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共同生活⑶
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その後のシャワーに入る際も「手伝ってやる」としつこく言われたけど、何とか逃げた。ただ、左手だけで頭や体を洗うことは確かに大変で、あがるころには少しぐったりしてしまった。
「やっぱり、手伝った方が良かったんじゃないか?」
「全然、大丈夫でしたよ。問題ないです」
そんな強がりな発言に、全部お見通しという感じで笑われる。
「じゃあ、これくらいは手伝わせて」
ドライヤーを持っている先生に手招きされて、先生が座るソファーの下を指さされる。シャワーで少し疲れたのと、それくらいはという思いで、先生の足の間に座る。ドライヤーの温風に混じって、先生の手が髪を撫でると、先生の指の感じが頭皮に伝わってゾワゾワした。
「はい。おしまい」
そう言うと、ポンと頭に手を乗せた。
「あ、ありがとうございます」
「で、今日寝るところなんだけど、真野はあっちのベット使ってね。オレはこのソファーで寝るから」
「えっ?ダメですよ。ボクがソファーで寝ますから、先生はベット使ってください」
「はぁ~。オレが無理やり家に連れてきたんだから、真野をソファーで寝かせるはずないでしょ。怪我もしてるんだから……ね」
「でも……ボクも来て良かったって思ってるし、それに先生と一緒にいれるのは嬉しいし……」
「じゃあ、一緒にベットで寝る?」
そんな選択肢があることなど、全く頭にはなくて、そう聞かれてドキリとしてしまう。
一緒に寝るって……つまり……そういう事なのかな……
嫌じゃないけど……心の準備が……
「さすがに、怪我してるやつ襲ったりはしないけど……やっぱりオレがソファーで寝るよ……じゃあオレもシャワー浴びてくるから先に寝ててもいいよ」
先生の少し寂しそうな顔を見て、誤解させたと瞬時に悟る。
いや……そうじゃない……
先生としたくないわけじゃなくて……
先生の背中に飛びついて腕を回す。
「おわっ、危ないだろ。手、大丈夫か」
「えっと、違いますよ。先生と……したくないとか、そんなんじゃないです。そうでは、ないけど……だから……」
それ以上、言葉が続かなくて止まってしまうと、先生は振り向いて優しく微笑む。
「わかってるよ。でも真野の手が治るまで、何もしないから。いや……キスはするかな」
そう言うと、さっきとは違っていたずらっぽく笑って、ボクの口を奪った。
「やっぱり、手伝った方が良かったんじゃないか?」
「全然、大丈夫でしたよ。問題ないです」
そんな強がりな発言に、全部お見通しという感じで笑われる。
「じゃあ、これくらいは手伝わせて」
ドライヤーを持っている先生に手招きされて、先生が座るソファーの下を指さされる。シャワーで少し疲れたのと、それくらいはという思いで、先生の足の間に座る。ドライヤーの温風に混じって、先生の手が髪を撫でると、先生の指の感じが頭皮に伝わってゾワゾワした。
「はい。おしまい」
そう言うと、ポンと頭に手を乗せた。
「あ、ありがとうございます」
「で、今日寝るところなんだけど、真野はあっちのベット使ってね。オレはこのソファーで寝るから」
「えっ?ダメですよ。ボクがソファーで寝ますから、先生はベット使ってください」
「はぁ~。オレが無理やり家に連れてきたんだから、真野をソファーで寝かせるはずないでしょ。怪我もしてるんだから……ね」
「でも……ボクも来て良かったって思ってるし、それに先生と一緒にいれるのは嬉しいし……」
「じゃあ、一緒にベットで寝る?」
そんな選択肢があることなど、全く頭にはなくて、そう聞かれてドキリとしてしまう。
一緒に寝るって……つまり……そういう事なのかな……
嫌じゃないけど……心の準備が……
「さすがに、怪我してるやつ襲ったりはしないけど……やっぱりオレがソファーで寝るよ……じゃあオレもシャワー浴びてくるから先に寝ててもいいよ」
先生の少し寂しそうな顔を見て、誤解させたと瞬時に悟る。
いや……そうじゃない……
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先生の背中に飛びついて腕を回す。
「おわっ、危ないだろ。手、大丈夫か」
「えっと、違いますよ。先生と……したくないとか、そんなんじゃないです。そうでは、ないけど……だから……」
それ以上、言葉が続かなくて止まってしまうと、先生は振り向いて優しく微笑む。
「わかってるよ。でも真野の手が治るまで、何もしないから。いや……キスはするかな」
そう言うと、さっきとは違っていたずらっぽく笑って、ボクの口を奪った。
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