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家族⑹
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「お母さんとは、話ができたんでしょ?」
美鈴がやっと、話ができるとばかりに聞いてくる。一応、チラッと樹生の方を見ると、苦笑して「ごめん。美鈴から、大体の話は聞いてる」と言われた。
「あ、いや。大丈夫です。多分、鈴姉が話してるだろうなと思ってたんで……。母さんとは話せた。でもまさか、あんな風に思ってたとは知らなかったよ」
「あんな風って?」
「ん……まあ、オレの事、理解してくれてる部分もあったのかなって。それでもあの頃は、母さんの勝手な押し付けだと思っていたし、母さんの思いに寄り添う余裕もなかったのかもなとも思うけど。」
「お母さんもそこに行き着くまでは、けっこう葛藤があったみたいだけどね。お母さん達の年代は、まだ結婚して子ども作って幸せになるっていうのが、一般的だっただろうし。そこから外れては、幸せになれないみたいな思いはあるんじゃないかな」
確かにそうなんだと思う。オレだって、頭の片隅にはたぶん、そういう考え方があって、真野に対して躊躇してしまう思いは、ここからくるのではないかと思う。
「でもさ、春人くん。お義母さんは、春人くんの幸せを一番に考えての心配だったんだと思うよ。オレは両親のそういう思いには触れられなかったから、ちょっと羨ましいと思っちゃうよ」
詳しく聞いたことはなかったけど、樹生は、高校卒業まで、施設で暮らしていたと聞いたことがある。母親はいるらしいけど、もう何十年も会ってないと美鈴が話していた。
「うん……それは、わかってます。いや、わかっていたつもりでいたけど、やっと今、ちょっと母さんの思いに気付いたのかも……」
「でもまっ、お母さんと和解できたなら、良しとしよう。あ、でも私のサポートあってこそだってこと忘れないでよ」
「はいはい、鈴姉のおかげだよ」
「よし。それはそうと。春人は今付き合ってる人いるの?」
美鈴がやっと、話ができるとばかりに聞いてくる。一応、チラッと樹生の方を見ると、苦笑して「ごめん。美鈴から、大体の話は聞いてる」と言われた。
「あ、いや。大丈夫です。多分、鈴姉が話してるだろうなと思ってたんで……。母さんとは話せた。でもまさか、あんな風に思ってたとは知らなかったよ」
「あんな風って?」
「ん……まあ、オレの事、理解してくれてる部分もあったのかなって。それでもあの頃は、母さんの勝手な押し付けだと思っていたし、母さんの思いに寄り添う余裕もなかったのかもなとも思うけど。」
「お母さんもそこに行き着くまでは、けっこう葛藤があったみたいだけどね。お母さん達の年代は、まだ結婚して子ども作って幸せになるっていうのが、一般的だっただろうし。そこから外れては、幸せになれないみたいな思いはあるんじゃないかな」
確かにそうなんだと思う。オレだって、頭の片隅にはたぶん、そういう考え方があって、真野に対して躊躇してしまう思いは、ここからくるのではないかと思う。
「でもさ、春人くん。お義母さんは、春人くんの幸せを一番に考えての心配だったんだと思うよ。オレは両親のそういう思いには触れられなかったから、ちょっと羨ましいと思っちゃうよ」
詳しく聞いたことはなかったけど、樹生は、高校卒業まで、施設で暮らしていたと聞いたことがある。母親はいるらしいけど、もう何十年も会ってないと美鈴が話していた。
「うん……それは、わかってます。いや、わかっていたつもりでいたけど、やっと今、ちょっと母さんの思いに気付いたのかも……」
「でもまっ、お母さんと和解できたなら、良しとしよう。あ、でも私のサポートあってこそだってこと忘れないでよ」
「はいはい、鈴姉のおかげだよ」
「よし。それはそうと。春人は今付き合ってる人いるの?」
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