異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央

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第4章:ゴブリン・スタンピード

やっぱり心配

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「問題は、このゴブリンたちがどう動くかっていうことなんだ」

 ユリウスの言葉に、私は首を傾げた。どういうこと?

「伯父上が言ったように、ゴブリンたちの目的がジュニアスなら、三千体以上のゴブリンたちは、オブリールへ向かうだろう。だが、そうでない場合、奴らがどう動くか予想できない。一番考えられるのは、四方八方へとバラバラに飛び出して、各街や村を襲うってことだ」

 三千体以上のゴブリンがバラバラに飛び出して好き勝手に街や村を襲う様子を想像し、ゾッとする。

「今回の件は、自然災害じゃない。ジュニアスたちオブルリヒト側が故意に起こしたものだ。だから、ベルゼフ王国に流れるゴブリンを最小限にしたい」

 ジュニアスのことは嫌いだけど、ユリウスはオブルリヒト王家に生まれた者として、他国に被害を与えないようと考えているんだろう。
 オブルリヒト王家に戻るつもりはないといいながらも、ユリウスは国民のことを大切に想っている。
 だから、ジュニアスのしでかしたことの責任を感じているのかもしれない。

「ねぇ、ユリウス。私もユリウスについていくよ。一緒に戦う。手伝わせて!」

 ユリウスが背負うものを、少しでも分け合いたい。
 そう思って言ったんだけど、ユリウスは首を横に振った。

「いや、オリエには安全なところに居てほしいんだ。その代わり、サーチートに協力してもらえるように、一緒に頼んでほしい」

「サーチートに?」

 それって、サーチートのゴブリンホイホイの力を使うってことだよね?
 でも、今回は三千体を越えるゴブリンだよ? 危な過ぎるよ!

「サーチートは俺が絶対に守るし、ある程度ゴブリンを引き寄せてもらったら、オリエのもとに戻ってもらっていいから。そのためにもオリエには、安全な場所に居てほしいんだ」

「あのね、ユリウス。サーチートに頼むのはいいよ? でも、今回のスタンピードは、少なく見積もって三千体のゴブリンが相手ってことだよね? ユリウスが危険過ぎない?」

「俺なら大丈夫だ。いざとなったら、テレポートで逃げることができるからね。それに、一人の方が安心して全力を出せる。前にも話したことがあったかもしれないけど、俺はまだ、この体になってから全力で戦ったことがないんだ」

 確かに前にもそんなことを言っていたけど……でも、だけど、やっぱり心配なんだよう!
 なんでわかってくれないのかな!

「まぁまぁ、今のユリウスが全力を出せて、誘い出したゴブリンたちと戦いやすい場所と、それに伴う対策を私が考えておきましょう。だから、さぁ、あなたたち二人も、もうお休みなさい。私も休みますから、ね。買い物は、午後からでも明日でも、まだ間に合うはずですよ」

 アルバトスさんに促され、私とユリウスは部屋へと向かった。

「オリエ? どうした?」

 部屋に入ってすぐ、ユリウスにしがみついた私にかけられる、少し戸惑ったような声。

「あのね、やっぱり心配なんだよ」

 と呟くと、ユリウスは私を安心させるように、優しく体を抱きしめ返してくれた。

「あのね、ビジードに行くとき、私もついていくからね! 目が覚めたときに隣に居てくれなかったら、私、しばらくの間、サーチートと他の部屋で寝るからね!」

 私がそう言うと、ユリウスは小さく吹き出した後わかったと頷き、

「じゃあ、朝ちゃんと隣に居れば、今日は何をしてもいいっていうことなのかな?」

 なんて言って――私を抱き上げてベッドに運ぶと、熱い腕の檻の中に閉じ込めた。

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