臆病者の転生ヒストリア〜神から授かった力を使うには時間が必要です〜

たいらくん

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第一章 王国編第一部(初等部)

エピソード109 ランパード家でのランチはある意味拷問

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「これでいいだろう。それではみんな衛兵達に届けに行こう」

  テリー様はオレ達の無事を確認してから三名の護衛達に指示を出した。
 護衛達は迅速にガラの悪いモブ達を縄で縛った。  
 そしてテリー様達はモブ達を衛兵に引き渡す為に街にも戻るらしい。
 オレ達も依頼分の薬草採取もできたので、街に戻る事にした。

「クライヴ、一緒に街に戻るのだったらポニーを連れてくるよ。ポニーもクライヴに会いたがっていたよ」

 オレがランパード家で過ごした苦しい時は、いつもポニーに癒されていた。
 百四十センチくらいの大きさだが、たくましく艶のある体と穏やかな気性の大きな目とキレイな耳なのに脚は短く太めというギャップがとても愛らしいポニー。
 辛い時はオレを乗せて優しく歩いてくれて、オレを励ます時は時速四〇キロメートルは超えるスピードで走って気分をスッキリさせてくれるオレの相棒のポニ太郎ランパード家のポニーですを思い出すだけでオレは目頭が熱くなった。
 テリー様はそんなオレの様子を見て、護衛達に何か伝えていた。

「クライヴ。ポニーが来るまで少し話しながら進もうか。ウィンゲート侯爵家のアランから色々とクライヴの話を聞いていて、少しクライヴと話したかったんだよ」

 テリー様は優しく微笑みながらオレに語りかけてくれ、馬の歩く速度もオレ達の歩く速度に合わせてくれてこの一年間の出来事をフィーネと一緒に話をした。エルフに関わる部分を除いてだが……

「あぁ、あの学生通り西通りの噂の店はクライヴ達の店だったのか。僕は行った事無いけど、女子生徒の間では少し有名らしいよ。変わった店で何故かまた食べたくなる素朴な味の商品に、見たことの無い芸術的な庭で風景を見ながら食べる事ができるらしいね。今度食べに行きたいが、アーサーを連れて行くのはなぁ…………」

 テリー様はオレの為にお店に足を運んでくれるらしい、王太子付きで…………

「あの、テリー様。一応お店の二階に密談も行える部屋を用意しておりまして……重要人物を招く事を想定して十五名程度なら問題なく会談等も行えます」

「クライヴ、君にはいつも驚かされてばかりだよ。リフォームの時に最初から様々な出来事に対処できるように作っているとは……君のような人達がいると将来的より良い王国を築き上げる事ができて、ぼく達の時代の王国は安泰だね」

「はい……戦争は内戦等がない平和な世の中になって欲しいです。王国だけど限らず全ての国と一緒に…………」

 オレの言葉にテリー様は一瞬ハッと何かに気付いた。オレが王国に亡命した背景に…………

「そうだね…………必ず実現しよう!」

 テリー様は強く決意し、力強い目でオレを見ていた。

「ア、アタシも、クライヴと一緒に頑張ります!」

 テリー様の前でなのか? 他所行きモードのフィーネさんも決意表明を示した。

(青春だなぁ……良いなぁこの感じ。将来色んな未来を掴めれる事ができると信じている若者達)

 オレは前世でサッカー選手になる為に仲間達と練習に明け暮れ其々の夢を語り合った日々を思い出し懐かしさが込み上げて来た…………
 オレの心の奥には、前世の須藤弘樹と言うオレとこの世界のスノウ・デア・アレキサンダーと言うオレの二つの精神が混ざり合って今の自分が存在している。
 その為、精神年齢は高いはずだが、十一歳の幼さゆえに情動的になってしまう事もある……
 そして、ふとした時に忘れていた前世の事を突然思い出したりする事もある。
 この世界には無いアイデアが生まれたりと良い事もあるが、懐かしい思い出というか……もう一度戻りたいと思う寂しさを感じることもある。

