忘れられない思い

家族⑴

   佑輔さん達は１０日ほど、日本に滞在して昨日カナダに帰っていった。真野にせっつかれて、空港まで見送りに行ったが、別れ際に、佑輔さんから「次会うときは、真野くんとのいい話を期待している」と耳元で囁かれた。


   いい話ってなんだよ……


   この間、佑輔さんと２人で話したとき真野との将来の話になった。結婚を意味するパートナーになるかどうかと。オレにとっては理想的だけど、真野にとってはどうなんだろう。結局、いつまで経ってもオレはこの思いに縛られてしまう。


   真野はゲイではない……


   今まで、散々それで日和ってきた自分も嫌というほどわかってはいたけど、どうしてもそこに至ってしまうのだ。だから、告白もキスもエッチも全て、真野がきっかけを作っていた。今考えても、何とも情けない話だ。最後こそはキチンとオレから話したいと思っていたことも事実だった。
   そのようなことを考えていると、ケータイが鳴る。画面を見ると姉の美鈴みすずからだった。


「鈴姉……どうした？」

「半年ぶりの連絡なのに、第一声がそれ？ホンッとに、あんたからは全く連絡よこさないんだから。元気にしてるの？」

「あぁ……まぁ……で？なんだよ……」