が大事っていうじゃないですか! 僕とはいつでも会えますし!」
お節介だったかな、と思いつつ、力説する。
「雪都くんにそう言われたら行かないわけにはいかないね。絶対夜までには帰ってくるからね」
「いってらっしゃい、雪都さん!」
玄関まで碧さんを送り、リビングに戻るのだった。
今僕らがいるのは、貴志さんたちの実家だ。僕でも知っている高級住宅地の中に聳え立つマンションの最上階にいる。
どうやら最上階はワンフロア全部が貴志さんのものらしく、エレベーターから降りると同時に玄関が見えた。
「いらっしゃい、二人とも!」
まだ朝早い時間帯だからか、寝癖が何個かある状態で、貴志さんが僕らを迎い入れてくれた。
庶民感丸出しで当たりをきょろきょろとしながらリビングに向かうと、シックな椅子に腰掛けて碧さんがコーヒーを飲んでいた。淹れたばかりなのか、煙がもくもくと上がっている。
「お、おはようございます、碧さん!」
鞄を握りしめて、深々と頭を下げた。
「おはよう、雪都くん」
寝起きとは思えない優雅な微笑みを返してくれる。
「疲れただろう? もしよかったら、その荷物持つよ」
「だ、大丈夫です! 軽いので一人で持てます」
アイドルに持たせるわけにはいかないと遠慮したけど、すっと碧さんの表情が翳った。
「まだ、俺のこと信用できないよね」
しゅんと肩を落とし、儚げボイスで碧さんが言った。
なぜ荷物を持つ持たないで信用という言葉が出てくるのかよく分からないけど、碧さんが落ち込んでいるならこのままでいいわけがない。
「じゃあ、荷物お願いしてもいいですか? 碧さん」
「勿論! 雪都くんのお願いごとならなんでもするよ」
先程までの雰囲気が嘘だったかのように微笑んで、「こっちだよ」と部屋を案内してくれる。
もしかして今さっきのは演技だったのではないかと勘違いしまいそうになるほどの変わり身だ。
まだ二回しか会っていないからか、碧さんがどんな人なのかまだよく分からない。普段、テレビの中で見ていた人だから、尚更。
多分だけど、テレビの中を通して碧さんを見るのと実際に会うのは違う気がした。
「どうしたの、雪都くん」
碧さんが不思議そうに僕のことを見つめていた。いけない、考え事に浸ってしまったようだ。
「なんでもありません、碧さん」
先程の考えを頭の中から振り払うと、碧さんの元へ駆け寄るのだった。
♦︎
自分の部屋として案内されたのは、碧さんのとなりの部屋だった。
『Yukito』のネームプレートがぶら下がっている扉を開けると、碧さんたちセレクトの家具が揃った部屋があった。
「わぁ、自分の部屋だ……!」
母さんとの二人暮らしの時は1LDKで自分の部屋なんてなかったから、テンションが上がってしまう。
そのままベッドへダイブして、試しにごろごろと寝転がってみる。ふかふかだ。
ひたすらベッドを堪能したあと、部屋の中をぐるりと見渡す。全体的に黒で統一された家具や壁は自分好みのものだ。
「ふふっ、雪都くんに喜んでもらって俺も嬉しいよ」
「はっ……! ご、ごめんなさい!」
碧さんが居るのをすっかり忘れていた。子供っぽいって思われただろうか。顔から火が出そうなほど顔が真っ赤になっていくのが分かる。
「いいよ、気にしないで。はしゃいでいる雪都くんも可愛いし」
この前初めて会った時から思っていたけど、碧さんは事あるごとに僕のことを可愛いと言っている気がする。
僕としては、可愛いよりもカッコいいと言われたいけど、国宝級イケメンである碧さんにとっては僕はペットとかにしか見えていないんだろう。
なんと答えたらいいのか考えあぐねていると、どこからかスマホの着信音が聞こえてきた。
「俺だ。え、このあと打ち上げ? 日程間違えていたって? 歩さんはおっちょこちょいだなぁ」
誰かと軽く会話したあと、申し訳なさそうに僕に近づいてきた。
「ごめん、このあと用事が出来たみたい。あー、行きたくない。雪都くんともっと居たい」
駄々をこねはじめる碧さんを宥める。
「絶対に行った方がいいですよ! ほら、芸能界って人脈が大事っていうじゃないですか! 僕とはいつでも会えますし!」
お節介だったかな、と思いつつ、力説する。
「雪都くんにそう言われたら行かないわけにはいかないね。絶対夜までには帰ってくるからね」
「いってらっしゃい、雪都さん!」
玄関まで碧さんを送り、リビングに戻るのだった。
501
あなたにおすすめの小説
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
俺の“推し”が隣の席に引っ越してきた
雪兎
BL
僕の推しは、画面の向こうにいるはずだった。
地味で控えめなBLアイドルグループのメンバー・ユウト。彼の微笑みと、時折見せる照れた横顔に救われてきた僕の、たった一つの“秘密”だった。
それなのに、新学期。クラスに転校してきた男子を見て、僕は思わず息をのむ。
だって、推しが…僕の隣に座ったんだ。
「やっと気づいてくれた。長かった〜」
――まさか、推しの方が“僕”を見ていたなんて。
推し×オタクの、すれ違いと奇跡が交差する、ひとくち青春BLショート。
泣き虫で小柄だった幼馴染が、メンタルつよめの大型犬になっていた話。
雪 いつき
BL
凰太朗と理央は、家が隣同士の幼馴染だった。
二つ年下で小柄で泣き虫だった理央を、凰太朗は、本当の弟のように可愛がっていた。だが凰太朗が中学に上がった頃、理央は親の都合で引っ越してしまう。
それから五年が経った頃、理央から同じ高校に入学するという連絡を受ける。変わらず可愛い姿を想像していたものの、再会した理央は、モデルのように背の高いイケメンに成長していた。
「凰ちゃんのこと大好きな俺も、他の奴らはどうでもいい俺も、どっちも本当の俺だから」
人前でそんな発言をして爽やかに笑う。
発言はともかく、今も変わらず懐いてくれて嬉しい。そのはずなのに、昔とは違う成長した理央に、だんだんとドキドキし始めて……。
モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる