異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第4章:ゴブリン・スタンピード

ユリウスの血縁者①

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 私が足を止めてしまったことにより、ユリウスも足を止めた。
 私を置いて出ていくという選択肢もあったはずなのに、そうしなかった彼は優しいと思う。
 はぁ、と深いため息をついたユリウスに、私はごめんと謝った。
 ユリウスは多分、この女性に会いたくなかったんだ。

「サラたちから話を聞いていたけれど、すっごいイイ男なんだろ? ユリウスって言ったかい? どれ、私に顔を見せてくれないかい?」

 この女性、話し方がとても気さくな感じだけど、私の考えに間違いがなければ、高位貴族であるはず。
 私はこの女性が気になって振り返ってしまったけれど、ユリウスはまだ女性に背中を向けたまま。

「おい、ユリウス! どうした!」

 ユリウスが冒険者ギルドに来たことを聞いたのだろう、奥の部屋から出てきたゴムレスさんが、声をかけてきた。

「お前に会いに、ガエールから客人が来られているんだ。それに、先日頼んだ件の報告もあるだろう!」

 確かにそうなんだよね。私たちは今日、ゴムレスさんに、ネーデの森以外の森にゴブリンが居たかどうかの報告をするためにここに来たんだから。
 ゴムレスさんが出てきたことで、ユリウスはとうとう観念したようだった。
 また深い息をついて、仕方ないか、と呟く。

「エリザベス様、この男がユリウスです。ユリウス、この方はガエールの商人ギルドのギルドマスターのレイリー・ディアス氏の奥方で、エリザベス・ディアス様だ。エリザベス様は、現オブルリヒト王の姉君でもある」

 ゴムレスさんの説明を聞きながら、私は抱っこしているサーチートの口元を押さえ、自分自身も叫び出しそうになるのを必死に堪えていた。
 顔が似ていると思ったけれど、やっぱりこの女性は、ユリウスの血縁者……伯母さんだ。

「初めまして、エリザベス様。ユリウスです」

 笑顔でエリザベス様に名乗ったユリウスを見て、エリザベス様は目を見開いた。

「お前、一体、何者だい?」

 ユリウスを見つめたままそう言ったエリザベス様の声は、震えていた。

「おや? どうかされましたか? あぁ、俺、珍しい色をしているので、そのせいでしょうかね?」

 ユリウスは淡々とした口調で言った。どうやらこのまますっとぼけるつもりらしい。

「違う! その、お前のその顔がっ……」

「もしかして、俺に似ている人をご存知なのですか? へぇ、世の中には似た顔の人間が何人か居るって言いますもんね」

「そんなレベルじゃないよ……」

 ふう、とエリザベス様は自分を落ち着けるように深いため息をついた。


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