臆病者の転生ヒストリア〜神から授かった力を使うには時間が必要です〜

たいらくん

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第一章 王国編第一部(初等部)

エピソード122 ガクブルな兄弟子

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 オレとモーガンはセンチミニッツブルーコンゴ青ワニ猿の元へ向かって行く!
 途中でモーガンはリアナの方へ駆け寄り、オレはそのままショーンに加勢した。

「ショーン! 大丈夫か?」

 オレは息を切らしながらショーンに声をかけるとショーンの身体は所々にアザができていた。

「大丈夫なわけなかろう! あの猿、ワシがリアナを庇わないけんのを知っとるけぇ。闘いにくいんじゃ!」

 ショーンは怒り声をあげていたが、その表情には余裕がなかった……

「モーガンが救出するまでの一分間頑張ろう!」

「当たりめぇだろうがぁ!」

 オレがショーンの助太刀に来た事とモーガンが詠唱をやめてリアナを助けにいった事をみて、青ワニ猿は一旦距離をとった。
 
 そして青ワニ猿は落ちている手頃な大きさの石をモーガンに向かって投げつける!

「痛い!」

 リアナを背中に担ぎ、おんぶの格好で歩いているモーガンの後頭部に石が直撃して、リアナを背負ったままモーガンが地面に膝をつけていた。

「くそ! あの猿!」

 青ワニ猿はショーンの槍の間合いに入らぬようにしながら、モーガンとリアナを狙いオレ達の動揺を誘っていた。

「ショーン! どれぐらい闘えるか? 強がらなくて良いから」

 オレがそう言うとショーンは唇を噛み締めてから苦悶の表情を浮かべた。

「槍を持つのが精一杯じゃけぇ……完全に足手纏いじゃ……もう両腕が痛くて満足に振り回す事が出来ん……」

 オレはショーンがまさかそこまでの状態とは思わず、これから一人で闘う事に不安を感じた……

(ここは【クロノス】で……いやいや、もし解けた時に倒せてないとオレが死ぬ…………【身体強化】はこちらも使い所を間違えると危険だ! 怖いけどまずは生身で行くしか無い。一分なら何とかなりそうだ)

 オレは決心をしてショーンに指示をした。

「ショーン! もし青ワニ猿に隙が生まれてショーンでもいけそうならブスリと一撃頼む!」

「おう!」

 念の為にショーンという保険をかけて、オレは雪模様にライオンの刻印がある鞘から、スネーフリンガー厨二病か!……ゲフンゲフン……刃渡り約百センチぐらいの反曲刀タイプで、斬る事も突く事も出来る優れもののサーベルを取り出した。

(頼む! ドワーフ略式製鋼法の力を思い知ってくれ! この刃が通じないとオレは怖いんだ!)

 そんな思いを胸に秘めてオレは青ワニ猿と対峙した。
 青ワニ猿はオレの間合いに入らないように慎重に移動しながら、モーガンとリアナ目掛けて投石を放つ。
 オレとショーンのフェイントによって青ワニ猿は投げるのをやめて何度から後方に避けようとする動作を見せるが、二、三度程モーガンの悲鳴が聞こえたので、何個かは直撃したらしい…………
 オレは青ワニ猿の力量を測る為に次の投石時に間合いを詰めようとした!
 青ワニ猿は待ってましたと言わんばかりの顔をしてオレに向かって野球の投手か? ってツッコミそうになるぐらいの振りかぶりを見せて全力で投げようとしていた。

「この異世界でその投球フォームはおかしいだろ!」

 オレは性格の悪い青ワニ猿のしそうな事を予測していたが、ついツッコミをしてしまった。
 そして投球フォームの段階でサーベルを納刀して右斜め前に前回りで避けようとしたが、青ワニ猿も何とか軌道を修正しようと石を投げてきた。
 青ワニ猿が投げた石は、オレが少し低い姿勢で立ち上がろうとした時に僅かに後頭部に掠る程度だった。
 そしてオレは前周りの推進力を殺さぬように低い姿勢のままサーベルを抜刀して、一歩前に踏み出した!
 先程の青ワニ猿が石を投げた隙を逃さない為に!
 青ワニ猿の右足が地面に着く前の軸足左脚目掛けてオレはサーベルを横に薙ぎ払った!

「モーゥンハッキキキー!」
 
 鳴き声はともかく…………
 オレの一撃は硬い足を少し深めに斬る事ができ、斬られた青ワニ猿はバランスを崩して尻もちをついた。
 

「同じ先生ザック師匠ヒューゴをもつリアナの仇じゃ」

 好機と見たのか青ワニ猿の顔を目掛けてショーンが槍で突き刺そうと距離を詰めた。

(いやいや! まず信者過ぎるぞショーン……
 そして確かにチャンスがあればブスリと頼むと言ったが、アレは今ではなく本当に倒せれる時のなのではと思うのですが……)

 しかし感情的になっているショーンは視野が狭くなっていて、青ワニ猿の不敵な笑みに気づいていなかった。

「ケケッ」

 青ワニ猿はワニ様な口でショーンが残る力で突き刺そうとした槍を最も簡単に噛み、そして大きく顔を動かしショーンから槍を奪った。
 いつものショーンならこんな簡単に武器を奪われたりしないが、疲労困憊なショーンにはもう掴む力はそれほど残っていなかった。

「なっ!」

 ショーンは槍を奪われた両手に目を奪われると、青ワニ猿は噛んでいた槍を器用に手に持ち替えた。
 青ワニ猿はショーンとの間合いがより下の柄の部分だと瞬時に気づき薙ぎ払うように槍で打撃を放とうとした。
 
 「ショーン!」

 一瞬の判断が命取りになる!
 オレの叫び声でショーンは気づき、何とか打撃を軽減させようと筋肉の多い肩の部分で攻撃を受けてそのまま流れに身を任すように横に転がった。

「ショーン! 大丈夫か!」

 オレはショーンに声をかけると苦しそうな声だがショーンらしい言葉が返ってきた。

「痛ぇわ! クソ猿のくせにワシの槍を取るなんてありえまーが! 何じゃあのクソ猿は! おかしかろうが!」

(それだけ喋れたら大丈夫そうだな)

 しかし目の前の青ワニ猿は槍という武器を手に入れてますます猿っぽく喜んで踊っていた。

「キキッキキー」

 オレはサーベルの剣先を青ワニ猿に向けて相手の動きに集中した。
 お互いに相手の出方を窺い、草原を駆け抜ける風の音以外何も聞こえない静寂がしばらく続いた……
 
「キキキキキキキキキキ」

 この静寂に耐えきれなかったのは壊れた機械か! と言うくらいの声を出している青ワニ猿だ。
 槍というリーチを活かしてデタラメに振り回してくる。
 デタラメだからこそ太刀筋が見えず余計にタチが悪い……

(くそ……これでは迂闊に近づく事が出来ないな……)

 オレは青ワニ猿のどこかに隙がないか攻撃を避けながら探していたが、どうしても考えれる事は一つだけしかなかった……
 ただ諸刃の剣で、自分にもダメージが返ってくる…………
 
(怖いけど肉を切らせて骨を断つ……だよな……)

「クライヴ! もうリアナは大丈夫よ!」

 後方からはフィーネの声が聞こえてきた。

 その声にオレは覚悟を決めてデタラメの攻撃を繰り返す青ワニ猿の間合いに入り込んだ。
 そしてそのまま突き進んだ。
 オレは上段の構えで走っていたので、青ワニ猿は横からオレの左脇腹を狙ってきた。
 ただ一つ……青ワニ猿はオレが上段の構えで走ってくるとは思っていなかったようで、初動が少し遅れて刃ではなく柄の部分で左の脇腹を打つような攻撃になってしまった。

「グッ」

 オレは上段の構えからすぐに青ワニ猿の薙ぎ払いを防御する構えに変えて、槍での打撃の衝撃に耐えたが…………

(重てぇ! 下手すりゃ成人男性より強いだろコイツ)

 もちろん子どものオレに耐えきれず右方向へ吹き飛ばされそうになった……
 その瞬間に身体は右に崩されながらも右足にしっかり重心を乗せて左のハイキックで槍を蹴り上げた!

