異世界へ行って帰って来た

バルサック

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ゾンビ

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軍用ヘリから降りた時は、午前2時を過ぎていた。
もう戦場のように銃声や爆発が、そこかしこで土煙と音を響きわたらしていた。

ゾンビは、銃弾に当たって倒れるが、ぎこちなくゆっくりと立上がり歩き出していた。
爆発で吹飛んだ右腕も、左手で拾って付けてるとゆっくりとくっついた。


案内された先に、まさにゾンビが徘徊中はいかいちゅうだ。
それもおぼつかない歩き方だ。

鑑定を開始した。

【キム・ジン 26歳】

グールによってゾンビにされた


グールってなんだ・・・更に深く鑑定し続けた。

ダンジョンから出たのは、グールだ。
人間を襲ってゾンビにして、手足のように操ってるのか・・・
そのグールの意識とリンクしたぞ。

はるか後方で命令を出していた。
な、なんだと・・・グールは200体以上も居るのか・・・そして方々へ散らばった。
ここに向かったのは1割だ。

ねずみ算式で考えても、ゾンビがとんでもない速度で増えてるはずだ。


このキム・ジンは、20人もの人間を殺してた。
そして、100人に達するとグールに進化すると鑑定には書いていた。
進化する魔物って見たり聞いた事もないぞ。

なんだと・・・グールは、人間より早く動くのか。

それに対してあのゾンビは、動きが遅ぎだ。ならゾンビになって間がないのか・・・

こっちのゾンビは、まるで動きが違うぞ。
そうか・・・人を殺して経験値を取得してるのか・・・殺した数だけ動きも良くなるらしいぞ。

あ!弱点がようやく見えた。
光に弱いって本当なのか・・・

「このゾンビは、光が弱点だ。ライトを手当たりしだい持って来い。そしてライトをもっと照らすんだ!」

1人のゾンビに集中的にライトを照らしだした。
あ!ゾンビは嫌う素振りを見せて逃げ出したぞ。
あ、倒れた。

湯気のようなものが体からでたぞ。
そして動かない。

「奴は死んだぞ」

え!ゾンビは人間が死んだ魔物だ。死んだって変かな・・・


「これで太陽が出れば解決ですね」

1人の軍人が、ポツリと話した。

え!そんな生やさしいものじゃー無いぞ。

ゾンビ自体にやはり知能はないが、グールには知能があった。
そのグールが命令をだしたぞ。
太陽から逃げろと命令が・・・あ!建物の中に逃げ込みだした。

「日の出は何時だ」

「1時間後です」

「ならばゾンビたちは逃げ出す時間だ。もう少しの辛抱だ」

「聞いたか・・・日の出まで頑張れ」

ここで俺は気付いた。
ここの軍隊は、K国人だよな・・・【言語通訳】ってK国語も通訳するのか・・・


「ゾンビが逃げたぞ・・・助かったのか・・・」

「救護班、こっちへ来てくれ。ゾンビに噛まれた奴がいるぞ」

え!その言葉を聞いて、ドキッとした。
ゾンビに噛まれたって・・・それはきっとゾンビになるぞ。
急いで救護班の後を追った。

腕を噛まれてた。

ダメだ・・・もう手遅れだ。

応急手当をして運びだそうとしてる。

「ダメだ。その人はゾンビになる運命だ」

「なにを言ってる。映画のゾンビと同じだと言うのか」

「ああ、普通のゾンビに・・・」

「なんだよ、普通って・・・」

まさに鑑定で、ゾンビになった瞬間を見た。

「皆!ゾンビになったぞ」

担架たんかに乗せられた男が、ガバッと起き上がった。
そして逃げだそうとした時に、急に明るくなった。
朝日だ。その朝日に男は照らされた。

もだえ苦しみながら肌が土色へと変化して、ボロッと崩れ落ちた。
動かなくなった死体は、土くれのようになって崩れだした。

「ドユン、嘘だ!!」

友人なのか、崩れた土を握りしめて泣き崩れている。



臨時作戦本部では、ドローンでの映像を見ていた。

「逃げ遅れたゾンビですね」

衣服を着た人型の土もりが見られた。

「あの建物が怪しいな」

「分かりました。小型ドローンなら大丈夫です」

入った瞬間にゾンビの映像を映して、急に途切れた。

「ゾンビによって壊されました」

「やっぱり隠れてたのか・・・死んでないから、今から強襲を仕掛けるか」

「そんな余裕は無いでしょう。夜になれば今回の数十倍のゾンビがやってくるでしょう」

「それは本当の事かね。君を信じてない訳ではないが・・・」

「考えて下さい。人間がゾンビに襲われてゾンビになって、ねずみ算式に増える光景を・・・太陽が沈んだ時に、あの国から無数のゾンビが来ても対処できますか・・・ここで防衛ラインを作るのが先決です。もう時間がありませんよ」

全員の顔色が変わった。

「国の総人口は、どれぐらいですか・・・」

「確か・・・2500万人以上は居るでしょう」

「中国はどうなってますか」

「ゾンビの情報は入ってないな」

「ここの現状を報告して、防衛ラインを作るよう言った方が良いですよ。あんなに広い大陸にゾンビなんか想像したくありませんよ」

「どのように防衛ラインを作ればいいのだ、有刺鉄線ゆうしてっせんも利きそうにないぞ」

「取りあえず、この街に防衛ラインを作りましょう。ここからそう遠くない所がダンジョンの発生源と考えていいでしょう。ここを基準に広げるしかありません。万里の長城のようにするしか助かる道はないでしょう」

「そんな資金など捻出ねんしゅつできるのか・・・」

「出来ないのなら、世界に支援要請をするしかないでしょ」

なにやら連絡をしだした。
なんて対応の遅さだ。


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