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第5章・ゴブリン・デスマーチ
戦いの後
しおりを挟む「一体誰なんだ、あの男は」
深い息をつき、ジュニアスは呼吸を整えた。
今現在、何がどうなっているのか、情報を集め整理しなくてはならない。
「ジュニアス様! どこに居られますか!」
気絶していたはずのノートンの声が聞こえた。
気を失っていたから、ゴブリンキングの攻撃を受けずに済んだのだろう。
運のいい奴だと思う。
「ノートン、こちらだ!」
返事をすると、砂埃の中、ジュニアスの声を頼りにノートンが近寄ってくる気配がした。
「ご無事ですか、ジュニアス様!」
「あぁ、無事だ!」
砂埃が少しずつ治まり、周りの景色が見えてきた。
ジュニアスを見つけたノートンは、目を見開くと、
「ジュニアス様! あぁ、ジュニアス様!」
と大げさに叫び、切っていた通信魔法を復活させる。
ジュニアスはノートンの行動に驚き、止めることができなかった。
「皆の者! ジュニアス様がゴブリンキングを討ち取られたぞ! 我らの勝利だ! ジュニアス様を称えるのだ!」
「え? お、おい、ノートン!」
どういうことだと驚くジュニアスは、自分のそばに折れたミスリルソードとゴブリンキングの首が転がっていることに気が付いた。
ノートンはこれを見て、ジュニアスがゴブリンキングを倒したと思ったらしい。
「ジュニアス様の勝利だ! 今世のルリアルーク王が、ゴブリンキングを倒したのだ! ジュニアス様が、ゴブリン・デスマーチを止めたのだ!」
「ノートン……」
実は違うのだと言いかけたジュニアスは、その言葉を飲み込んだ。
先程までこの場に居た仮面の男の姿は、今はない。
今この場にあるのはジュニアスの折れてしまったミスリルソードと、ゴブリンキングの首だけだ。
この首を斬り落としたのが自分だとジュニアスが宣言しても、問題ないだけの証拠が揃っていた。
仮面の男を見ていた者も居るかもしれないが、そんなものどうとでもなるだろう。
今世のルリアルーク王は俺なのだ……いや、俺であるべきなのだ!
そう思ったジュニアスはゴブリンキングの首を掴むと、天に向かって掲げ、
「そうだ! 我々の勝利だ! このジュニアス・オブルリヒトが、ゴブリン・デスマーチを止めたのだ! ゴブリンキングを倒したのだ!」
と雄叫びを上げた。
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