230 / 370
第3章・冒険者デビュー
依頼達成報告②
しおりを挟む「こーんにーちは!」
冒険者ギルド内に入るなり、ユリウスの肩に乗ったサーチートが元気に挨拶をしたものだから、中に居た人たちがみんな振り返った。
注目されるのも、だいぶ慣れてきたなぁ。
ユリウスは居るだけで目立つし、サーチートは小さな体なのに結構声が大きいから、みんな振り返っちゃうしね。
「おう、どうした! お前ら、依頼を受けてたらしいじゃねぇか。どうなった?」
声をかけてきたのは、商都ビジードの冒険者ギルドのギルドマスターである、ゴムレスさんだった。
「任務を達成したから、報告に来たんだよ!」
ゴムレスさんに元気に答えたのは、サーチートだ。
私とユリウスは、苦笑しながら頷いた。
「おお、そうか。どれ、俺が見てやろう」
ゴムレスさん、ギルドマスターなのに、暇なのかな。
いや、多分忙しいとは思うんだけど……まぁいいか。
「じゃあ、これが依頼書だ。それからこれが、ゴブリンの耳」
「は?」
依頼書を出した後、どか、どか、とユリウスは三つの麻袋をカウンターに置き、それを見たゴムレスさんは、ぽかんと口を開けた。
「なんだ、これは」
「ゴブリンの耳だが?」
「これ、全部か?」
「あぁ。途中から数えるのやめたから、いくつあるのかはわからない」
「あと、これもあります」
私が預かっていた、ゴブリンの魔石が入った麻袋をカウンターに置くと、ゴムレスさんは驚いたように言った。
「お前ら、これだけの数のゴブリンの後始末も、ちゃんとしてきたっていうのか」
「えぇ。放っておいたら大変な事になるって聞いたし、それに、ポイントも報酬もアップなんですよね?」
「あぁ、確かにそうだが……かなり狩って来たな。一体どこで……」
「ここで教えてもらった、ネーデの森だが?」
「そ、そうか……」
ゴムレスさんは頷くと、どのくらいの時間でこれだけのゴブリンを倒したのだと聞いてきた。
多分、森の中に入って、一時間とちょっとくらいじゃなかったかな。
私たちの話を聞いたゴムレスさんは、眉間にしわを寄せて黙り込む。
「何か、あるのか?」
「いや、ちと数が多いのが気になってな……。調査させよう」
ゴムレスさんは受付の女の子にジルさんを呼ぶように言うと、執務室へと消えていった。
「あら、ユリウスさん、オリエさん、こんにちは。もう依頼を達成されたんですか?」
受付の女の子に呼ばれたジルさんは、ゴブリンの耳と魔石が詰まった麻袋を見ると、ものすごく驚いていた。
「こんなにたくさん……す、すごいですね」
少し口元を引きつらせながらジルさんが言った。
彼女のその表情を見て、私はものすごく申し訳ない気分になった。
だって、ねぇ……ゴブリンの切り取った左耳を持っているだけでも嫌だったのに、ジルさんは私たちへ報酬を支払うために、中身を確認しなければならないからだ。
「あ、あの、こんなにたくさん、ごめんなさいっ」
「い、いえ、大丈夫です。これが仕事ですし、慣れてますから。それに、ちゃんと後始末までしてくださって、ありがとうございます。この依頼を受けられた方は、後始末をされない方が多いので、本当にありがたいです」
数が多いからだろう、ジルさんは別室で確認してくると言って、ゴブリンの耳と魔石が入った麻袋を抱えて立ち去った。
44
あなたにおすすめの小説
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる