臆病者の転生ヒストリア〜神から授かった力を使うには時間が必要です〜

たいらくん

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第一章 王国編第一部(初等部)

エピソード121 俺の爺ちゃんがスパルタ過ぎる試験に追い打ちをかけてパーティー(約二名)が可笑しいんだが

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「むほぉ! むほぉぉん!」

 砂埃を上げながらモーガン一筋に向かうセンチミニッツブルーコンゴ…………
 まだモーガンを先頭に残しつつ、リアナとショーンは前衛の位置でいつでもモーガンを守る準備は整っている。
 百メートル程度まで迫ってきているセンチミニッツブルーコンゴを初めて見るが…………
 オレは、みんながセンチとかミニッツとか体毛が青いとか見た目は猿だとか言うから、てっきりこれまでの経験上ゴリラでしょ? ってぐらいに思っていたがなんのその!
 もう顔が猿のカケラひとつないアリゲーターではありませんか!
 この姿を例えるとゴリラの身体に頭はワニでウホウホ言っている不思議な世界観……さすがファンタジー………………

「よし! そろそろモーガン下がってくれないか? ショーン! ぼくと前に出よう。先制攻撃は任せてくれないか」

 リアナの合図でオレ達の陣形が動き出す。モーガンの前にはショーンが壁となり、モーガンが後ろに下がり交代でオレは前に移動した。
 そしてオレはリアナとショーンのサポートに回る。
 フィーネは援護射撃でモーガンは魔法の詠唱という戦術だ。

「みんな! あの何とかブルーの弱点は?」

 オレは大事な事を聞き忘れていた。
 するとモーガンが急いで教えてくれた。

「口の中か、あの赤いお尻の所が弱点だよ。他の部位は意外に硬くて大きなダメージは期待できないよ」

(ん……口の中? ワニの? えっ何そのドッキリでありそうなリアクション芸人がする事…………赤いお尻? あんなに素早いヤツなのにそう簡単に背後なんて取れねぇよ!)

「二匹か……先に向かってくるのは通常の大きさだが、後ろから向かってくる個体は少し大きいセンチミニッツブルーコンゴだ。ショーン、気を抜かぬように! モーガンが下がってクライヴが来るまでは守備に専念して欲しい! ぼくが先に通常の個体を相手にするから、ショーンはクライヴが来てから攻撃に転じてくれないか?」

(ん……リアナさんは何を? オレは最前衛に行くつもりは無かったのだが……むしろ作戦でも前衛のやや後ろでリアナとショーンのサポートのはずだが……)

「言われんでもわかっとるわぁ! おめぇこそ無理するんじゃなかろうが?」

「フフッ君に言われたくないがな」

 何故だがリアナとショーンはお互い少し嬉しそうに掛け合いをしていた。

(誰か……オレを取り残さないでくれ……)

「アンタ! しっかりしなさいよ! 作戦なんか戦況によって変わるでしょ! アタシが後ろについてるから安心しなさいよ!」

 今のオレにはフィーネの言葉が胸にジーンと響き渡るも…………やはり納得がいかないのと、これから考えるだけで恐怖で足がすくんだ……

 そんな間にセンチミニッツブルーコンゴがもう数十メートルの所まで来ている。、近寄ってくる姿はやはり頭がワニだった…………
 体長は二メートル弱だが、確かに大きな猿っぽい……いやゴリラだ。顔だけは除いて…………
 
「悪いけどモーガンに近づかせないよ! お猿さん」

 そう言ってリアナはセンチミニッツブルーコンゴに長剣を構えて立ち塞がった。

(何それかっこいい……歌劇団の男役のような立ち姿、そして決め台詞! 絶対女子なら惚れるだろ!)

 センチミニッツブルーコンゴは両手でリアナを掴もうと飛び掛かっていた。

「甘い!」

 しかしリアナは身を低くして横にスライドしながらセンチミニッツブルーコンゴの右腕を目掛けて長剣で左切り上げで先制攻撃をした。
 
「キキキ」

 センチミニッツブルーコンゴは腕を切られる寸前に咄嗟に手で防ごうとして、手のひらに浅く傷がついた程度だった。
 だがリアナは左切り上げをした勢いを殺す事なく駒のように回転して、追撃で右の太ももを狙った!
 
「ムォ~ン」

 センチミニッツブルーコンゴは何とも言えない悩ましげな悲鳴? をあげていた……
 どうやらリアナの太ももへの一撃は対処できなかったようで広範囲に切り傷が出来ている。

「クッ! やはり硬いな……みんな! 見た目以上にダメージは無さそうだ!」

 リアナは一旦距離を取り、手応えをオレ達に的確に伝える。

 センチミニッツブルーコンゴはリアナの攻撃に激怒して両手を振り回してリアナに向かっていった。

「ワシの番じゃあ!」

 ショーンが自分の身体が隠れるぐらいの青銅製の大盾を前方に構えて、吹き飛ばされないように地面に大盾を突き立てた! 

(以前の木の盾よりも重たいのにショーンは凄いなぁ。ヒューゴに鍛えられてから体つきも変わったよなぁ)
 
 重さがある分センチミニッツブルーコンゴ(もう面倒だから青ワニ猿で)の振り回し攻撃に押される事なく耐え切る事が出来ている。

 本能のまま両手を振り回すだけの攻撃で青ワニ猿は少し息が上がっているようだ!
 その隙を逃さずフィーネが矢を一つ放った!

