異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第1章・異世界転移と異世界転生

もう一人の聖女?①

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 ナディア様の部屋を出ると、私が目覚めた部屋の前に居た二人の兵士が、駆け寄ってきた。
 また私を殺そうとしているのかもしれないと身構えるが、兵士たちはただ私の側に居るだけで、攻撃してくるような事はなかった。

「何か、用?」

「俺たちは、お前の見張りだ」

「そんなの、いらない」

「そうはいかない。俺たちは、ジュニアス様から、お前を見張るように命令を受けている。あと、部屋から出すなと言われた」

 どうやらジュニアスは、私をあの部屋に閉じ込めたいらしい。
 散歩くらいさせてもらえないだろうか。
 ここから逃げ出すために、王宮を見て回りたいんだけどなぁ。

「あの、お前は本当に……あの時の女なのか?」

 そう言った兵士の一人を、私は睨みつけた。

「あの時っていうのは、あんたたちが私からお金を取り上げて、殺そうとした時の事でいい?」

 私がそう言うと、兵士たちは俯いてしまった。そして、

「すまなかった」

 と言う。
 こんな言葉を聞く事があるなんて、と、私は激しく驚いた。

「今思えば、あの時お前を殺していたら、俺たちはジュニアス王子に、首をはねられていただろう。それを考えると、ユリアナ様には感謝しかない」

「は? 何言ってんの? あんたたち、私を殺す気満々だったじゃない」

 豚女と罵られ、背中を斬られた事を、私は忘れていないんだぞ!
 今さら、何を言うんだ!

「確かに、そうなんだが……俺たちはあの時、お前が聖女の可能性があったなんて、微塵も思っていなかった……」

「私は、醜く太った、豚女だったものね」

 こいつら、私に何回そう言った事か。
 自分が太っていたのはわかっているけど、何回も言われてすごく傷ついたんだぞ。

「す、すまなかった……。お前は……いや、あなたは、こんなに綺麗だったのにな」

「あぁ、こんなに綺麗だったのに、ひどい事を言ってしまい、本当にすまない」

「は?」

 私は耳を疑った。今こいつ、なんて言った?

「綺麗? 何言っているの? あれだけ豚女とか言っていたくせに……」

 私がそう言うと、兵士二人は首を横に振り、頭を下げる。

「でも、今のお前は本当に綺麗で、聖女だったんだなって思うぞ」

「ジュン様の美しさとは、違うけどな」

 姿形が変わった途端に、ころりと態度を変えた兵士たちには呆れしかなかったけれど、ジュンという名前が気になった。

「ジュンって、もう一人の人の事だよね」

「あぁ、そうだ」

 兵士の一人が少し頬を染めて頷いた。

「ジュン様はとてもお美しい、矛の聖女様だ。あの色気がたまらない。あの方に見つめられるだけで、心を奪われてしまうのではないかと、みんな言っている」

 心を奪われるって、大げさだ、と思ったけれど、多くの兵士たちはジュンという女に夢中なようだった。
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