異世界へ行って帰って来た

バルサック

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ゴーレム

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ギルドマスターの部屋で、俺は勉強中だ。

「魔は決して人間が扱えるものではない。魔人の血がなせる血魔術なのだ」

え!魔はダメなのか・・・それに魔人ってなんだ。

「魔人は何処に居ますか?」

「魔王が統治する魔大陸の住民が魔人だ。ほれ地図だ」

見せられた地図は、ぐるっと回って反対側の大陸だ。1ヶ月四輪バギーで走っても行けそうに無いし、そんな暇人でもないぞ。
飛行する魔法は、風魔法だけだ。しかし、俺の風魔法の熟練度では無理だ。
ギルドマスターは言ってた。風魔法の究極の魔法だと、ここは諦めるしかないな。

「土魔法を使う魔物って居ますか?」

「土魔法の魔物か・・・いない訳ではないが、ゴーレムを知ってるか?」

「人工的に作られた。ロボットだって知ってますよ」

「ロボットとは何じゃ。全然違うな、それに何処の話だ。レムって1メートルの魔物が中で土魔法を使って、動かしているのがゴーレムだ」

え!そうなんだ。知らなかった。なら倒し方も知ってるかも・・・

「どうやって倒すの・・・」

「簡単な方法だと落とし穴だ」

「成る程ね、そんな手があったかそれで場所は・・・」

「ちょっと遠いぞ。2日も馬車に揺られた先の、ミダマ山のふもとに棲みついてぞ」

「ミダマ山か・・・分かった。ありがとう」

聞く事は聞いたから地図を買って出て行った。



もうなんて地図だ。もっと詳しく書けよ。
勝手に作られた道を進んで迷子になったぜ。おかしなとも思ったんだよ。
なんとか引き返したが、1日損した。

だから会う人に確認しながら、四輪バギーで走り続けた。
最初は俺を見るなり逃げ出す者もいて困ったもんだ。



「ここがゴーレムが棲む場所か」

「間違いありません。旦那・・・謝礼を」

「お、忘れてた。金貨1枚でいいよな」

ピンッと指で金貨を弾いた。
クルクル回る金貨を、おっさんは両手でキャッチした。
え!両手で・・・
俺は、片手でキャッチすると思ったのに・・・残念だ。

「旦那、ありがとございます。これで借金が返せます」

何度も何度も頭を下げて、帰った。
貧しい村だから仕方がない。

領主が悪い人間らしい。聞いた話もクズ話ばっかりだ。
ああ、嫌な話を思い出した。



この場所がいいな。
ツルハシで何度も固まった土を掘った。
そしてシャベルでガバッと土を掘り出した。
何度も繰り返して、3メートルまで掘ったぜ。

ここで穴から出れないと泣く俺ではない。
脚立きゃたつを出して、あっけなく穴からでた。

土っぽい色の毛布を掛けて。
四ヶ所に石を置いて、その辺の土を掛けたら落とし穴の完成だ。

中央に魔石を3個ほど放り投げた。
この魔石を食べるのがゴーレムで、しばらくは隠れて見るしかないらしい。

双眼鏡であっちこっちを見た。
なんの動きもない。殺風景な景色だ。
まだ来ないのか・・・サンドイッチでも食べるか・・・お!あんがい美味しい。


もう日が暮れかかるぞ。まだかな・・・まだなんだ・・・暇だ。
あ!遠くから音がした。
おおお、近づいてるぞ。やっとお出ましだ。

あ!でかい。4メートルもあるぞ。
3メートルの穴だ。動きを封じればいいから大丈夫なはずだ。

あともう少しだ。

「早く歩けよ、ぼけなす」

落ちた!すぐに駆け出した。
ツルハシを出して、力一杯にフルスイングして頭を叩いた。
お!ひびが入った。続けざまに更に叩いた。もう一発叩いた。
頭が転げ落ちた。

あ!ゴーレムが抜けなかった腕を、なんとか出した。

「俺を掴もうとは百年早いわ」

後方に回って叩いた。
バカ野郎が、穴が邪魔して振り向けないぞ。
これはチャンスだ!!

今度は右肩を狙って叩いた。まだやるか、これでもか、とどめだ!!。
右腕がもげ落ちた。
え!まだ左の腕で戦う積もりか・・・そうか、やってやる。

もうジャンプして、振り被ったツルハシを振り下ろした。

「ガゴッン!」と凄い音がした。

ボロボロと崩れた。更に叩き続けた。
とうとう右胴体が崩れた。
な、なんだこのひょろっとした奴は、こいつがレムか・・・ちらっと俺を見やがった。

おっと逃がさないぞ。
ツルハシを捨てて、暗黒吸刀を出して握った。
そして飛ぶつきながら斬った。
「ギャーァ」とかん高い声で響いた。

レムが死んだ。するとゴーレムの残骸ざんがいが崩れ出した。

【土魔法習得】と表示された。

「やったんだ。とうとうやったぞーー」

もう力を使いはたし。崩れるように尻を地面に付いた。




帰り道にポプラの貧しい村に寄った。
その道にそって深い溝を土魔法で掘った。
めちゃくちゃ簡単に掘れた。
手を地面に付いてイメージするだけで、勝手に地面が陥没かんぼつしていった。

この辺が村に近いからここにしよう。
大きなため池をイメージした。大地が音を響かせて陥没している。
よく知らんから、こんなもんかぐらいのため池だ。

数人の村人がやって来た。

「この辺から音がしたのだが・・・あ、旦那、ゴーレム退治は終わりましたか?」

あ、あのおっさんだ。

「終わったよ。今日はここで泊めてくれ」

「穴があるぞ」

「旦那、この穴は・・・なんですか?」

「お前も言ってたよな。あの川から水を引けたらって、だから俺が水路を掘ったよ」

「だけど水がありませんよ」

「だから、川の手前から掘ったから、後はお前たちで掘れ。水を流しながら掘るのは普通はやらないからな」

「そんな意味で言ってませんよ・・・もしかして、あの溝だ水路ですか・・・本当に水路だ」

「いい物を見せてやるよ」

水色の魔石を出して魔力を注ぎ込んだ。

「旦那、それって水ですよ。水があふれ出てます」

おっさんが村へ走った。



大勢の村人を呼んで来た。

もうその時には、ため池には水がたまって、俺の服はビシャビシャだ。
数人の村人もビショ濡れだ。
それは嬉しそうに、はしゃいだ結果だ。

「あ、水だ」

「あんた。水があんなにあるよ」

「これで水汲みで1日が終わる事も無くなるんだね」

「これを誰が・・・」

「あの旦那だよ。ゴーレム退治に行った旦那だよ」

「あなたが・・・私は村長にボフです。どうもありがとうございました。このご恩は忘れません」

村長の家に泊めてもらった。雨や風をしのげば、十分だ。
あのおっさんの所はボロ家だ。
穴だらけで「ヒュー」て・・・木工ボンドで無くなるまでふさいだ。
穴埋めようのパテがあれば良かったが、そんなもん持ってねーわ。

もう夜になると、寒くて寒くて・・・だから村長の家へ行った。


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