「キッ?」

 オレの予想しない一撃により、油断していた青ワニ猿は持っていた槍を吹き飛ばされていた。

 オレは倒れそうになる中、涼しい顔で青ワニ猿にニヤリと笑った。
 内心は痛みに堪えていたが…………

(あー! 折れた折れたオレの足が! 痛い痛い!  折れてなくてもこれしばらく走るの無理なやつ!)

 オレの脳内ではヘタレのお祭り状態だが、今やらないとオレが殺される!
 
「フィーネ!」

 青ワニ猿が倒れているオレに向かってくるが、その前に矢が一本。 
 青ワニ猿の胴体目掛けて飛んでくる!

「フゥンゥン……」

 悩ましげな悲鳴は置いといて…………
 青ワニ猿の思いもしない方向からの一撃で避ける事が出来ず青ワニ猿の胴体には浅めに矢が突き刺さっていた。
 その間にオレは立ち上がり、息を整えた。
 オレは青ワニ猿の傷ついた胴体に突きを放つが、青ワニ猿は両腕で胴体を隠すように防御して、俺の突きがその防御の隙間を通る事はなかった……
 青ワニ猿は形勢逆転と思ったのか、大きな口を開けて突きを放ったオレの右腕に噛みつこうとした!
 その時フィーネからの二本目の矢が青ワニ猿の右脚にまた少しだけ刺さった。

「フゥゥゥンン!」

 相変わらずの悩ましい悲鳴は置いといて…………
 青ワニ猿は痛みの為か攻撃が少しズレて何とか右腕を噛まれる事なく、オレは手の甲に歯での擦り傷程度だけのダメージで済んだ。
 矢の攻撃が思っていたよりも効果的で青ワニ猿はダメージは小さいがフィーネの攻撃にイラついているようだ。
 そしてオレは心の中でフィーネの七割の命中率に感謝した。

(フィーネのが当たらなければ右腕で食われていた………………ありがとうフィーネ様)

 オレ自身動揺しているが何とか根性と生存本能で、フィーネと同じく青ワニ猿の右脚を狙い横切りを放った。
 だがイラついている青ワニ猿は右手で力一杯オレのサーベルを真下に叩いて防ぎ、オレはバランスを少し崩した。

(流石に左脚を斬られ、次に右脚を狙われると嫌がるよな。それにフィーネの攻撃で度々オレに対する決定打を防がれイラつくよな……目線が下がっているぞ)

「【クロノス】」

そこはオレだけが動く事を許された百分の一秒の緩やかな刻の世界。
 この限られた一秒半で【身体強化】を追加でかけた。
 そのオレは、先程噛みつこうとして前方へ突き出された青ワニ猿の顔を踏み台のようにして飛び、青ワニ猿の後ろに降り立った。
 そして刻が戻るとともに【身体強化】をかけたオレの突きが青ワニ猿の弱点である赤いお尻に深くまで突き刺さった。

「イイインッギィィィ」

 最後は悩ましいのか猿らしいのか不思議な鳴き声を発してピクリとセンチミニッツブルーコンゴは動かなくなった。

「やった! クライヴ!」

「アンタにしては上出来よ」

 モーガンとショーンは喜んでいるが、オレはリアナとショーンの状態が心配だった。
 だが、案の定身体は悲鳴をあげて、またハイキックの怪我の際で歩こうとしたら痛みで膝から崩れ落ちてしまった…………

「クライヴ!」

 フィーネが真っ青な顔で走ってくるが、やはりオレは何というか……闘いは似合わない。
 倒れている今も緊張の糸が切れて後から襲ってきた恐怖感で両足は震えていた…………
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