 オレは物思いに耽けていると、フィーネが心配そうに顔を覗き込んできた。

「ねぇクライヴ大丈夫? 考え事なの?」

「クライヴ。そんなに難しい顔をして考え事をしているからフィーネさんが心配しているよ」

「あ、あの、アタ、アタシは、心配と言うか、その、クライヴが何か悩んでいたみたいなので……心配して、あれ、心配なんです」

 他所行きフィーネさんがテリー様の一言によって目が泳ぎパニックになっていた。

 オレはそんな二人のやり取りに笑みが溢れて心の奥底に有る悩みなんて、成るようになるだろうと思った。

 暫く歩くと護衛達が戻ってきて、オレの元にはポニ太郎が歯茎をこれでもかと見せてくれて、尋常じゃない速さで腰を振っていた。

(ポニ太郎よ。これは喜びを表現しているのかい?)

 オレは恥ずかしがるフィーネをポニ太郎に乗せて、二人乗りでテリー様に同行した。
 街に入っても降りる事なくテリー様はオレ達に手招きをする。
 
(いや、あの、テリー様、ガラの悪いモブ達を冒険者協会へ引き渡して説明しないと……)

「クライヴ! 聞こえるかい? クライヴに危害を加えた者達の処遇については全て片をつけているよ。後は昼食なんだが……護衛達が母上にクライヴの事を説明したらしく、一緒に昼食を取ることになった。忙しい中すまない……」

(成るように成るさ…………多分)

ランパード家に着くとポニ太郎としばしの別れとなった。

 玄関前にはモーぜの奇跡のように玄関までの通路の左右に使用人がお辞儀をして並んでいる。
 いつ見ても慣れない光景だ…………

 そして、近づくとレスリング選手並みの高速タックル? 抱きしめ? が飛んできた。
 どうやら相手はオレを窒息死させるつもりだ。

「クライヴくん! 久しぶりね! 少し大きくなったかしら! 可愛かった男の子も少し男らしい顔つきになったわねぇ! 顔が一瞬しか見えなかったけど」

(でしょうね! オレには貴女の顔すら見えませんでしたよ。そろそろ酸欠しますよオレ)

「母上! それ以上は危険です! クライヴが窒息死します」

 テリー様の鬼気迫る声に呑気な女性の声が反応した。

「あらあら、それは大変だわ」

 久しぶりのローズ様のハグは衰え知らずで、色々な意味で強力だった。

 そして、シェリダン領で過ごした日々や王立学院初等部入学や今までの事を話しをしていると、執事から昼食の準備が整ったと言われてオレ達はローズ様達と一緒に食堂に向かった。

 そこには、キラキラ笑顔を向けて控えめに手を振ってくれるルーシー様と相変わらずムスッとした顔のジェイミー様がいらっしゃった。どうやらランパード三兄弟は帰省していたらしい。
 そしてオレとフィーネは隣同士に並んで座り、昼食が始まった。
 オレはフィーネにテーブルマナーを伝えつつ、ランパード家の皆様の質問に答えていたので、正直味は覚えていない。
 そして食事も終盤に差し掛かったところで、ジェイミー様が口を開いた。

「オイ! 平み……クライヴ! この後オレと勝負しろ!」

「辞退します!」

 オレの即答の返事にジェイミー様は声を荒げた。

「何故だ!」

「食後すぐの運動は身体に悪いですし、長居するのも皆様にご迷惑をかけますし……」

「ジェイミー! やめないか! クライヴが言っている事を察しろ! 今の君との実力差を考えると、手加減して恥をかかせてしまうかもしれない。ランパード家次男としてそんな事をさせてはいけないと心配をしてくれているんだよ」

(あっ全然違いますよ。テリー様って秀才って噂ですよね…………)

「一度だけだ! オレと勝負してくれ」
 
 引き下がらないジェイミー様にみんなの視線がオレに集まる。どう答えるのかと…………

「はい……わかりました……」 
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