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弓
しおりを挟む新たに建てられたクリーンルームでアルがテスラーの心臓部である四角柱を創造中であった。
試作品のオリハルコンチップは成功したが、大量生産するならチップの四角を四角柱にして薄くスライスすれば良いだけだ。
すでに残ってるオリハルコンは、不純物が多く含まれていて劣化オリハルコンしかない。
オリハルコンを掘る時に、周りに漏れ出したものらしい。
その不純物まみれのオリハルコンを空中に浮かせて、できるだけの不純物を取り除く作業が大変だった。
『なんて忌々しい不純物なんだ。これでもかまだ離れないのか』
もうアルは、イライラ気味だぞ。
魔法陣の光を照射し続けて、不純物が浮き出して離れだす。
反対からも照射、回転させての照射。
そんな剥がれた不純物を吸引機で吸取って処理するのが俺の仕事だ。
『何をもたもたしているのだ。早く吸取れ。そうしないと又くっ付いてしまうぞ』とアルがうるさい。
汚れた部屋が嫌いなようだ。
頑固に混ざってしまったものは無理だが、60%まで抑えられてたようだぞ。
『これで基準値に達した。ようやくオリハルコンチップの全容が見えてきたぞ』
魔法陣のルーン文字が入替わって、照射する光も七色に変化。
歪な塊が徐々に変化する。
まるで生きてるように蠢き形を七変化してるぞ。
そして細長い形状になりだしている。
それは5ミリの正方形で、長さ50センチの四角柱へと伸びだしたぞ。
それが100本になって扇を広げる状態で浮かび、その状態を維持している。
『時間が掛かる工程がまだ残ってるのか』アルは諦めムードだ。
そこにデータを書き込むアルだった。
それに影響されてか頭の中に数字の羅列が目まぐるしく回ってるぞ。
もう体はフラフラだぞ。
1時間が経過して書き込みが終了。
「ああ、吐き気がするぞ」
『ここで吐くなよ』とキツメに言われた。
自身で光魔法で回復だ。ああ、モヤモヤ感がスッキリしたぞ。
出来上がった四角柱は、浮かんで移動してジュラルミンケースに指定されたよにピッタリとおさまる。
俺は確認してからケースを閉めた。
『キューブめ・・・なんて無意味な仕事させるのだ』
「アルが作ったからには、責任もって対応してくれよな。後は1ミリにスライスしたものがスパコン並みの能力があるなんて信じられないよな」
『そのかわり自我はないぞ』
「え!そうなんだ」
『これでノルマ達成だ・・・寝るぞ』
又もプツンッと意識が切れやがったぞ。
自分勝手な奴だ。
「ビービー」誰かが来たのか・・・
「誰ですか」
「師匠!わたしです。ハルです」
「何か用か」
「用が無ければ来ませんよ。早く出てください」
「いま行くから待っててくれ」
何度もドアの開け閉めを繰り返して、普段着に着替えてドアを開いた。
「新しい武器を開発したので、意見が聞きたくて」
そう言いながら手を引張られたぞ。
来たのはサヤの鍛冶場だ。
木に向かって構えるサヤ。手に持ってるのは弓だ。
え!矢が無いのに引張ってるぞ。
何も無いのに何を射るのだ。
手を放したぞ。
なぜだ、風きり音が聞こえて木に何かが命中。
「バギュン」と20センチの穴を貫通させてる。
後ろの木にも削りとられた跡が残ってるぞ。なんて威力だ。
そして「バキバキ」と木が倒れたぞ。
「師匠、凄いでしょう」
「あれは何だ!」
「手で引張っている部分に風と斬のルーンが二重にしていて、魔力を込めて引張って放すと見えない風の矢が放たれる仕組みになってます。弓なので長距離も当たり前ですよ」
「素晴らしい武器だぞ。魔力消費はどれくらいだ」
「ステラー表示だとMP0.3ぐらいです」
「そんなに少ない消費でいいのか・・・」
「エヘヘヘ、わたしが作る弓は凄いのは当たり前です。中々良い弓です。サヤも少しは手伝いましたよ」
それって自画自賛で、自分のした事を自分で褒めるのと同じことだぞ。
「サヤ!もう1つの弓も試して」
「師匠、わかりました!」
なんだよ赤い弓を出してきたぞ。
ギリギリと引張り狙いを定めているぞ。
俺にはわかる。みなぎる闘魂がオーラのように身にまとっている。
手がゆっくりと放れた。
「バギュン、バギュン」と音がして木が燃えて、一瞬で燃え尽きたぞ。
「風と斬と火でサンドイッチ状態に工夫してみました。どうでしょうか」
「良いではないか、佐々木部長に連絡するといいぞ」
「電話番号なんか知りませんよ」
俺はスマホを出して電話した。
「はい、神須です。・・・はい・・・水上春が話したい事があるので代わりますね・・・ほら」
「もしもし、ハルです・・・はい・・・新しい武器を開発したので見てもらえないでしょうか・・・はい・・・いえいえ・・・はい、待ってます」
「ちょっと話しただけなのに、疲れました」
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