臆病者の転生ヒストリア〜神から授かった力を使うには時間が必要です〜

たいらくん

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第一章 王国編第一部(初等部)

エピソード48 歓迎会に注意! 忍び寄る影

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 昨日の店舗のリフォームもあり、オレは疲労困憊で帰ってきた……
 オレは寝坊しないようにモーガンに起こして欲しいと頼み、ゆっくりとベッドに入り眠りについた…………

「……めぇ…………の部屋じゃ…………け……しくじゃ」

「クライヴ…………から言われて……しちゃ……メだよ」

 なんか廊下の方がうるさいなぁ。オレはその物音で目が覚めた。
 
 気怠げに起きあがり、窓から外を見るとまだ薄暗くて、ここから見える住宅街には人の姿が見当たらない。

 
「ハァー」
 オレは欠伸を一つ、学生服に着替えた。

 そして扉を開くと、ショーンの腰を両手で掴まえてオレの部屋に行かせないようにしているモーガンがいて、二人が何か話していた。

「えっどう言う状況?」

「おう! 隣に越してきたんじゃ」

「クライヴ、おはよう。ボクもよくわかってないんだけど、朝起きたら隣が騒がしくて廊下に出たらショーンが隣の部屋に」

 モーガンも何が起こったのかわかっていない様子で、ただただ苦笑を浮かべていた。

 とりあえずオレとモーガンは、ショーンに事情を聞くと、どうやらショーンの実家の定食屋の経営が苦しくなってきているらしい。
 原因はショーンの入学金の支払いで生活が苦しくなっていて、両親や弟の事を考えて、ショーン一人分の生活費でも軽減させようと自ら学生寮に入寮したらしい。

 ショーンの家は家族の仲が良いので、母親は涙を流し送り出してくれたそうだ。

(いやいや、ショーンの実家すぐそこだからね! 何で感動系の話になってんの? 食費も浮くんだし元から入寮したらいいだけの話だろ?)

 流石にオレとモーガンは溢れそうになるツッコミをグッと堪えた…………


「そう言えば、オレ達以外に学生寮使っている人っているのかな?」

「クライヴは最近外ばかり出ているから分からないと思うけど、ショーンの様な例はあるんだよ。昨日から二年生が二名入寮して来たよ。反対側の橋の部屋と、女子の部屋の階段付近の部屋だったかな?
 話してないから詳しくは分からないけどショーンと同じ理由だと思うよ」

「ただ……」

 モーガンが会話の途中で言葉を濁し、表情が変化した。

「いや……なんでもないよ……」

 その言い方は絶対なんかあるよな? オレに言いたくない何かが…………

 オレ達五人はいつものように一階の階段付近に集まり食堂に向かった。
 今日の朝食は【ちょっと助けてくれねぇか! 悪い奴に騙されてペペがローンを組んじまって、オレ血の温度が沸騰寸前で怒りで燃えそうだぜ!】と【痛いなぁ! このタコ野郎! 軽くパチっと喰らわすぞ!】だった。
…………………………料理長はいつまで続けるのだろうか?

オレとショーンは、【ちょっと助けてくれねぇか! 悪い奴に騙されてペペがローンペペロンを組んじまって、オレ血のチーノ温度が沸騰寸前で怒りで燃えそうだぜ!】…………
 はいはいオレ達は、ペペロンチーノね……

モーガンとフィーネとリアナはもう一つの、【痛いタイなぁ! このタコタコ野郎! 軽くパチっと喰らわすぞカルパッチョ!】……
 タイとタコのカルパッチョね…………


 そして奥の方のテーブルには二年生の男女が座った。
 オレ達の反応とは違い、どんなメニューか分からないと落胆と驚きの声をあげていた。
 その姿を見ている料理長は何故か誇らしげな顔をしていた……


 しばらくオレ達は食堂で朝のティータイムをしていると、窓の外から吹いてくる心地の良い風が通学してくる学生の声を運んできた。

 「そろそろ行く?」

 モーガンがそう言うとオレ達は席を立ち学院に向かった。
 今日は授業もなく半日だけなので心が軽い。
 そんな時に突然のリアナからの言葉鉄槌で、先程まで軽かった心が嘘のように重たくなった。

「今日は半日だから、みんなの都合が良ければ武器屋に行かないかい? その後もし簡単そうな依頼があれば受けてみたいんだが……この前みたいに危険な魔獣に出会うと闘わずに逃げよう」
 
(リアナさん戦闘狂でしたっけ……)

「そうだね、今の所持金ならある程度の装備を整えられるし、この二年間で初級冒険者を目標に頑張れたらいいね。もちろん入学金の支払いも忘れずにね。」

 モ、モーガンまでも…………確かに以前、冒険者の肩書きがあれば貴族も手を出しづらいって言ってたけど……

「ヨッシャ! ワシは賛成じゃ!」

 ショーン、お前が一番危険なんだよ、勝手に個人行動してみんなを危険な目に合わせないか……

「ク、クライヴぐらい、アタシが守ってあげるわよ! もっと喜びなさい!」

 フィーネ、何でオレは行く前提で話をしてるの?
 そしてまだまだ甘いよフィーネ。
 ツン発言なのに、横を向いた時に口元が緩んでいるのがバレバレだよ…………

「これで、クライヴの返答次第だね」

 モーガン! 絶対逃げられない状況を作ったな!
 その微笑みの向こう側が真っ黒すぎる!

「武器屋さんに行くのが優先で、採取の依頼は本当に安全な依頼があれば賛成するよ」

 オレはみんなの意見に賛成? して学院の多目的ホールで行う歓迎会に向かった…………


 多目的ホールに入ると、前半分の部分だけクリスマスパーティー的な感じで壁や扉等に飾り付けされており、中心にはちょっとした高さのステージも用意されていた。

 歓迎会を開いてくれる二年生達は七名と少ない中でこんなに飾り付けをしてくれたと思うと感謝の気持ちで胸が熱くなった。

 そして学院長からの歓迎会を楽しむようにと簡単な挨拶があり、オレ達の歓迎会が始まった。

 立食パーティーのような形式で、少し背の高い丸いテーブルだけがいくつが置かれていた。
 また両端には長テーブルが置かれていて、飲み物や軽食等がテーブル上に並んでいた。
 その軽食や飲み物を学生寮の料理人見習いさん達がウェイターのように運んでいた。

(なるほど、この軽食や学生への対応等も見習いさんにとっては採点基準となるんだな……そしたら料理長はどこにいるんだ?)

 嫌な予感を感じながらも歓迎会のプログラムは進んでいく…………

 まずは二年生がステージ上に上がり、女子の三人グループと男子の四人グループに分かれて自己紹介をした。

「私達は男爵家の三女同士で、趣味や好きな食べ物も同じ仲良し三人組です。唯一違うのが好みの男の子のタイプが違います。
 私は守ってあげたくなる可愛いモーガンくん派です。
 この子は個性的な髪型と健康的なイケメンのクライヴくん派です。
 そしてもう一人の子は何と、同じクラスの子です。でも友達以上から中々発展できず、その子が学生寮に入寮するのを聞いて後を追うように入寮した行動力のある子です。みんなよろしくね」

「……うっとおしいな………………」

 あれ? モーガンは笑みを浮かべているが、ポツリといけない一言を呟いたぞ。誰にも聞こえないと思って油断したなブラックモーガン! 
……もしかして、あんまり可愛いとか言われるの気にしているのかな……

 オレ派の二年生はコチラを見ているが、二年生の男子の一人が凄く睨んでますが………………おれが何をした?
 そして背後には悪寒がして…………振り向くとフィーネが笑顔でオレに殺気を放っていた。

 フィーネ相手を間違ってないか? 普通殺気を放つ相手はオレじゃなく二年生の女子だろ!

 それから二年生の男子達はそれぞれ簡単な自己紹介をしていたが、最後のペップという男子は高圧的な物言いで伯爵家の使用人の息子だと自慢をしてフィーネやリアナの気を引こうとバレバレだった。
………………どんまい道は険しいぞ…………

 そして、次はオレ達一年生の番だ。
 先鋒は女子三人衆だ! やはり先程の二年生の女子の発言が気に食わなかったのだろう…………

「初めまして先輩方、私達は尊い存在を守る誓いをした戦友です」

 はい、さっそく意味がわからん。尊い存在? 戦友?

「私は同じクラスのモーガンくんの尊さにいつも感謝して登校しています。休憩時間はモーガンくんに会えた事を神にお祈りしています」

「私はリアナ様の凛とした姿や言葉に魅入られて授業が全く手がつけらないです」

「私はクライヴくんを中心としたクライヴくんが攻めでモーガンくんが受け、クライヴくんが受けでショーンくんが攻め等の設定の妄想を楽しんでいます」

 さすが、女子三人衆カオスだぜ! 二年の先輩方もドン引きだ!

 そして、オレ達の紹介とチームを組んで冒険者見習い等をしている事の話をした。

 まぁ自分で言うのもなんだが……タイプ別の美男子と美少女のチームだから、そりゃ全校生徒からは注目の的となりますわな…………

 その後は歓談の時間という名の飲食の時間となり、結局オレのテーブルは、いつものメンバーと同じ学生寮の二年生二人の学生寮グループが集まった。
 二年生の先輩方が取り皿に食べ物をいくつか持って来てくれたので、オレとモーガンで飲み物を取りに行った。

 チラッと他のテーブルを見ると印象が悪かったペップという二年生と同級生のカーンが仲良く話をしている。
 (へぇー、二人は知り合いか幼馴染なのかな?)

「クラ……アイツ…………ザイな…………絶対……みんなの前……痛め…………泣かせ……やろうぜ」

 ボソボソと内緒話をしているので聞こえないが、悪巧みしそうな顔をしているので良い話ではないんだろうな。

「モーガン、飲み物取りに行こうか?」

 オレの呼びかけにモーガンは反応せず、ペップとカーンを冷めた表情で見ていた。

「モーガン。待たせてしまうから早く飲み物を」

 オレはもう一度モーガンを呼ぶと、今気づいたように反応にいつもの笑顔のモーガンに戻った。

「あぁ、クライヴ。ボーッとしちゃってごめんね」

 モーガンはウルウルと上目遣いでオレを見てくる。男の娘のパワーは侮れん!
 
「その上目遣いをやめたまえモーガン」

「ハハハ、ボクの対クライヴ用の必殺技だからね」
 
 そう言ってモーガンは、照れ臭そうに言った。

「何だそれ。モーガン、先に戻っとくぜ」

「待ってくれよクライヴ!」
「…………アイツらのバックには…………伯爵の……の…………か………………兄上………………任せ…………」

 何か後ろでモーガンが何か言っているような気がしたのでオレは振り返った。

「モーガン何か言った?」

 モーガンは一瞬だけ驚き、すぐにいつもの表情に戻った。

「クライヴこそどうしたの?」

 まぁオレの気のせいか…………
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