忘れられない思い

yoyo

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家族⑺

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 急な話題転換に、咄嗟に誤魔化す事も出来ず、言葉が出せないでいると、笑って「やっぱり、いるんだねぇ」と美鈴は1人で納得している。


「は?なんで?」

「なんか、雰囲気が柔らかくなったような気がしてさ。そういう人が出来たのかなと思ってね。でも、その顔は図星だよね。ねーどんな人、どんな人?」


   こうなってしまうと美鈴の興味から、逃れられる訳もなく、しかも樹生も止めてくれず、一緒になって悪ノリをし出す。さらにタイミング悪く真野からも電話がかかってきてしまう。
   真野には、夜は実家に帰って1人だと伝えていて、夜、電話するとも言っていた。出ようか迷っているうちに、美鈴から電話を取り上げられて、普通に真野と話始めてしまった。


「ちょっ……何してるんだよ。勝手に出るなよ。返せって」


   美鈴は、ヒラリヒラリとオレをかわしながら、親しげに話を続けている。もう、何を言っても止められず諦めるしかない。美鈴は5分ほど話すと、満足したようで、やっとケータイを差し出してきた。軽く睨み付けると、また耳にケータイを押し当てて「ごめんね~春人、不貞腐れてるから、このまま私と……」と話始めるので、今度こそ美鈴からケータイを引ったくって、そのまま部屋を出る。



「真野?ごめん。大丈夫だった?変なこと聞かれなかった?」

「先生?ははっ……ちょっとびっくりしましたけど、大丈夫です。先生のお姉さんと話が出来て嬉しかったです。先生はお母さんとは……」

「あぁ……話せたよ……はぁ~真野の声聞くと落ち着く。声聞くと会いたくなるな」

「先生……酔ってます?でも、ちゃんと話ができて良かった……明後日、駅まで迎えに行きますから、それまでは家族との時間を楽しんできてくださいね」





   あと一駅で着く。先程、真野から「早めに着いちゃいました」とメッセージが来ていた。3日会ってなかっただけだけど、母親の思いを聞いた為か、無性に真野に会いたくて仕方なかった。樹生が言ってくれたように、2人で帰る日も真剣に考えてもいいのかもしれない。そんなことを考えながら「もう着くよ」と返信を送った。
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