異世界へ行って帰って来た

バルサック

文字の大きさ
81 / 133

鍛冶場撮影

しおりを挟む



神須鍛冶工房は、いつもより騒がしいく大勢の撮影スタッフでひしめいている。

何故こんな事になったのだ・・・そうだ・・・サヤが新たに付与魔法士になったからだ。
これは佐々木のゴリ押しの提案で、ルーンナイフを広める宣伝だと言っている。
その内容は【ルーンナイフが出来るまで】の製作作業を撮影して放映する計画。

政府もルーン武器輸出で世界規模で有利な立場に踊り出る積もりらしい。
要求される立場から要求する立場になるのだ。


俺は恥ずかしいから嫌だと断った。
するとハルが「師匠、サヤが付与魔法を習得しました」と連れて来たのだ。
撮影責任者は「これはいいアイデアが浮かびました。この彼女をメインに撮影しましょう。習得間もない彼女なら視聴者受けがします」

ハル「それならサヤの苦労話を3つも知ってますよ。ね、サヤちゃん」

サヤはうつむいて顔を真っ赤にしている。

「それはどのような話でしょうか?」

ハル「16で親の居る北海道から単身で出てきた事。16ですよ・・・寂しくて泣いたかも知れませんね。朝1番に鍛冶場に出てハンマーを振り続けた事。雑用も嫌がらずに率先してやる子です。そして、かいがいしく私の世話をしてくれた事ですかね」

なんだと・・・世話をさせてたのか・・・俺の世話などした事が無いのに・・・なんて奴だ。

そんなこんなでとんとん拍子に決まってしまったよ。
俺の撮影は一切無しの条件で。


「サヤさんは、どんな人物ですか?」

ミちゃん「気が利く子ですよ。鍛冶場の掃除も率先してやってましたね」

「そうですか・・・ありがとうございます」

シズ「私も話すの・・・そうね顔は見て通りに美少女で優しい子よ。寮生活でも私の肩をんでくれたわ」

「稀に見る気が利いて優しいサヤさんでした」

「はい、OK!・・・次はハンマーを打つシーンだ。準備はいいか・・・」

「監督、準備が整いました。いつでもOKです」

「サヤさん、緊張しないで・・・もっとリラックスしてくれないとダメですよ・・・そうそう、その表情でキープして、撮影開始!」

サヤがハンマーで打つようになると撮影も忘れて打ち続ける。
暑くなる鍛冶場では、どうしてもTシャツ姿で打つしかない。
次第に汗が顔や体からにじみ出てきて、Tシャツにまとわりだしている。

撮影スタッフからも「エロいなーー」と声が漏れだしている。

「監督、あのままでいいのですか」

「鍛冶場に汗はつきものだ。何がおかしいか・・・」

火のルーンナイフが出来上がった頃にはビッショリなTシャツ姿をさらけ出してる。



「ご覧下さい。今からサヤさんの師匠による試し切りが行なわれようとしています」

鍛冶場外には、10本の丸太がランダムに立てられていて、静かにハルが睨んでいる。
ハルの考えは丸分りだ。
どの位置で斬ってどのルートで移動すれば良いかイメージしている。


動いた途端に1本が斬れて2本が斬れて、全てが一瞬で斬れていた。
余りにも速い斬り方の為に、丸太が燃える間もなく斬れていたのだ。
普通なら切り口が燃えるの当たり前であった。



今日は珍しくハルが料理してくれるらしい。

「師匠、わたしの試し切りが映る前に教えて下さいよ」

「1度、監督に見せられたはずだよな・・・それに録画もしてるぞ」

「師匠は分ってませんね。テレビでリアルに見るから良いのであって、録画とは違うのが分りませんか」

「さっぱり分らんな」

「ピンポン、ピンポン」

「師匠!出て下さいよ。わたしは料理中で出られませんよ」

「分ってるよ」

玄関を開けるとサヤだった。

「お邪魔します。ハル師匠に呼ばれてきました」

「ハル!サヤちゃんが来たぞ」

手を拭きながら「待ってたわ。汚い所だけど遠慮せずに入って」

なんだよ、その言い方は・・・


真剣な顔でサヤを見ながら「はい、おめでとう。もう、あなたは鍛冶の独立を認めます。これが独立認定書です」

ハルの達筆な字で書かれている独立認定書を受け取りながら、シクシクと泣きだすサヤだった。

「あなたの今までの頑張りを鍛冶の仕事に向けて頑張ってちょうだい」

「はい・・・師匠」

なになに抱き合って、ハルも泣いてるぞ。
なんだか俺だけが置いてきぼり感が半端ないぞ。


気が付いた時には番組は終盤で、ルーンナイフのラインナップ紹介だぞ。

雷ナイフ
火ナイフ
風ナイフ
水ナイフ

番組が終わってCMに入ったぞ。

「ハル、番組が終わったぞ」

「師匠のバカ」

なんで怒られなきゃならない。


番組の反響は凄かったらしい。
魔法属性付きのナイフのラインナップが紹介されると、世界中のスキル覚醒者は歓喜のあらしに喜んだ。
魔法士に頼り切った討伐が魔法士抜きでも討伐が可能になったからだ。
特に雷ナイフは凄かった。

各国は、雷ナイフ獲得の本気モードに突入。
手にしたい青い魔石が手に入るのだ。

それに、魔法士も接近戦用武器が手に入る事になる。
威力大になり魔力消費も少なくて済む。

それにサヤのファンクラブが結成されたらしい。
発起人は、あの監督だ。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...