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第1章・異世界転移と異世界転生
聖女と、謎のハリネズミ①
しおりを挟む「一応ね、いろいろと試してみたんだよ。伯父上のフェルトン家は代々学者の家系だし、いろんな本で調べたし、いろんな医者や薬師、魔法使いや賢者にも治せないものかと聞いてみた。だけど、無理だったんだ。だから、私と伯父上は、おそらく近いうちに亡くなってしまうだろう。今日、あの聖女に治療が無理だとわかった時点で、父上にはお別れしてきたよ」
「そんな悲しい事を言わないでください」
「でも、これが現実なんだ。なので、君には最後みっともないところを見せてしまう事になるかもしれない」
「そんな……」
命の恩人が、会ってすぐに亡くなるかもしれないなんて、悲しすぎる。
異世界生活、なんてハードモードなんだろう。
「でも、まだあの聖女の人に、ちゃんと診てもらっていないんでしょう? まだ望みがあるんじゃないですか? ちゃんと診てもらったら、治るかもしれないじゃないですか」
だけど、ユリアナ王女もアルバトスさんも、首を横に振った。
「おそらく彼女は、治癒や回復系の呪文は使えないのではないかな。それに彼女は確かに若くて美しい人だけど、聖女というタイプではないと思う。どちらかと言えば、毒婦ぽいかな」
「毒婦って!」
すごい言われようだなぁ、あの女の子。
私と違って、あんなにも周りから望まれていたというのに、全ての人が彼女を望んでいたわけじゃないのかもしれない。
「彼女よりも、君の方が聖女っぽいかもしれないよね」
「は? 何、言ってるんですか?」
「だって、その子の傷を治しただろう?」
その子、というのは、サーチートの事だ。
確かに、とアルバトスさんもユリアナ王女の言葉に頷く。
「ところでさ、この子は、一体何なの?」
「え?」
「この子、魔物なの? でも、何か変わっているよね。触り心地が布っぽい時もあるし、でも温かいし動いてる。この子、一体何なの?」
何なのと問われても、何なのでしょうねとしか答えられない。
この子は私のスマホケースなんです、と言っても、多分ユリアナ王女やアルバトスさんにはわからないだろうし。
「ぼくの事、気になるの?」
サーチートはテーブルの上で、私の前にぽてっと座っていたんだけど、突然話題が自分に向いたので、目を輝かせて立ち上がった。そして、
「ぼくの名前は、サーチート。オリエちゃんのスマホだよっ!」
と、節をつけ、小さな手足をバタバタさせながら歌い踊る。
どうやらこれがこの子の自己紹介の仕方らしいが、とても可愛いんだけど、この自己紹介では相手には何もわからないだろうなぁと思う。
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