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第4章:ゴブリン・スタンピード
それじゃあ私が一緒に行こう
しおりを挟む「そっかぁ……じゃあ、仕方ないね」
もう少し粘るかと思ってたんだけど、ユリウスはあっさりと引き下がった。
「ユリウス、いいの?」
「あぁ。まぁ、断られるのは想定していたしね。サーチート、無理を言って悪かったな」
「ううん、ユリウスくん、ぼくの方こそ、本当にごめんね」
「いいよ、大丈夫だ。問題ないよ」
ユリウスはそう言うと、サーチートの頭を優しく撫でた。
そしてその手がサーチートの頭から離れたとき、私は彼の手を掴む。
「オリエ、どうかした?」
私に向けられる、少し不思議そうな金色の瞳。
私はユリウスのその金色の瞳をじっと見返し、考える。
ユリウスからサーチートの説得を頼まれていたけれど、私にはどうしても嫌だというサーチートに、強く言うことはできなかった。
サーチートは臆病な子だし、誰にだってどうしても嫌なことってあるしね。
ユリウスがサーチートに協力してほしいって言っていたのは、サーチートのゴブリンホイホイの能力で、ゴブリンを引き寄せようとしていたんだよね。
で、私は、怖がるサーチートを召喚するために、安全な場所に居てほしいってユリウスに言われてたんだけど……サーチートが行かないってことは、私は安全な場所に居る必要がないってことになるよね。
「ねぇ、ユリウス……」
「何?」
「あのね、サーチートの代わりに、私が一緒に行くよ。そして、ユリウスと一緒に、ゴブリンを倒す!」
私がそう言うと、ユリウスは駄目だと大声で叫んだ。
そして、ユリウスと同じように駄目だと叫んだのは、サーチートもだった。
「駄目だ! オリエは安全な場所に居てくれ! 頼むから! 今回は本当に危険なんだ!」
「そうだよ、危ないよ、オリエちゃん! もう! 危ないことをしないでよ!」
「危ないのはわかってるよ! でも、危ないのはユリウスだって同じでしょ! それに、いざとなったらユリウスと一緒にテレポートの呪文で逃げればいいんだし、私が一緒に行ったら魔法で戦えるし、回復とか補助魔法とかのサポートだってできるじゃない! サーチートを呼び戻す必要がないなら、私、絶対にユリウスに付いて行くから!」
ユリウスとサーチートは渋い顔をしたまま、アルバトスさんだけが、そうですねぇと頷いていた。
「オリエさんの言う通りですね。オリエさんのサポートがあれば、ユリウスも戦いやすいと思いますよ」
どうやらアルバトスさんは、私の味方をしてくれるつもりのようだ。
「それに、オリエさんが行くなら、戦い方もまた変わってきますね。幅が広がります」
とか言って、私がユリウスに付いていくことに賛成してくれていたんだけど……それを聞いたサーチートが、叫ぶように言った。
「駄目だよ! だってオリエちゃんには、ぼくを安全な場所に呼び戻してもらわないといけないんだから! だから、オリエちゃんは安全なところに居て!」
「え? でもサーチート、怖いから行かないんじゃないの? おうちでアルバトスさんと一緒に待っててくれていいんだよ?」
「そうだよ、怖いよ! 考えただけでも、体が震えちゃうくらい怖いよ! でも、そんな怖いところにオリエちゃんを行かせることなんて、できないよ! だから、ぼくがユリウスくんと一緒に行く! そしてオリエちゃんは安全なところに居て、ぼくを呼び戻して!」
え? サーチート、行くことにしたの?
嫌なら無理しなくていいのに、本当に行くつもりなの?
私はどちらかというと、ユリウスと一緒に行けるならその方がいいって思い始めていたんだけどなぁ。
心の中で、残念、とか思っちゃったけど、サーチートは涙目になりながら、自分が行くのだと何度も繰り返していた。
「オリエ、サーチートを説得してくれてありがとう」
「いや、これは別に……」
私としては、サーチートを説得したつもりじゃなかったんだけど、結果的にそうなってしまったので、ユリウスがお礼を言ってくれた。
まぁ、これで良かったんだよね。
私を危ない目に遭わせないために。サーチートは決断してくれた――怖くて仕方がないはずなのにね。
「サーチート、勇気を出してくれてありがとう」
お礼を言うと、サーチートは少し照れ臭そうに笑い、ちっちゃな手で胸を叩いた。
「当たり前じゃん! ぼくはオリエちゃんのスマホで、従魔で、騎士なんだからさ!」
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