忘れられない思い

yoyo

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ハロウィン⑴

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「奥田先生、トリック オア トリート~お菓子貰ってくれないと、イタズラしちゃうよ」

「おぉ。じゃあ、ありがたくいただきます」

   クラスの女子生徒から、カボチャの形をしたクッキーを手渡される。この学校では、なぜかハロウィンにお菓子を配ることがここ数年で流行っている。普通ならお菓子をくれないとイタズラしちゃうはずなのに、貰ってくれないとイタズラされるらしい。
   職員室に戻ると、隣の席の国語の女性教師はオレが机にクッキーを置くと話しかけてきた。


「あら、今年もモテモテですね。でもこの不思議なイベント誰が流行らせたのかしらね」

「いや~彼女らの遊びに乗っかってるだけですよ。本来は意味が逆ですからね。今年は須田先生がいい意味でターゲットなんじゃないですか」


   そう言って、後ろのお菓子で机が埋め尽くされている須田先生の席の方へ視線を向ける。須田先生は、今年新卒で採用された英語の教師で、甘いマスクと明るい性格で、女子生徒だけでなく男子生徒からも人気が高かった。


「あ、今日の職員会議、延期になりましたよ」

「そうなんですか」

「はい、教頭先生が急遽、教育委員会に行かなきゃいけなくなったとかで……今日は早く帰れそうですね」


   思いがけず、早く帰ることができて心が浮き立つ。今日、真野には遅くなると伝えていたけど、連絡ぜずに帰って驚かそうかと考えニヤニヤしてしまう。




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