【完結】完璧アルファな推し本人に、推し語りするハメになったオレの顛末

竜也りく

文字の大きさ
48 / 49

【番外編】俺の推しが甘々すぎる ②

しおりを挟む
「ももももももちろんです! 小さい方がいいです!」

こんなでっかい邸、申し訳なさ過ぎるし落ち着かないんですけど!?

「あっ、でもアルロード様は公爵家のご子息ですもんね。ちゃんとした邸で使用人もいた方がいいのかな」

「いや、邸が大きすぎるのも不自由だと思う。小さい邸の方が管理もラクだしコストもかからないし、ルキノが言うように通いの家政婦をお願いするくらいのほうが二人の時間を邪魔されなくていいと思うんだ」

ふ、二人の時間って……そう言われるとなんか照れる。

「それに、それくらいなら収入が安定しなくても維持できるだろうし」

「?」

「実は卒業後は、僕も正式に冒険者になろうかと思っているんだ」

「は!!???」

「そうしたらルキノと一日中一緒に居られるしね」

朗らかに笑うアルロード様に、オレは初めて頭に血が上るような気持ちになった。

「何言ってんですか!!!! そんなバカな理由で冒険者にならないでください!」

「ル、ルキノ」

かつてなく怒りをあらわにしたオレに、アルロード様がびっくりしてる。

けど、感情を抑えられなかった。

「アルロード様のこと、みんな尊敬してるんですよ? アルロード様より強い人なんていない、アルロード様こそ、騎士団になくてはならない人でしょう……!」

「ごめん……ごめんルキノ。そんなにルキノが怒るとは思わなくて」

アルロード様がオロオロとオレの様子を窺う。

その姿を見ていたら、少しだけ頭が冷えてきた。

「すみません……オレ」

きっと、騎士という言葉はオレにとって、一番心の奥底をえぐられるようなものなのかもしれない。こんなに心が乱れるのは、どこかに、オレがどんなになりたくてもなれない騎士になれるっていうのに、っていう気持ちもあったのかもしれない。

「いや、僕の言い方が悪かった」

アルロード様が明らかにシュンとしている。ちょっと申し訳なくなってきた。

だって、騎士になれるのに騎士にならない選択をすることに腹が立つのはオレのエゴだ。

アルロード様に憧れてる人がたくさんいて、騎士になるだろうことを待ち望んでいる人が多いのは本当だけれど、アルロード様の人生なんだから、アルロード様のお考えで自由に将来の職業なんて選んでいい。

「ごめんなさい、つい感情的になっちゃって。オレってダメだなぁ。自分の気持ちばっかり押しつけて。オレ、アルロード様は絶対に騎士になるって思い込んでたから」

「そうか、ルキノは騎士になる僕を楽しみにしてくれていたんだね」

「確かに騎士になったアルロード様はとんでもなくカッコイイだろうなって思ってましたし、騎士服のアルロード様のお姿を楽しみにしてたののは事実です。……でも、アルロード様の人生なんだから、アルロード様自身が納得できて、幸せなのが一番ですよね」

ついアルロード様を責めるような言い方をしてしまったことを反省する。

けれど、それでもオレの中にはモヤモヤが残っていた。

アルロード様の気持ちは尊重したいけど、冷静に考えても冒険者は身体を欠損する可能性だってある危険な仕事だ。そんな危険な真似はして欲しくないっていう気持ちもある。

でもそれだって、オレの勝手な押しつけだって分かってる。

「騎士にならなくてもいいの?」

そう問い返されると困ってしまう。

だって、騎士じゃないアルロード様の未来なんて考えた事も無かった。

「えと、確かにオレの中でのアルロード様はキラキラしてて優しくて、きっと町の人達を颯爽と助けて、その存在だけで憧れや希望になるようなお方で、『騎士』って言葉が誰よりも似合うお方だと思ってはいるんですけど」

