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第4章:ゴブリン・スタンピード
ジュニアスの目的
しおりを挟む淡々と話すアルバトスさんに、ぞっとした。
この人は、数少ない情報だけで、どれだけのことを見通しているんだろう。
この場に居る全員が、黙ってアルバトスさんの話に耳を傾けていた。
『さて、ジュニアス様がエミリオ様に黒魔結晶をばら撒く場所を指定した理由について説明しましょう。結論から言うと、ジュニアス様は、ガエールとビジード……それからベルゼフ王国に被害を与えたかったのでしょう』
「おい、どういうことだ!」
『どういうことも何も、黒魔結晶の被害があった場所を考えれば簡単に推理できます。理由は……エリザベス様にはおわかりになるのではないですか?』
エリザベス様に視線が集まった。エリザベス様は少し考えて、もしかして、と呟く。
「それはもしかして、口うるさい私が気に入らないとか、そういう理由ってことかい? それから……ジュニアスは確か、ベルゼフ王国の王子と仲が悪かった……だから、ということなのかい?」
『私の考えに間違いがなければ、おそらく。あと、ビジードは、ローレンスの手腕で繁盛している商業ギルドが、気に入らないというあたりではないでしょうか』
アルバトスさんが肯定すると、みんな口々に信じられないと繰り返した。
本当に信じられない……そんな理由で、一国の王子が、国や他国に被害を与えるために大災害を起こそうとする?
『大災害を起こし、それを助け、自分の力を見せつけて優位に立つ……おそらくそれがジュニアス様の本当の目的でしょう。そして、そのための準備も、着々と進めてらっしゃいますし』
「準備?」
『ほら、今、王都オブリールには、大勢の冒険者が集まっているでしょう? それに、この国の王子として、軍を動かすこともできますし、母君のご実家の財力もあります。大災害の後始末ができるくらいのご準備はされています。そして、彼はこの世界の救世主として、今世のルリアルークとして、世界に名を轟かせるつもりなのでしょう』
なんて奴だ、なんて奴だ、なんて奴だ! ジュニアスって、本当に屑だ。
あんな男が次の王様だなんて、あり得ない!
ユリウスに目を向けると、彼は小さく、「愚兄が……」と呟いていた。
かなり頭にきているようだった。
「おいアルバトス! どうすればいい! 力を貸してくれ!」
「そうです、アルバトス! あなたから何か対策を講じることができるでしょう?」
「そうだ、その良い頭で何か考えろよ!」
ゴムレスさん、ローレンスさん、クラウドさんが言った。
アルバトスさんは苦笑すると、
『そうですね、私はそちらに行くことは出来ませんが、考えてお伝えすることは出来ると思います』
「え? お前、こっちに来られないのか? 久しぶりに会えると思ったのに……」
ものすごく残念そうに言ったクラウドさんに、アルバトスさんはものすごく頭を下げて謝った。
『申し訳ないですが、私は今居る場所から動くことができないのです。だからそのあたりも含めて、そろそろ私とユリウスの話をしましょうか』
「あぁ、そうだな。またアントニオが暴れないうちに、そうしてくれ」
ゴムレスさんがそう言うと、みんなの視線がアントニオさんに集まった。
照れ隠しなのか、早く説明しろとアントニオさんがまた机を叩いたけれど、サーチートは私が抱っこしているから大丈夫だ。
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