「フン~ウウゥン」

 青ワニ猿の右眼にブスリと矢が刺さっているが、先程よりも少し強めの悩ましげな悲鳴をあげていた……
 そして大盾の隙間からリアナが飛び出し、悩ましげな悲鳴をあげて口を開けている青ワニ猿に向かって細剣で突きを放つ!

「ギエエエエエィィィ………………」

(やっとダメージと悲鳴が一致した…………じゃなかった)

 リアナの鋭い一撃で青ワニ猿は大の字に倒れてピクピクとしていたが、すぐに動かなくなった。

「よし! 次だ! クライヴ! ショーン! 次の大物はヒューゴ師匠の門下生三人で協力しよう!」

(誰が門下生やねん! お前らだけだろヒューゴを師匠って言って慕っているのは)

 しかしリアナの言う通り次の青ワニ猿は先程のよりも大きく、オレとリアナより少し身長が低いぐらいの一メートル五十センチはありそうだ。
 青ワニ猿の中では大きい部類に入るらしい。

 三十メートルまで突進してきたが、仲間の亡骸に気づいて足を止めた。
 どうやら先程は興奮していたが、落ち着くと猿並みの知性はあるらしい。
 オレ達は膠着した状態となった…………

「ここはオレに一つ任せてくれないか?」

 そう言ってオレは皮袋の中からハントチェンジを取り出した。
 青ワニ猿は先程から動こうとしないが、念の為にショーンに青ワニ猿とオレの線上に入ってもらいオレの足元を隠してもらった。
 緑色の面をこちらに向けて、捕獲専用のモードに切り替える。
 後は青ワニ猿に当てて植物の蔦が球体から出てきて捕らえるだけだ。
 オレは深呼吸をしてから短めの助走でハントチェンジの中心から少し外側を右足で振り抜いた。
 青ワニ猿からはいきなりショーンの右肩から素早い球が飛んできたように見えただろう……青ワニ猿は反対方向に避けようとするも、スライダーのように速いスピードで青ワニ猿に向かっていく。

「フォ~ンハァァ」

 何故か変な吐息混じりの声が聞こえたが、無事に命中して蔦に絡まっている。

「よし!」

 オレは小さくガッツポーズをした。
 心の中でオレの仕事は終わったと思いながら。
 リアナとショーンがここぞとばかりに青ワニ猿に向かっていく!

「済まないね! 正々堂々だけが闘いではないんでね」
 
 リアナの決め台詞を言い長剣から細剣に持ち替えた。
 しかし!
 そんなに簡単な訳がない……
 なんと! 青ワニ猿はリアナとショーンが近づいてから蔦を噛みちぎり脱出した。
 そして細剣を構えて突きを放とうとしたリアナの右腕を掴んだ!
 その時の青ワニ猿の顔はまるで罠に引っ掛けたような顔をしてニヤリと笑っていた。

「オメェ! リアナから離れんかあ!」

 ショーンが大盾を置いて、槍を両手で持ち全力で青ワニ猿に向かっていく!
 すると青ワニ猿はショーンの方へ身体を捻りながら片手でリアナを投げつけた。

(えっ……速くね?)

 砲丸投げか片手でジャイアントスイングみたいな感じで投げ飛ばされるだろうとイメージしていたオレだが、リアナは放物線を描く事なく直線の軌道で投げ飛ばされていた……

「キャアァァ」

「グオオオ」

 投げ飛ばされたリアナはショーンに直撃し二人は悲鳴を上げた。
 そしてリアナは背中を強打して気を失っていた。
 受け止める事ができなかったショーンも立ち上がる事はできたが足元がフラついていた。

 青ワニ猿は今が好機と言わんばかりにショーンに距離を詰めていくが、吹き飛ばすような攻撃は避けショーンとの距離が離れないように絶妙な間合いで殴ったり掴もうとしたり、時々噛みつこうとしていた。
 ショーンも大盾がなく槍一本の状態で後方には気を失ったリアナがいる……かなり不利な状況だ。

(あの猿野郎! この状況を作るためにハントチェンジに捕らえられた猿芝居をしていたのか!)

 オレのせいで味方が危機的状況に陥っていた。
 さらに追い打ちをかけるようにモーガンがオレ達に向かって叫んだ!

「ショーン達とセンチミニッツブルーコンゴが近過ぎて氷魔法アイステールが使えないよ! クライヴ何とかできないかい!」
 
(無茶言うなモーガン…………考えろ考えろオレ! ショーン達が助かる方法を!)

 その時! 本日二度めの天啓? が降りてきた?

(時間との勝負だ! 行くしかない!)

 オレはフィーネをチラリと見るとフィーネもオレの視線に気づいた。

「モーガン! リアナを救出してくれ! フィーネ! オレの合図で矢を放ってくれ! 一本目は胴体で、二本目はフィーネ側から狙いやすい右足で!」

「そんな無茶言わないでよ! アタシの腕じゃ右足は七割程度よ」

 フィーネは怒りながら言うが、七割だと大したものだ……

「モーガン! いけるか?」

 オレはモーガンのいる後方からリアナがいるまでの約三十メートルの距離、救出までの時間を聞いた。

「頑張って一分。リアナを抱えながらこの近くまで戻ってこれるよ」

「モーガン行くぞ!」

「クライヴの考えが読めないけど命を預けるよ」

 オレの掛け声にモーガンは嬉しそうにオレに答えた。

(みんなオレに命を預け過ぎなんだよなぁ……プレッシャーが半端ないって……)
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