72 / 95
帰国⑹
しおりを挟む
「佑輔さんは、テオと婚姻関係にあるんだよな。リオを引き取ったりとかも考えてる?」
カナダでは同性婚が認められているし、確か養子縁組も認められているはずだ。
「うーん。確かにリアムがいる生活は楽しいと思うけど、それを決めるのは俺らじゃないと思ってる。日本に比べてカナダの方が、同性カップルにとって制度とかは整っていると思うけど、それでもやっぱり俺らはマイノリティだからさ、そこの事情に子どもを巻き込みたくないとは思う。もし、もう少し大きくなってリアム自身が望むなら、大歓迎だけどね。まあ、正式に引き取らなくても、今回みたく関わる事は出来ると思うし、少しでも、リアムが傷つく事はしたくないっていうのが、テオとの共通認識だな」
佑輔さんが言いたいことはよくわかる。色々な考え方があると思うが、オレもその考え方に共感できた。自分だって、ゲイというマイノリティの存在で今まで嫌なことも悩んだこともあった。自分たちの都合だけで、そこに巻き込んでしまうのはダメな気がしていたのだ。
「春人は、真野くんとパートナーになること考えてるの?」
フッと笑いながら、佑輔さんが聞いてくる。一瞬ビックリして、見つめてしまったけど、そんなに驚くような質問はしてないというような顔をされて、逆に見つめ返された。
オレとしては、望むことだけど、先程の考えと一緒でやはり真野をこちら側に巻き込んでしまうことに躊躇してしまう自分もいる。真野は、望めば、女性と結婚して子どもを作ることも十分可能なのである。オレと一緒になることでその部分が確実に難しくなるのだ。
「なーんか、またしょうもないこと考えてるんだろ。真野くんと自分は違うとか。そんなんだと真野くん不安になっちゃうよ」
「え?どういう……こと……」
「お前、また1人でグルグル考えて、真野くんの気持ちを無視してるんじゃないかなぁと思ってさ。将来のこととかちゃんと、真野くんと話せよ。真野くんの方がちゃんと考えてるんじゃねーの?」
「真野が何か言ってました?」
「どうかねー」
それ以上は、もうニヤニヤするだけで何も教えてくれない。この兄弟は本当に……
真野との将来か……と思いを馳せたところで、満足気な3人の人影が見えて、そこでまた現実に戻った。
カナダでは同性婚が認められているし、確か養子縁組も認められているはずだ。
「うーん。確かにリアムがいる生活は楽しいと思うけど、それを決めるのは俺らじゃないと思ってる。日本に比べてカナダの方が、同性カップルにとって制度とかは整っていると思うけど、それでもやっぱり俺らはマイノリティだからさ、そこの事情に子どもを巻き込みたくないとは思う。もし、もう少し大きくなってリアム自身が望むなら、大歓迎だけどね。まあ、正式に引き取らなくても、今回みたく関わる事は出来ると思うし、少しでも、リアムが傷つく事はしたくないっていうのが、テオとの共通認識だな」
佑輔さんが言いたいことはよくわかる。色々な考え方があると思うが、オレもその考え方に共感できた。自分だって、ゲイというマイノリティの存在で今まで嫌なことも悩んだこともあった。自分たちの都合だけで、そこに巻き込んでしまうのはダメな気がしていたのだ。
「春人は、真野くんとパートナーになること考えてるの?」
フッと笑いながら、佑輔さんが聞いてくる。一瞬ビックリして、見つめてしまったけど、そんなに驚くような質問はしてないというような顔をされて、逆に見つめ返された。
オレとしては、望むことだけど、先程の考えと一緒でやはり真野をこちら側に巻き込んでしまうことに躊躇してしまう自分もいる。真野は、望めば、女性と結婚して子どもを作ることも十分可能なのである。オレと一緒になることでその部分が確実に難しくなるのだ。
「なーんか、またしょうもないこと考えてるんだろ。真野くんと自分は違うとか。そんなんだと真野くん不安になっちゃうよ」
「え?どういう……こと……」
「お前、また1人でグルグル考えて、真野くんの気持ちを無視してるんじゃないかなぁと思ってさ。将来のこととかちゃんと、真野くんと話せよ。真野くんの方がちゃんと考えてるんじゃねーの?」
「真野が何か言ってました?」
「どうかねー」
それ以上は、もうニヤニヤするだけで何も教えてくれない。この兄弟は本当に……
真野との将来か……と思いを馳せたところで、満足気な3人の人影が見えて、そこでまた現実に戻った。
1
あなたにおすすめの小説
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
アズ同盟
未瑠
BL
事故のため入学が遅れた榊漣が見たのは、透き通る美貌の水瀬和珠だった。
一目惚れした漣はさっそくアタックを開始するが、アズに惚れているのは漣だけではなかった。
アズの側にいるためにはアズ同盟に入らないといけないと連れて行かれたカラオケBOXには、アズが居て
……いや、お前は誰だ?
やはりアズに一目惚れした同級生の藤原朔に、幼馴染の水野奨まで留学から帰ってきて、アズの周りはスパダリの大渋滞。一方アズは自分への好意へは無頓着で、それにはある理由が……。
アズ同盟を結んだ彼らの恋の行方は?
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる