臆病者の転生ヒストリア〜神から授かった力を使うには時間が必要です〜

たいらくん

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第一章 王国編第一部(初等部)

エピソード85 アリアによる事情聴取と尋問?

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 アリア様は水の道を境にオレに向き合うように立ち、不敵な笑みを浮かべていた。

「ちょうど良かったわ。クライヴ君と話したい事がありまして…………生誕祭での貴族達の行事は知っていますか?」

「確か、王城に国内の貴族が集まったり、他国から使者が来たりと慌しいと聞いております。
 また国内の貴族の其々の派閥を強化しようと、普段関わりの少ない貴族や他国の使者を家に招いて接待をしている……で合ってますか?」
 
 オレの返答に対してアリア様は頷いた。

「良くご存知なのね。ここからが本題なんだけど…………ここで話をしても誰かに聞かれる事はないのかしら?」

 アリア様はオレが思ったよりも理解をしていた事に少し驚き、アリア様から笑みが消えて少し真面目な顔になった。

(いくら庭の奥の人目につかない場所といっても、所詮は庭。オープンな場なので正直わからない……)

「絶対にとは言い切れないと思います。密談でしたら、店舗の二階にそういった部屋を用意しておりますが…………」

 オレはアリア様に提案するとアリア様は少し表情が和らいだ。

「へぇ~、そんな部屋まで用意しているなんて……まだ私と一緒でお若いのに、とても先の事まで考えているんですね」

 感心しているのか? 皮肉なのか? 分からないが、オレはアリア様を店舗の二階の密談ができる部屋に案内した。アリア様は念の為に護衛を扉の外で待機させた。

「どうぞお掛け下さい。この部屋は壁を厚くしておりまして、あまり声は漏れないような作りになっております」

 オレはアリア様にこの部屋の説明をすると、アリア様は辺りを見渡して壁をコンコンと叩いていた。

「これなら大丈夫そうね。
 と言っても私の護衛しか扉の外にはいないので、もし会話の内容が漏れたとしても口が固い人たちですので問題ないですけどね」

 アリア様はそう言ってオレが用意していた椅子に腰掛けた。
 そしてアリア様がゆっくりと口を開き、オレに話した内容はさすがにオレも予想していなかった内容だった。

「王女のパーティーに帝国の使者としてイーサン皇子がやって来ました。他の国は外交官とかでしたので、凄く浮いておられました」

 アリア様はオレの顔色を見ながら話をした。
 まるで何かを探るように……

(イーサン兄さんが……どうして?)

 オレは動揺したらマズイと思い、なんとかポーカーフェイスでアリア様の話を聞いた。

「イーサン皇子は誰かを探しているようでしたが、どこか浮かない表情をされていたようで、父上が気にして声をかけたそうです。誰を探していたのかは教えてくれなかったようですが、親交のある王国貴族を探していたようです」

 アリア様は、またオレの表情に変化がないか確認しながら話を続けた。

(それ絶対にランパード様だよ……ランパード様は参加されてなかったのか?)

「そして、お父様がイーサン皇子を屋敷に招待をしたところ快く快諾して下さり、歓談しながらお食事会を開いたの。
 お酒で少し酔ったお父様が、最近の面白い出来事で、イーサン皇子の髪の色と目の色と同じ黒髪黒目の少年が来た話をしたのだけど……イーサン皇子が少し焦りというか動揺したのよね。まるでその人物を知っているかのように…………」

(相変わらず感が良いと言うか頭が良いと言うか…………アリア様って本当に十歳児なの?)

 

「私の憶測ではクライヴとイーサン皇子が何らかの関係性があると考えています。
 となると貴方は帝国で言う高位貴族ではないでしょうか?
 そうじゃないと帝国の使者としてわざわざ生誕祭にイーサン皇子が来る理由が分かりませんから。
 しかし、どうしても分からない事があるんです。何故貴方は帝国から亡命をしたのか? どうやって? 王国側から誰かの協力が必要なはずですから…………」

 アリア様はオレから視線を逸らして、ご自分のこめかみを指先で触れて、考え込むような仕草で考察を述べていた。

(確信つき過ぎだろ! というか詮索しないと約束してしなかったっけ?)

「アリア様、詮索しないと約束しましたよね。
 それに学院で学びましたが、マクウィリアズ王国とアレキサンダー帝国を結ぶ唯一の陸路は、山に挟まれてた峠を越えて監視兵のいる砦を通る必要があると習いました。現実的に考えて帝国から亡命する事は可能なのでしょうか?」

 オレはこの瞬間だけ、主演男優賞並みの演技力を発揮して全力でとぼけた!

 アリア様も考え込みながら唸るような声を上げた。

「う~ん…………確かに……そうだけど…………」

「イーサン皇子の反応もアリア様の勘違いかも知れませんし、黒髪も王国内では珍しいですが、決して居ないわけではありません。
 もしかしたらわたくしの先祖は帝国の人間だったかも知れませんね」

 オレなりの嘘の仮説をアリア様に伝えると、アリア様は渋々納得された様子だった。
 
「……クライヴごめんなさい。あまりにも偶然が重なり、私なりの仮説を考えると一つ一つの疑問点が、頭の中でカチッと上手く合わさるので……自分の考えに固執してしまいました」

 そう言ってアリア様は少しだけ悲しそうな表情を浮かべてオレに謝った。

(あ、危なかった……殆ど合ってるよ…………アリア様には気をつけないといけないな)

 オレはこれ以上詮索されるのはマズイと思い真顔になり、また役者顔負けの必殺技を使った。

「アリア様、失礼を承知で申し上げますが……もうそろそろ戻られた方が良いかと……いくら扉の外に護衛がいるからと言いましても、平民と貴族令嬢の男女が密談するのは噂になるかも知れません。
 もちろんアリア様の護衛を疑うわけではありませんよ」

 オレの言葉にアリア様も少し考え込み、そしてオレの目を見て話しかけた。

「確かにクライヴの言う通りかもしれないわ。私の軽率な行動でウィンゲート家に泥を塗るわけにはいけないですし…………今日は帰りますわ」
 
 そしてオレ達は二階から降りて、イングリッシュガーデン風の庭の方へエスコートした。

「ここからお戻りになれば、人の目を気にする心配は無いかと思います」

 オレはそう伝えると、何か可笑しかったのかアリア様は笑みを浮かべた。

「フフッありがとう。それではまた」

 その一言だけの言葉だったがこのイングリッシュガーデン風の背景の中、笑みを浮かべたアリア様がとても美しく絵画を見ている様に目を逸らす事が出来なかった。

 アリアはオレの反応に不思議そうな顔をしながら、馬車に戻って行った…………
 
「疲れたぁ……」

 オレは神経をすり減らしながら、アリア様にバレないように会話をしたので疲れが半端ない……

(さぁ、みんなの元に行こうか)

 少し以上遅れたオレは、カフェに向かって歩き出した。
 そして着いた頃には、みんな食後のスイーツを食べていた…………

「遅いわよクライヴ! アンタ一人で何してたのよ! みんなを待たせて迷惑かけてるんじゃないわよ!」

 先程まで笑顔でパフェを食べていたフィーネは、オレを見るなり表情が怒りに変化して、説教をしてきた。
 オレはそのフィーネの説教を甘んじて受けた。

(先程のアリア様との心理戦に比べればフィーネの方が相手をするのが楽だよなぁ)

 そんな事を考えていると、どうやらオレは少し笑みを浮かべていたらしい。

「ちょ、怒られて何笑ってるの……アンタって気持ち悪いわね」

「まあまあフィーネ落ち着いて。クライヴも謝った方が良いと思うよ。みんなにもね。それにフィーネが一番心配していたからね」

 モーガンがフィーネを制して、真っ当な事を言ってくれた。

「みんなゴメン! ちょっと足湯に不備がないか自ら体験していたんだけど……思ったよりも気持ち良くって気付いたら遅くなってしまった……本当にゴメン!」

 みんなはクライヴだから仕方ないかと言いたそうな顔をしていて、まるでオレが変わり者のように思われている。

 しかし一名だけ……

「そんな事でアタシが納得すると思ってるの!」

 一番心配していたツンなフィーネさんの怒りはマックスまで達したようだった…………
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