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これから⑹
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「真野くんは、春人の元教え子なんだよね?」
「はい。数学の教科担任でした。でも、今先生は、その頃のボクの記憶しかないってことですよね。あ、でももう8年も前なのにそこの記憶の方があるのがちょっと複雑です……」
「でも、まあ、好きだった子のことはずっと忘れられずにいたってことでしょ」
「えっ……?」
「えっ?て、春人は真野くんが高校生の頃から好きだったんでしょ?」
美鈴さんの家まで行く車中で、凄いことを聞かれる。先生はボクが高校生の頃から好きだった?でも、そんな話は聞いたことがなかったし、高校生の頃もそんな素振りは全く感じなかった。確かに図書委員だったボクは、よく図書室にいた先生と放課後話すことはあったけど、そんなに親密というわけではなかったと思う。ボクにとっては気になる先生だったけど、先生にとってもボクはその頃から特別だったのだろうか……
ボクの反応に運転席の美鈴さんと助手席の泰輔さんが顔を見合わせる。知らなかったのはどうやらボクだけのようだ。後ろを振り返った泰輔さんが口を綻ばせて声をかけてくる。
「春人は、真野くんが高校生の頃から気になる存在だったんじゃないかなぁ。直接好きだったとは聞いたことはないけど、初めてお店に連れてきた時から春人は好きなんだなって気づいたし。まぁオレの店だったからか、だいぶ無防備だったしな」
そ、そうだったのか……1年前先生と再会したときは、自分の感情もよくわからなくなっていたから、先生のことに気づく余裕はなかった。突如として知らされる嬉しい事実に顔が熱くなるのを感じる。
「真野くんも?高校生の頃から春人のことが好きだったの?」
運転しながら美鈴さんが聞いてくる。
「え、いや……あの頃は、そういう風には思ってなくて。でも、先生のことは何かボクの中では特別でした。その感情に気づいたのは、再会してからですけど……」
「それって、気づいてなかっただけで、好きだったってことなんじゃないの?」
ずっと先生のことは忘れられず、心に残っていた。だから、去年再会した時もすぐに先生だとわかった。先生のことが好きだと自覚したのは、頻繁に会うようになってからだったけど、ずっと特別な存在で忘れられなかったのは事実だ。ボクも高校生の頃から好きだったのかもしれない……
今更ながら気づいた事実に、余計に顔が熱くなり物凄く恥ずかしくなる。そんな様子をバックミラー越しに見られて、美鈴さんに「図星だねぇ」と笑われた。
「はい。数学の教科担任でした。でも、今先生は、その頃のボクの記憶しかないってことですよね。あ、でももう8年も前なのにそこの記憶の方があるのがちょっと複雑です……」
「でも、まあ、好きだった子のことはずっと忘れられずにいたってことでしょ」
「えっ……?」
「えっ?て、春人は真野くんが高校生の頃から好きだったんでしょ?」
美鈴さんの家まで行く車中で、凄いことを聞かれる。先生はボクが高校生の頃から好きだった?でも、そんな話は聞いたことがなかったし、高校生の頃もそんな素振りは全く感じなかった。確かに図書委員だったボクは、よく図書室にいた先生と放課後話すことはあったけど、そんなに親密というわけではなかったと思う。ボクにとっては気になる先生だったけど、先生にとってもボクはその頃から特別だったのだろうか……
ボクの反応に運転席の美鈴さんと助手席の泰輔さんが顔を見合わせる。知らなかったのはどうやらボクだけのようだ。後ろを振り返った泰輔さんが口を綻ばせて声をかけてくる。
「春人は、真野くんが高校生の頃から気になる存在だったんじゃないかなぁ。直接好きだったとは聞いたことはないけど、初めてお店に連れてきた時から春人は好きなんだなって気づいたし。まぁオレの店だったからか、だいぶ無防備だったしな」
そ、そうだったのか……1年前先生と再会したときは、自分の感情もよくわからなくなっていたから、先生のことに気づく余裕はなかった。突如として知らされる嬉しい事実に顔が熱くなるのを感じる。
「真野くんも?高校生の頃から春人のことが好きだったの?」
運転しながら美鈴さんが聞いてくる。
「え、いや……あの頃は、そういう風には思ってなくて。でも、先生のことは何かボクの中では特別でした。その感情に気づいたのは、再会してからですけど……」
「それって、気づいてなかっただけで、好きだったってことなんじゃないの?」
ずっと先生のことは忘れられず、心に残っていた。だから、去年再会した時もすぐに先生だとわかった。先生のことが好きだと自覚したのは、頻繁に会うようになってからだったけど、ずっと特別な存在で忘れられなかったのは事実だ。ボクも高校生の頃から好きだったのかもしれない……
今更ながら気づいた事実に、余計に顔が熱くなり物凄く恥ずかしくなる。そんな様子をバックミラー越しに見られて、美鈴さんに「図星だねぇ」と笑われた。
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