考えが纏まらないまま、オレの口はもごもごと言葉を綴っていく。

「……えっと、でもその、オレが騎士になって欲しいって言ったから騎士になるってのも違うと思うんです。でもオレと一緒に居たいからってアルロード様が冒険者なんて危険な仕事に就くのはもっと違うっていうか……アルロード様には大きなケガなく笑ってて欲しいっていうか」

ああもう、なんて言ったらいいんだろう。

「うん、それは分かる。僕も、ルキノが僕の見ていないところでケガしたりしたらと思うと、怖くて離れていられない」

「あっ……」

そうか、確かに。

アルロード様もそんなこと言って、放課後のオレの冒険者としての活動に一緒についてきてくれてたんだっけ。

さすがにオレは苦笑した。

「やっぱりお互いにそんな風に思っちゃうほど危ない職業なんですね。やめておいた方がいいのかな」

「そんな風に決めてしまわなくてもいいんじゃないかな。僕は、二人で冒険者をやるのもいいと本気で思っているんだよ」

「アルロード様……」

「ルキノと一緒にいられるからというのもあるけれど、ルキノと何度も魔物の討伐をしているうちに、僕は冒険者という仕事自体にも魅力を感じるようになっていてね」

「えっ……」

「騎士は町の中で起こる問題を解決することが主だけれど、実際に起こる人的被害は魔物に起因したものの方が意外にも多いだろう? そのせいで物流が滞ることもあれば町と町の間の移動や森での採取活動に支障をきたしていたりもする」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

【完結】異世界に召喚された賢者は、勇者に捕まった!

華抹茶
BL
日本の一般的なサラリーマンである竹内颯太は、会社へ出勤する途中で異世界に召喚されてしまう。 「勇者様! どうかこの世界をお救いください!」 なんと颯太は『勇者』として、この世界に誕生してしまった魔王を倒してほしいと言われたのだ。 始めは勝手に召喚されたことに腹を立て、お前たちで解決しろと突っぱねるも、王太子であるフェリクスに平伏までされ助力を請われる。渋々ではあったが、結局魔王討伐を了承することに。 魔王討伐も無事に成功し、颯太は元の世界へと戻ることになった。 「ソウタ、私の気持ちを受け取ってくれないか? 私はあなたがいてくれるなら、どんなことだってやれる。あなたを幸せにすると誓う。だからどうか、どうか私の気持ちを受け取ってください」 「ごめん。俺はお前の気持ちを受け取れない」 元の世界へ帰る前日、フェリクスに告白される颯太。だが颯太はそれを断り、ひとり元の世界へと戻った。のだが―― 「なんでまた召喚されてんだよぉぉぉぉぉ!!」 『勇者』となった王太子×『勇者』として異世界召喚されたが『賢者』となったサラリーマン ●最終話まで執筆済み。全30話。 ●10話まで1日2話更新(12時と19時)。その後は1日1話更新(19時) ●Rシーンには※印が付いています。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

救世の神子として異世界に召喚されたと思ったら呪い解除の回復アイテムだった上にイケメン竜騎士のツガイにされてしまいました。

篠崎笙
BL
剣崎勝利の家は古武道で名を馳せていた。ある日突然異世界に召喚される。勇者としてではなく、竜騎士たちの呪いを解く道具として。竜騎士ゲオルギオスは、勝利をツガイにして、その体液で呪いを解いた。勝利と竜騎士たちは悪神討伐の旅へ向かったが……。 

捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?

めがねあざらし
BL
役立たずと追放されたΩのリオン。 治癒師の家に生まれながら癒しの力もないと見放された彼を拾ったのは、獣人国ザイファルの将軍であり、冷徹と名高い王太子・ガルハルトだった。 だが、彼の傷を“舐めた”瞬間、リオンの秘められた異能が覚醒する。 その力は、獣人たちにとって“聖なる奇跡”。 囲い込まれ、離されず、戸惑いながらも、ガルハルトの腕の中で心は揺れて──偽りの関係が、いつしか嘘では済まなくなっていく。 異能×政治×恋愛。 運命が交錯する王宮オメガバースファンタジー。

処理中です...