【完結】完璧アルファな推し本人に、推し語りするハメになったオレの顛末

竜也りく

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心の機微

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「本当に? 迷惑じゃない?」

「もちろんです!! 迷惑だなんてとんでもない!」

「そうか、良かった。それでは、これからは君の大切な人の話を私も一緒に聞かせて貰ってもいいだろうか」

「あ……」

そ、そうだった。

アルロード様のご希望を思い出してハッとする。

待って、オレ、アルロード様本人にアルロード様がどんなに素晴らしいかを力説するわけ?

この麗しいお顔を見ながら?

どんな無理ゲーだよ。

アルロード様をがっかりさせるワケにはいかないからニコニコしてるけど、内心めっちゃ困った。しかも目の端でドルフがニヤニヤしてるのが見えて地味にムカつく。

なんとかオレは、勇気を出して聞いてみることにした。

「あ、あの……どうしてアルロード様は、『あのお方』の話を聞きたいんですか?」

理由さえ分かれば、他の手段をご提案できるかも知れない。そう思っての質問だった。

するとアルロード様は困ったように頬笑んで、そっと顔を寄せてくる。

「~~~~っっっっ!!!???」

「恥ずかしいから内緒にしてくれるかな?」

急激に体温が上がって、全身から汗が噴き出す。顔から火を噴きそう。

内緒にする!!!!

しますからちょっと離れて!!!

そんな言葉なんて、喉がきゅっと締まったオレが発せるはずもない。

「もちろん内緒にするよな。なぁ、ルキノ」

 ドルフの助け船に、オレは高速で首を縦に振った。ホッとしたように微笑んで、アルロード様はさらに声をひそめる。

「良かった。……実は、母上に泣かれてしまってね、ほとほと困っているんだ」

「へ?」

本当に困ったような顔をするアルロード様の様子に、さすがにオレも背中がシャキッと伸びた。

「どういうことですか?」

「お、正気に戻った」

ちゃちゃを入れてくるドルフはいったん無視して、オレはアルロード様にしっかりと身体を向ける。アルロード様に目を合わせたら、彼の美しい翡翠色の瞳が驚いたように少し見開かれた。

そして、ふ、と目元を緩ませて安心したように口を開いてくれる。

「私は君が話していたような、特別に大切な人のことを深く思う、とか……そういう人の心の機微が分からなくてね。家族を大切に思うとかそういう気持ちはもちろんあるのだけれど、誰かを恋うというような気持ちはまだ経験したことがないんだ」

「……!」

「心の成長が遅いのかも知れないね」

寂しそうに微笑むアルロード様の姿に、胸がきゅうと締め付けられるような気持ちになった。

このところアルロード様が悩んでいたのは、もしかしてこのことだったんだろうか。
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