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第1章・異世界転移と異世界転生
横暴②
しおりを挟む「ナディア、盾の聖女を連れ出したのは、君か。彼女は大切な方だ。勝手に連れ出されては、困るな」
「も、申し訳、ありません、ジュニアス様……」
ため息をつきながら言ったジュニアスに、ナディア様は慌てて謝った。
ジュニアスは謝るナディア様を楽しそうに見つめると、次に私へと目を向ける。
「目が覚めたか……見違えたな。今の君は……とても、いい……」
ジュニアスの言葉にイラっとしたので睨みつけたが、ジュニアスの方は全く気にしていないようだった。
それだけでなく、この男は、とんでもない事を口にする。
「今のお前なら、三人目の妻として、俺が娶る価値があるというものだ」
「は? 何言ってんの?」
本当に、この男は何を言い出すのか。
私は慌ててナディア様へと顔を向ける。
「ナディア様! 違いますからね! 絶対あり得ませんし、私は絶対に嫌ですからっ!」
「で、でも……」
ナディア様は、その綺麗な青の瞳を潤ませていて、今にも涙が零れそうになっていた。
この方を泣かせるわけにはいかない。
そう思った私は、再度ジュニアスを睨みつけ、言った。
「あ、あなたね、こんなに素敵な奥様が居るのに、三人目の妻とか、本当に何言ってるの! そんな事を言って、男性として恥ずかしくないの?」
「いや、全く」
「はぁ? 信じられない!」
何なの、この浮気男! 最低!
そう思ったが、この世界では一夫多妻は、おかしな事ではないらしい。
裕福な者や権力者の男性は、多くの妻を娶るのは普通の事らしく、ジュニアスは王族だから何もおかしな事はないというのだ。
「お前のような生意気な女を、俺好みの淫らな女にするのも、楽しそうだな」
ジュニアスがそう言った瞬間、ナディア様が息を呑む音が聞こえた。
弁解しなきゃと口を開きかけた私より早く、ジュニアスが言葉を発する。
「ナディア、お前、妬いているのか?」
「え?」
「妬いているのなら……俺をジュンのように、楽しませてみろ!」
「え? きゃあっ!」
ナディア様の腕を引き、無理矢理抱え込んで、部屋の奥にあるもう一つの部屋へと向かおうとするジュニアス。
あの奥の部屋って、もしかしなくても、寝室かー!
「お止めください、ジュニアス様!」
アニーさんがジュニアスを止めようとしたけれど、振り払われて転んでしまった。
「アニー!」
ジュニアスの腕の中から、ナディア様が叫ぶ。
アニーさんは尚もジュニアスを止めようと、手を伸ばしたけれど、
「アニー、ナディアは俺の妻だ! 夫婦の邪魔をするな! お前、いい加減にしないと、その首を落とすぞ! ナディアの侍女は、お前でなければならない理由など、どこにもないのだからな!」
とうジュニアスの言葉に、伸ばした手を引き、ナディア様の方も、もうジュニアスに抵抗はしなかった。
「それでいい」
大人しくなったナディア様とアニーさんを、満足そうに見下ろしたジュニアスは、ナディア様を連れて寝室へと消えて行った。
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